バナナの皮を剥くように ~薔薇色の少年~ 

ヤミイ

文字の大きさ
上 下
82 / 205

81 虚ろな虜囚⑪

しおりを挟む
「ちょっと! また車の中を汚す気?」

 アヤカの叱責で、目が覚めた。

 勃起して大きくなったペニスをハイレグレオタードの縁から引っ張り出す寸前、僕は手を止めて赤面した。

 未練たっぷりの仕草で、火照った肉棒を元の位置に戻す。

 躰が疼いてならなかった。

 ヨミが憑依したような感じ、とでも言えばいいだろうか。

 僕は半ば昨日の車の中のヨミに成り代わり、絶頂に向かって自分の肉体を愛撫し始めていたのである。

 正直、無我夢中で、自慰に没頭しかけていた。

「勘弁してよね。あんたがザーメン漏らしたら、いったい誰が掃除すると思ってるの? あたしだよ、あ・た・し」

 バックミラーの中で、野球帽の鍔の下から大きな目が僕を睨みつけている。

 両側の銛が消え、窓から見える景色は都会のものに変わりつつあった。

「もうすぐバス停だから、頼むから辛抱してくれない?」

 アヤカの言う通り、ミニバンは速度を落とし始めていて、進行方向に人の並ぶバス停が見える。

 きのうの夕方、僕とヨミがこの車に拾われた場所だ。

「さ、降りて。せいぜい、楽しむがいいわ」

 バス停の少し手前で車を止めると、ふんと意地悪く鼻を鳴らしてアヤカが言った。

「な、なんのことだよ?」

 むっとしたふりをして言い返した僕だったが、

「とぼけるんじゃないよ。今のあんたが何を望んでるかなんて、とっくの昔からお見通し。このド変態野郎」

 そう鮮やかにアヤカに切り返され、後はもう、無言でバンを降りるしかなかった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...