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175 募る恋情①

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 連れてていかれたのは、以前この屋敷を訪れた時に泊まった部屋だった。

「ここがあなたのお部屋。好きに使ううがいいわ」

 そっけなく言って立ち去ろうとしたアヤカだったが、さすがにそれだけでは気の毒に思ったのか、廊下に出たところでいったん立ち止まると、振り返って付け足した。

「ここはもうあなたの家だから、お風呂も遠慮なく入れるわ。あんなことがあったんだから、ひと風呂浴びてきなさいよ。あなた、精液臭くてたまらない」

「あ、ありがとう…」

 僕はまだ全裸だった。

 器具はすべて外されていたけれど、アヤカに見つめられるだけで、股間の性器が熱を持ってきた。

 あれだけ出したのにもう芯が通ったみたいに固くなり、鎌首をもたげているありさまだ。

 しかも、あたりを睥睨するようにゆっくりと左右に首を振るさまは、まるっきり独立した生き物である。

「精液だらけの服は洗濯しとくから、しばらくは部屋にある浴衣で過ごしてね。どうせ明日は日曜日で、大学もお休みなんでしょ?」

「あ、う、うん」

 僕は両手で股間を隠し、そう答えた。

 手のひらに固くなったペニスの先が触れ、かすかな快感が走った。

 やばい。

 これじゃまるで、色情狂じゃないか。

 それというのも、全部、ヨミのせいだ。

 ただ見世物にされただけでなく、僕はヨミと咥え合ってしまったのである。

 あの時の夢見るような心地といったら、もう…。

 ヨミのことを考えると、動悸が激しくなり、喉がからからに乾いてきた。

 口の中に頬張った、熱くて硬いヨミの男性器の感触と味わいが、ありありと蘇る。

 僕にしゃぶられて、ヨミは確かに気持ちよさそうだった。

 あまつさえ、僕の口の中に、聖なるミルクまでぶちまけてくれたのだ。

 そして僕が愛したように、ヨミも僕を絶頂に達するまで、しっかりしゃぶり返してくれたのである…。

 本当なら、もう一回ずつ、飲ませ合えたはずだった。

 あのカエル男が、邪魔さえしなければ…。

 でも、今回はこれでよしとしよう。

 一つ屋根の下で暮らすようになれば、これからいくらでもヨミと愛し合う機会はつくれるはずだから…。

「そういえば、ヨミは? ヨミはどこの大学に行ってるの?」

 言いたいだけ言って立ち去りかけたアヤカの背に僕は慌てて声をかけた。

「さあ」

 背中を向けたまま、肩をすくめるジェスチャーで応えるアヤカ。

「そんなの興味ないし。彼が昼間不在なのは、確かだけどね」

 本当は、もっと訊きたかった。

 例えば、

 恋人は?

 ヨミに恋人はいるの?

 とかー。

 この屋敷で、ヨミは誰と寝ているの?

 あの写真集に写っていたもうひとりの美少年。

 あれは、誰?

 とか。

 でも、怖くて訊けなかった。

 この時僕は、身も心も、すっかりヨミのとりこになってしまっていたのである。

 
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