8 / 205
7 双龍邸へ②
しおりを挟む
その夜、僕はヨミと会うことになっていた。
ゆうべ、最後にヨミは言ったのだ。
-君のこと、気にいったよ。できれば、一緒に暮らしたいな。
その時、僕がした返事はこうだった。
今更僕と母を捨てた父の世話になるのは、あまり気乗りがしない。
ただ、行くあても今後の展望もないことは確かだ。
だから、一度、父に会ってから決めたい。
その双竜邸とやらに赴いてー。
正直、比良坂希京なる人物のことなど、どうでもよかった。
実の父に会いたいと焦がれる年頃は大幅に過ぎているし、名前をネットで検索してみた結果も最悪だった。
その名前に心当たりがなかったはずである。
比良坂希京の正体は、怪しげな出版社から怪しげなシリーズを出している官能小説家だったのだ。
官能小説。
つまり、エロ。
著作リストには、『寝取られ人妻シリーズ』など、いかにも昭和のエロ小説といった感じのタイトルがずらりと並んでいた。
その意味では、確かにマイナーでカルトな世界ではそれなりに需要がある人気作家なのかもしれなかった。
では、実の父に興味がないのに、なぜ僕がヨミの提案を受け入れたのかといえばー。
ヨミというアルビノの美少年に、抵抗し難い魅力を感じたからだった。
僕にその気(け)はない。
それは確かなはずだった。
でも、今は自信がない。
なぜって僕は、あの天使のような美少年、ヨミに出会ってしまったのだから・・・。
ゆうべ、最後にヨミは言ったのだ。
-君のこと、気にいったよ。できれば、一緒に暮らしたいな。
その時、僕がした返事はこうだった。
今更僕と母を捨てた父の世話になるのは、あまり気乗りがしない。
ただ、行くあても今後の展望もないことは確かだ。
だから、一度、父に会ってから決めたい。
その双竜邸とやらに赴いてー。
正直、比良坂希京なる人物のことなど、どうでもよかった。
実の父に会いたいと焦がれる年頃は大幅に過ぎているし、名前をネットで検索してみた結果も最悪だった。
その名前に心当たりがなかったはずである。
比良坂希京の正体は、怪しげな出版社から怪しげなシリーズを出している官能小説家だったのだ。
官能小説。
つまり、エロ。
著作リストには、『寝取られ人妻シリーズ』など、いかにも昭和のエロ小説といった感じのタイトルがずらりと並んでいた。
その意味では、確かにマイナーでカルトな世界ではそれなりに需要がある人気作家なのかもしれなかった。
では、実の父に興味がないのに、なぜ僕がヨミの提案を受け入れたのかといえばー。
ヨミというアルビノの美少年に、抵抗し難い魅力を感じたからだった。
僕にその気(け)はない。
それは確かなはずだった。
でも、今は自信がない。
なぜって僕は、あの天使のような美少年、ヨミに出会ってしまったのだから・・・。
0
お気に入りに追加
48
あなたにおすすめの小説



久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…




塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる