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83 虚ろな虜囚⑬
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ほどなくして、バスはやってきた。
女たちがタラップを上がるのを待ち、発車ギリギリで乗り込んだ。
車内は予想通り混んでいた。
街の中心部に向かう路線なので、行きに乗った時よりも更に混み合っているようだ。
当然、座ることはできず、僕は入り口近くに立ち、両手で吊り革を握った。
それとなく周囲を見回してみる。
行きのバスの中でヨミを陵辱したあの男。
あの痴漢も今ここにいるのだろうか。
結局顔は見えなかったけど、サラリーマンだった気がするー。
もし彼が今の僕を見たなら、どんな反応を示すだろう。
そう考えると、不穏な期待に鼓動が高まってきた。
今思うと、この時すでに、僕はおかしくなっていたのだ・・・。
バスが動き出し、しばらくたった頃ー。
僕は、あることを試したくて仕方なくなってきた。
ここでジャケットを脱いで、レオタードに包まれた躰を、曝け出す・・・。
乗客たちは、どんな反応を示すだろうか。
さっきの女たちのように、虫けらを見るような眼で睨みつけてくるのがオチだろうか。
あるいは、きのうのヨミの身に起こったようなことが、僕にも起こるのだろうかー。
どぎまぎしながら、吊り革から右手を離し、ジャケットの前をほんのちょっと、はだけた時だった。
突然、バスが揺れ、僕はバランスを崩し、倒れそうになった。
と、その時だった。
「あっ」
小さく叫び、たたらを踏んだ僕を、どこからか手が伸び、通路の奥に引っ張った。
「な、なに・・・?」
意表を衝かれたせいで吊り革から左手も離れ、僕は一気に狭い人と人の列の間に倒れ込んだ。
右手を引っ張る手が離れると、今度は背後から抱きすくめられた。
とっさに周りを人垣が囲み、乱暴にジャケットが脱がされる。
白いレオタードに包まれただけの、筋肉質の裸身がこぼれ出た。
その瞬間ー。
心の中で、僕は快哉を叫んでいた。
き、きた!
羞恥とともに僕が感じたのは、異様なまでの興奮だったのだー。
女たちがタラップを上がるのを待ち、発車ギリギリで乗り込んだ。
車内は予想通り混んでいた。
街の中心部に向かう路線なので、行きに乗った時よりも更に混み合っているようだ。
当然、座ることはできず、僕は入り口近くに立ち、両手で吊り革を握った。
それとなく周囲を見回してみる。
行きのバスの中でヨミを陵辱したあの男。
あの痴漢も今ここにいるのだろうか。
結局顔は見えなかったけど、サラリーマンだった気がするー。
もし彼が今の僕を見たなら、どんな反応を示すだろう。
そう考えると、不穏な期待に鼓動が高まってきた。
今思うと、この時すでに、僕はおかしくなっていたのだ・・・。
バスが動き出し、しばらくたった頃ー。
僕は、あることを試したくて仕方なくなってきた。
ここでジャケットを脱いで、レオタードに包まれた躰を、曝け出す・・・。
乗客たちは、どんな反応を示すだろうか。
さっきの女たちのように、虫けらを見るような眼で睨みつけてくるのがオチだろうか。
あるいは、きのうのヨミの身に起こったようなことが、僕にも起こるのだろうかー。
どぎまぎしながら、吊り革から右手を離し、ジャケットの前をほんのちょっと、はだけた時だった。
突然、バスが揺れ、僕はバランスを崩し、倒れそうになった。
と、その時だった。
「あっ」
小さく叫び、たたらを踏んだ僕を、どこからか手が伸び、通路の奥に引っ張った。
「な、なに・・・?」
意表を衝かれたせいで吊り革から左手も離れ、僕は一気に狭い人と人の列の間に倒れ込んだ。
右手を引っ張る手が離れると、今度は背後から抱きすくめられた。
とっさに周りを人垣が囲み、乱暴にジャケットが脱がされる。
白いレオタードに包まれただけの、筋肉質の裸身がこぼれ出た。
その瞬間ー。
心の中で、僕は快哉を叫んでいた。
き、きた!
羞恥とともに僕が感じたのは、異様なまでの興奮だったのだー。
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