バナナの皮を剥くように ~薔薇色の少年~ 

ヤミイ

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53 大浴場の影⑥

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 ヨミが長い髪をかき上げ、うなじで手を組み、躰をクネクネさせる。

 そうー。

 まるで、湯面から両手を伸ばした何者かに向かって、胸を突き出すかのように・・・。

 そしてその何者かは、きっと両手の指でヨミの乳首を抓み、弄り始めているのだー。

 しかも、あろうことか、ヨミの股間のアレを口に含みながら・・・。

 腰に巻いたタオルがめくれ上がり、イチモツが鎌首をもたげるのがわかった。

 画し切れないほど怒張したそれのせいで、今にもタオルが外れそうだ。

 だが、僕にはそんなことにかまっている心の余裕はなかった。
 
 もう我慢できない。

 いったい、誰なんだ?

 ヨミにあんなことをするのは?

 どす黒い嫉妬で、息がつまりそうだった。

 ヨミは僕に気があるのではなかったのか?

 ー君にしてほしかったよ。

 バスの中で痴漢に襲われた後、迎えの車の中でつぶやいたあの言葉。

 あれは嘘だったのか?

 もう一度、タオルがずり落ちるのもかまわず、引き戸に右手をかけた。

 覆いがなくなり、ぶるんと勃起ペニスが飛び出した。

 まだ包皮を被ってはいるものの、かなりの勃起具合で我ながら重みが凄い。

 陰部から屹立する性器を揺らし、そのたわわ感を躰の中心に感じながら、思い切って引き戸を開ける。

「そ、そこで、な、何してるんだ?」

 ひどく掠れた甲高い声が出た。

 喉でひっかかり、ヒイッとと木枯らしが鳴るような恥ずかしい声だった。

 バシャッ。

 水しぶきが上がった。

 ヨミを嬲っていた何者かが、いきなり湯の中に潜ったのだ。

「あ」

 惚けたような声を出すヨミ。

 湯気のベールを通して、泡立つ湯面の下を、黒い影が向こうのほうへ移動していくのが見えた。

 この露天風呂の奥はちょっとした滝になっていて、下段のテラスに湯が流れ落ちているらしい。

 どうやら影はその方向に移動していくようだ。

「あ~あ、いいところだったのに」

 影が消えるのを見届けると、ヨミが振り返った。

 ルビーのような赤い目が、僕を見る。

 訝しげなその視線が、僕の股間まで下りて止まった。

 血の気のない唇が、両の口角を上げて三日月形になる。

「和夫、キミこそどうしたの? オトコの子の恥ずかしい部分、そんなに大きく勃たせちゃってさ」

 

 
 
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