バナナの皮を剥くように ~薔薇色の少年~ 

ヤミイ

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7 双龍邸へ②

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 その夜、僕はヨミと会うことになっていた。

 ゆうべ、最後にヨミは言ったのだ。

 -君のこと、気にいったよ。できれば、一緒に暮らしたいな。

 その時、僕がした返事はこうだった。

 今更僕と母を捨てた父の世話になるのは、あまり気乗りがしない。

 ただ、行くあても今後の展望もないことは確かだ。

 だから、一度、父に会ってから決めたい。

 その双竜邸とやらに赴いてー。

 
 正直、比良坂希京なる人物のことなど、どうでもよかった。

 実の父に会いたいと焦がれる年頃は大幅に過ぎているし、名前をネットで検索してみた結果も最悪だった。

 その名前に心当たりがなかったはずである。

 比良坂希京の正体は、怪しげな出版社から怪しげなシリーズを出している官能小説家だったのだ。

 官能小説。

 つまり、エロ。

 著作リストには、『寝取られ人妻シリーズ』など、いかにも昭和のエロ小説といった感じのタイトルがずらりと並んでいた。

 その意味では、確かにマイナーでカルトな世界ではそれなりに需要がある人気作家なのかもしれなかった。


 では、実の父に興味がないのに、なぜ僕がヨミの提案を受け入れたのかといえばー。

 ヨミというアルビノの美少年に、抵抗し難い魅力を感じたからだった。

 僕にその気(け)はない。

 それは確かなはずだった。

 でも、今は自信がない。

 なぜって僕は、あの天使のような美少年、ヨミに出会ってしまったのだから・・・。

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