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ヤミイ

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 大みそかの午後ということもあり、地下鉄のコンコースは混んでいた。
 僕は先生に続いて何食わぬ顔で改札をくぐった。
 コートの裏地に勃起したペニスが当たり、歩くだけで疼くような快感が走った。
 それは乳首も同様で、ざらつくコートの裏地のおかげでただ歩くだけで僕の躰は開発されてしまっている。
「こっちだ」
 先生が僕を導いたのは、ホームの最後部だった。
 僕らが黄色い線の内側に立つと同時に、構内にアナウンスが入った。
 -次は回送列車です。回送列車にはご乗車できませんので、ご注意願いますー
「これだ」
 表示を見上げて先生が言った。
「止まったら、数秒間だけドアが開く。目立たないように乗り込むんだ」
「駅員に見つかったら?」
 僕は眉をひそめて先生の横顔を見上げた。
「その点は心配ない。駅員は貸切列車だということを知っている」
 地下鉄を借り切るなんて…この人のバックには、政治家でもついているのだろうか?
 先生の住んでいるというあのマンションもそうだ。
 あれは市の中心部にあるタワーマンションのひとつに違いない。
 たぶん先生の親は、よほど裕福な資産家とか政治家の類いなのだろう。
 そんなことを考えていると、ホーンを鳴らして、回送のプレートをつけた列車が入ってきた。
 異様なのは、窓がすべて内側から日よけで塞がれていることである。
 胸がどきどきする。
 あの中で何が僕を待っているのだろうか。
 列車が止まった。
 空気の抜ける音とともに、ドアが開く。
「乗るんだ」
 僕の肩に手をかけ、先生が口早に先生が言った。


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