31 / 204
30 奇怪な儀式⑥
しおりを挟む
答えられず、僕はうつむいた。
警官の試験?
太平洋戦争時の徴兵?
そんなこと、どうだっていい。
屈辱的な格好を求められるその理由。
問題は、それだった。
はたして、僕自身は、どうなのだ?
自分の気持ちが、わからない。
いや、うすうすわかってはいるけれど、自身がない、というべきか。
15年前に、僕と母を捨てて他の女に走った父。
その父のもとに、初めて会う異母兄弟とともに、同居する。
ここに来るまでは、正直、面白半分、怖いもの見たさ、みたいなところがあったことは、否めない。
母さんが死んだばかりで、すべてに現実感がなかったせいもある。
自分自身の懐事情からして、すぐにでも引っ越し先を探さねばなるまいと思っていたことも、理由の一つ。
今更実の父親に会いたいなどとセンチな気分に囚われていたわけではなく、純粋に寝る場所が欲しかったのだ。
ただ、ヨミと一緒にここに来る途中、想定外の彼の一面を目の当たりにして、僕は正直、揺れている。
もう少し、ヨミと一緒にいる時間を増やしたい。
いつのまにやら真剣に、そう考えるようになっていた。
その気持ちは、虫唾が走るような外観と雰囲気の実父、比良坂希京に出くわしてすらも、変わらない。
いやむしろ、あの化け物の手元にヨミを残して立ち去ることに、僕は抵抗感さえ覚え始めている・・・。
-わかりましたよ。
心の中でそうつぶやき、僕は二人の前のテーブルに右足をかけた。
そして、バランスを崩さぬよう慎重にその上に立つと、ゆっくりと腰をかがめ、伸ばした手をついて躰を支えた。
両手をついたところで、躰の向きを入れ替え、後方に両脚を伸ばす。
最後にうつ伏せに近い姿勢を取り、四肢を突っ張って身を反らした。
希京に向け、少し足を開き、尻を掲げる体勢である。
その尻に息がかかるほど顏を近づけ、蟇蛙が命令した。
「もっと尻を上げろ。そうして、自分の手で、肛門を開くんだ」
警官の試験?
太平洋戦争時の徴兵?
そんなこと、どうだっていい。
屈辱的な格好を求められるその理由。
問題は、それだった。
はたして、僕自身は、どうなのだ?
自分の気持ちが、わからない。
いや、うすうすわかってはいるけれど、自身がない、というべきか。
15年前に、僕と母を捨てて他の女に走った父。
その父のもとに、初めて会う異母兄弟とともに、同居する。
ここに来るまでは、正直、面白半分、怖いもの見たさ、みたいなところがあったことは、否めない。
母さんが死んだばかりで、すべてに現実感がなかったせいもある。
自分自身の懐事情からして、すぐにでも引っ越し先を探さねばなるまいと思っていたことも、理由の一つ。
今更実の父親に会いたいなどとセンチな気分に囚われていたわけではなく、純粋に寝る場所が欲しかったのだ。
ただ、ヨミと一緒にここに来る途中、想定外の彼の一面を目の当たりにして、僕は正直、揺れている。
もう少し、ヨミと一緒にいる時間を増やしたい。
いつのまにやら真剣に、そう考えるようになっていた。
その気持ちは、虫唾が走るような外観と雰囲気の実父、比良坂希京に出くわしてすらも、変わらない。
いやむしろ、あの化け物の手元にヨミを残して立ち去ることに、僕は抵抗感さえ覚え始めている・・・。
-わかりましたよ。
心の中でそうつぶやき、僕は二人の前のテーブルに右足をかけた。
そして、バランスを崩さぬよう慎重にその上に立つと、ゆっくりと腰をかがめ、伸ばした手をついて躰を支えた。
両手をついたところで、躰の向きを入れ替え、後方に両脚を伸ばす。
最後にうつ伏せに近い姿勢を取り、四肢を突っ張って身を反らした。
希京に向け、少し足を開き、尻を掲げる体勢である。
その尻に息がかかるほど顏を近づけ、蟇蛙が命令した。
「もっと尻を上げろ。そうして、自分の手で、肛門を開くんだ」
0
お気に入りに追加
47
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる