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77 虚ろな虜囚⑦

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 スライドドアを開けて、後部座席に乗り込もうとした、その時である。

「ちょっと待って。乗らないで」

 先に運転席に収まっていたアヤカが、鋭い口調で僕を制止した。

「あんた、臭すぎない? それ、ザーメンの匂いでしょ?」

 降りてくるなり、叱るようにそう言った。

「あ、いや・・・」

 僕は悪戯を見つけられた子供よろしく真っ赤になった。

 こうもいい当てられてしまったら、もう、口ごもるしかない。

 隣の部屋で何者かに凌辱されるヨミの幻。

 希京によると、あれは妄想か幻覚ということになるのだがー。

 それをサカナに、またしても射精してしまったことは事実なのだ。

 一応部屋に備え付けのティッシュで拭ってきたものの、飛び散った精液は陰毛や下腹にもかなりの量、付着していたから、匂いが残っていたとしても不思議はない。

「ったく、ヨミもあんたも、変態にもほどがあるよね。そんな臭い服着て車に乗られちゃ、運転するこっちがかなわないよ」

「そんなこと、言われたって・・・。着替えなんて、もってないし・・・」

 僕はうなだれた。

 同い年くらいの娘に、そこまでなじられるのは屈辱以外の何物でもなかった。

 それに、たとえ朝風呂に入ってきたとしても、下着の汚れは隠せない。

 僕のビキニショーツは何度も精液を吸って、前の部分がごわごわになってしまっている。

「仕方ないわね。いいわ。そこで待ってなさい。ヨミの服を持ってきてあげる」

 くびれた腰に両手を当て、呆れたようなまなざしで僕を見て、アヤカが言った。

「彼、物持ちだから、少しくらい貸し出したってなんにも言わないでしょ。ましてや、相手がセフレ候補のあんたなら」

「セフレ、候補?」

 訊き返す暇もなかった。

 そう声を上げた時には、くるりと身を翻し、アヤカは屋敷の中に入ってしまっていた。

 僕が、ヨミの、セフレ候補だって?

 アヤカの遺した言葉を反芻すると、ゾクゾク感が下半身に広がり、またぞろ股間の中心が熱を持ってきた。


 
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