バナナの皮を剥くように ~薔薇色の少年~ 

ヤミイ

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51 大浴場の影④

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 誰だ?

 ヨミのやつ、誰としゃべってる?

 我慢できず、僕は一度離した引き戸に手をかける。

 音を立てぬよう、そうっと引いて隙間を作り、思い切って覗いてみた。

 夜空を背景にした、温泉旅館でよく見かける、どこにもありそうな露天風呂の風景の中ー。

 下半身を湯に沈め、こちらに背中を向けて細身の若者が立っている。

 月明かりに光る銀髪と、蝋のように白い膚は間違いなくヨミのものだ。

 少女のそれを思わせる小ぶりな尻が半分湯から出ていて、その双丘の間の割れ目の陰りが悩ましい。

 その向こうに誰かいて、顔だけお湯から出しているのか、少し身体を反らして、ヨミは湯面を見下ろしている。

 が、僕の所からは、ヨミの裸体が邪魔をして、相手の姿はまるで見えなかった。

 ただ、明らかにヨミのものとは別の、荒い息遣いだけが聴こえてくるのだ。

「どうしても、したいんだね」

 クスクスヨミが笑い出す。

「キミはそんなに僕の”これ”が好きなのかい? さっきまでさんざん弄んでいたくせに」

 どきりとした。

 ”これ”って、まさか…。

 胸底から、苦いものが湧き上がる。

 弄んでた?

 てことはやっぱり相手はあの地下室でヨミを陵辱していた誰かと同一人物なのか?

 とすれば、可能性はただひとつ。

 僕はギリリと奥歯を噛み鳴らさざるを得なかった。

 写真集のあの少年。

 ヨミとシックスナインに興じていた、あのふたごみたいなアルビノの子・・・。

 かすかに僕の奥歯が軋んだ時である。

「ああ、だめ…」

 ふいにヨミが甘くかすれた声を上げ、両手で長い髪をかき上げた。

 
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