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113 ヨミの計略③

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 だが、そこまでだった。

 ヨミは僕から距離を取ると、

「立ってごらん」

 優しい声で、そう言った。

 僕は腰を上げた。

 陰毛をすべて剃られた股間が、ひどくスースーする。

 が、尿道はすでに精子でいっぱいになってしまっていた。

 ああ、もう少しだったのに・・・。

 わななきが止まらない。

 うう・・・。

 未練で気が狂いそう・・・。

「綺麗になったね」

 僕の気も知らず、ヨミはなんだかうれしそうだ。

 美しい顏をほころばせ、満足げに僕の股間を眺めている。

 僕の陰部はツルピカに剃毛され、オイルで艶めかしく光っている。

 そしてその中央に屹立し、太めのバナナのごとく反り返る生殖器官。

 亀頭が膨らみ過ぎて、半分包皮が剥けてしまっていた。

 その先端できらめくのは、にじみ出る先走り汁の露だ。

「じゃあ僕は、これで」

 いきなりヨミが言ったので、僕はびくっと身を震わせ、顔を上げた。

「ちょっと疲れちゃった。和夫の剃毛も済んだし、きょうはもう帰るとするよ。今度来る時は、僕の愛用してる脱毛クリーム、持ってきてあげるね」

 帰るって・・・。

 そ、そんな・・・。

 僕はよく動くヨミの色素の薄い唇を凝視した。

 まだ、全然なのに。

 僕はまだ、こんなに勃ったままなのに・・・。

「どうしたの?」

 僕が微動だにせず、しかも何も言わないのが気になったのか、ヨミが訊いてきた。

「せっかくお股を綺麗にしてあげたのに、何か不満でもあるのかな?」

 もう我慢できなかった。

 苦渋に満ちた声で、僕はつぶやいた。

「させて・・・」

「え?」

 わざとらしく訊き返してくるヨミ。

「何? 今なんて言ったの?」

 その紅い瞳に、なにやら悪戯っぽい光がきらめいた。

「させて・・・」

 苦悩を振り絞るようにして、僕はもう一度、つぶやいた。

「させてって、何を?」

 訊き返しながらも、ヨミの口角は少しずつ吊り上がっていく。

 わかってるんだ。

 その瞬間、確信した。

 こいつ、僕を焦らして、楽しんでる・・・。

 悔しかったけど、その悔しさを、欲望が上回った。

「射精・・・」

 口に出し、僕は唇をかみしめた。

「射精、させて・・・。お願い、だから・・・」
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