ケモノの原罪 

ヤミイ

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① うまれてごめんなさい

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 大好きな先輩の着替えシーンを盗撮した。

 部活が始まる前に、部室にスマホをしかけておいたのだ。

 部活が終わってドキドキしながら隠し場所からスマホを取り出した。

 再生してみると、ちゃんと映っていた。

 着やせする先輩の、しなやかながら筋肉質のたくましい上半身。

 そして、太腿の間からぶら下がる、先の綺麗に剥けた大きな男性器・・・。

 もう、たまらなかった。

 見ているだけでは飽き足らず、僕はいつしか制服のズボンと下着を足首までずり下ろしていた。

 股間で、興奮でいきり立った僕の分身が震えている。

 皮を剥くと、尿道口からすでに露がにじみ出ていた。

 左手で竿の部分を握り、スマホの画面を食い入るように見つめながら、しごいた。

 シコシコシコシコ・・・。

 ああん・・・。

 き、気持ち、いい。

 でも、いくらしごいても、しごきたりなかった。

 一度でいい。

 一度でいいから、先輩の逞しい胸に抱かれ・・・それから、先輩の熱く太いアレを、口いっぱいに頬張りたい・・・。

 その思いが、頭の中を渦巻いた。

 無意識のうちに、僕は先輩の名を声に出して呼んでいた。

 と、その時だった。

「呼んだか?」

 意外なほど近くで、当の先輩の声がした。

 僕はフリーズした。

 行為に夢中で、先輩が入ってきたことに気づかなかったのだ。

「そのスマホ、やっぱりおまえのだったのか。誰が仕掛けたのか、ちょっと見に来たんだが」

 先輩が、僕の髪を片手でわしゃわしゃかきまぜた。

「しょうがないやつだな。そんなに俺のことが好きなのか」

 僕はうなずいた。

 自分が性器を握りしめたままだということも、忘れていた。

 頬を涙が伝のがわかった。

 入学してから一年半。

 僕の思いを、曲がりなりにも先輩に伝えることができたのだ。

「ホモ、ゲイ、性同一障害、なんだか知らないが」

 僕を見つめて、先輩が意味ありげに笑った。

「人に好かれるのは、悪い気はしない。よく見ると、おまえ、女みたいでなかなか可愛いしな」

 僕が、可愛い・・・?

 天にも昇る心地だった。

 先輩も、僕に好意を?

「だが、盗撮は犯罪だ。それくらい、わかるだろう?」

 僕は、もう一度うなずいた。

 先輩、何が言いたいんだろう?

「まあ、先生に告げ口するのもなんだし、俺が私的に罰を与えてやろう。なあに、悪いようにはしない。明日の放課後、俺たちの教室に来い」



 それだけ言い残して、先輩は去っていった。


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