バナナの皮を剥くように ~薔薇色の少年~ 

ヤミイ

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50 大浴場の影③

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 動きがあったのは、露天風呂のほうだった。

 大浴場との仕切りのすりガラス越しに、何やら白いものが動いた気がしたのである。

 目を凝らす。

 一面の湯気が視界を隠している。
 
 そのベールが晴れるのを辛抱強く待っていると、はざまからまた見えた。

 間違いない。

 真っ白な裸身が、露天風呂のスペースで動いている。

 妖精を連想させるあの白い肌。

 間違いない。

 あれはヨミだ。

 いつ、地下室から解放されたのだろう。

 僕が部屋にこもっている間に、先にここに来ていたのだろうか。

 地下室でされた凌辱行為の穢れを落とすために・・・。

 これ以上混乱しないためにも、無視して風呂から上がるべきだったかもしれない。

 でも、僕にはできなかった。

 ヨミには訊いてみたいことが山ほどある。

 僕が今後ここに越してくるかどうかは、その返答によって決まる気さえするほどだ。

 湯舟から上がり、大理石の床をめぐって露天風呂への出入り口へと向かう。

 ヨミのことを考えたせいだろう。

 股間のイチモツがまたも力を取り戻し、太さと長さを増してきていた。

 歩くたびに生暖かい棒の先が内腿に触れ、たわわに実ったモノの重みが股間に伝わってくる。

「ヨミ・・・」

 すりガラス製の引き戸に手をかけ、そう声をかけようとした、その瞬間だった。

「あ・・・」

 僕は予想外の出来事に驚き、あわてて引き戸を元のように閉めかけた。

 誰かに向けてしゃべるヨミの声が聴こえてきたのである。

「ここでもまたするのかい? ははあ、さては妬いてるな。ひょっとしてキミ、ボクが彼にぞっこんだと思って嫉妬してるじゃない?」
 
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