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6 双龍邸へ①
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翌日は秋晴れの上天気だった。
午後までに無事葬式を済ませ、その後叔父夫婦とともに火葬場へ赴き、お骨を拾った。
紅葉が見事な霊園を見下ろす休憩所で、叔母に最後の別れの挨拶をした。
結局ひと言も口を利かなかった叔父は先に車に戻っていて、あずまや風の屋根の下にいるのは白木の箱を抱えた僕と若干疲れの見える叔母のふたりだけだった。
「じゃあ、元気でね」
気弱げな微笑を浮べて叔母は言ったものだけど、結局、困ったら連絡してね、とは最後まで口にしなかった。
心根の優しい叔母のことだ。
あの女の息子には二度と関わるな。
きっとそう、叔父に止められていたのだろう。
去っていく叔母の背に、僕はよほど声をかけようかと迷った。
ゆうべ異母兄弟と名乗るヨミに会い、彼に聞いた話を告げようと思ったのだ。
でも、結局、そうはしなかった。
これは僕自身の問題だ。
この先のことは、僕が決めればいいだけの話だからである。
午後までに無事葬式を済ませ、その後叔父夫婦とともに火葬場へ赴き、お骨を拾った。
紅葉が見事な霊園を見下ろす休憩所で、叔母に最後の別れの挨拶をした。
結局ひと言も口を利かなかった叔父は先に車に戻っていて、あずまや風の屋根の下にいるのは白木の箱を抱えた僕と若干疲れの見える叔母のふたりだけだった。
「じゃあ、元気でね」
気弱げな微笑を浮べて叔母は言ったものだけど、結局、困ったら連絡してね、とは最後まで口にしなかった。
心根の優しい叔母のことだ。
あの女の息子には二度と関わるな。
きっとそう、叔父に止められていたのだろう。
去っていく叔母の背に、僕はよほど声をかけようかと迷った。
ゆうべ異母兄弟と名乗るヨミに会い、彼に聞いた話を告げようと思ったのだ。
でも、結局、そうはしなかった。
これは僕自身の問題だ。
この先のことは、僕が決めればいいだけの話だからである。
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