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40 闇の中の宴①

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 足音を忍ばせて階段を降りる。

 突き当りの板戸は5センチほど開いている。

 その隙間から洩れる光が、黄色から赤に変わった。

 と、また、あの声が僕の耳朶を打った。

 -ソコハ、ダメエッ! アアンッ!

 間違いない。

 ヨミだ。

 ヨミはこの扉の向こうにいる。

 誰に何をされているのか、ヨミのその声はあまりにも淫靡で、甘かった。

 僕は前かがみにならざるを得ないほど股間を膨張させ、扉の前にかがみ込んだ。

 -ハアハアハア・・・。

 烈しい息遣い。

 -ソ、ソコ・・・。

 クチュクチュクチュ・・・。

 こ、これは、な、なんの音なんだ?

 我慢できず、隙間から中を覗いてみた。

 そこは、妖しい光に照らされた薄暗い部屋だった。

 天井近くにミラーボールが設置してあるのか、部屋の中を照らす光は、赤、青、緑、黄と変わっていく。

 光に照らし出されたものを見て、僕はゾッとなった。

 マネキン人形だ。

 おびただしいマネキンが、林のように雑多に立ち並び、視界を遮っている。

 どれも裸で、男の人形も女の人形もある。

 -アア・・・モット・・・。

 そのマネキンたちの奥から、甘やかなヨミの喘ぎ声は聞えてくるようだ。

 目を凝らすと、ポーズを取ったマネキンとマネキンの腕の間から、異様な光景が見えた。

 両手首を縄で縛られた全裸の少年が、低い天井を走る梁から吊るされている。

 見えるのは上半身だけで、その苦しげな顔は確かにヨミのものである。

 ヨミは汗で額に銀髪を貼りつかせ、半開きの口からよだれを垂らして喘いでいる。

 ヨミがかなりの興奮状態にあることは、白い肌に影を作るほど勃起した乳首の様子で明らかだ。

 遠目にもわかるぐらい大きくなったふたつの乳首は、ヨミの薄い胸に取り付けられた一対の取っ手のようだ。

 誰かがヨミの下半身を陵辱しているー。

 それは間違いなかった。

 くそっ。

 僕は心の中で毒づき、こぶしを握り締めた。

 ここからは、どうやっても、その肝心の部分ーヨミのへそから下が見えないのだ・・・。
 
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