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103 耐え難き誘惑⑬

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「さっきみたいに・・・乳首を、触って・・・」

 耳朶まで赤くして、僕は言った。

 自然、口調が懇願するような響きを帯びた。

 口にしただけで、左右の乳頭に疼くような悦びがよみがえる。

 本当な、「舐めて」と言いたかった。

 でも、恥ずかしくて、そこまでは口に出せなかったのだ。

「それだけ?」

 眼を見開いて、ヨミが明るい声を出す。

「それだけでいいの・・・?」

「い、いや・・・」

 僕は小さくかぶりを振った。

「下も・・・」

 股間から斜めに立ち上がり、たわわに揺れる黒光りするモノに視線を落とし、つぶやいた。

「シタモ、さわって、ほしい・・・」

「なあに? どこを触って欲しいって? 声が小さくて、聞こえないなあ。してほしいなら、もっと大きな声で、聞こえるようにいわなきゃだめだよ」

 わざとらしく天を仰ぐようなポーズを取り、かさにかかって挑発するヨミ。

「ここ・・・」

 僕は腰を突き出した。

 半ば剥けた亀頭が、ヌルヌルの表面から湯気を上げ、敵機を狙うミサイルみたいに、真っ直ぐにヨミを指す。

「チン、チン・・・」

「ああ、それね」

 ヨミの口角がわずかに吊り上がり、悪魔的な笑みになる。

「チンチンだなんて、おかしいよ。そんな大きいもの、生やしてるくせに。ちゃんと、ペニスとか性器とかいいなよ。男根でも、陰茎でもいい。もう、大人なんだからさ」

 ペニス・・・性器・・・陰茎・・・男根・・・。

 いやらしい言葉がヨミの口からポンポン飛び出した。

「ほんとはね、触るだけじゃなく、舐め舐めしてあげたいところなんだけど・・・」

 ヨミが悪戯っぽい目で僕を見た。

「でも、今はまだダメだな。だって和夫ったら、言われたこと、まだやってないんだもの」

「言われたこと?」

 僕はきょとんとヨミを見返した。

「うちに来た時、言われたでしょ? その邪魔な体毛、ちゃんと剃らなきゃって。君は僕に、そんなごわごわした叢に顔を突っ込めとでも言うのかい?」


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