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💛2 ロリポップ②
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異世界を転々とする際に必要なのは、当然のことながら、転移した先の世界とのコミュ能力である。
正直、コミュ障は異世界転移には向いていないのだ。
でも、当然のことながら、転移先で一人ひとりとじっくり向き合って理解を深めるのはけっして容易なことではない。
対人関係における「理解」には、多大な時間的・精神的リソースの供出が不可欠となるからだ。
実際問題として、私たちの時間的・精神的なリソースは無限ではない。それらは明らかに有限であるし、また豊富にあるとも言いがたい。
私たちはいかなるときにも、出会った他者に対して十分なリソースを割き「一人ひとりを一切の偏見なく判断する」ことなど、残念ながらできないのだ。
いつまた異世界転移が生じるかわからない以上、「時間的・精神的リソースを『省エネ』してジャッジできるような相手」が、ある種のガス抜き的な存在として、転生者には必要になる。
私の場合、その相手は常に百合友である。
ユリトモには精神的つながりはあまり必要ではない。
時間的リソースをかける必要もない。
要は相手を気持ちよくしてやり、自分も気持ちよくなれるー。
そんな関係を手っ取り早く築いてやればいいだけだから。
これが異性相手となると、非常に面倒くさいことになる。
第一、現在、どこの並行世界でも、男たちは非モテ系男子が大量に発生していて、男同士でしかつるまない。
まともなオスを探すほうが難しくなっているのだ。
それは人間界だけでなく、エルフの世界でもオークの世界でもゴブリンの世界でも同じである。
これでは当然、エントロピー増大に歯止めがかからない。
だから私はコウナゴとの関係強化を急ぐ。
ロリポップはそのための大切なアイテムだ。
コウナゴがおそるおそるといった感じで唇を尖らせる。
その愛くるしい唇に、私は丸いキャンディーをそっと押しつける。
コウナゴの口が開き、ピンクの舌が現れる。
彼女の舌は先が尖り、プラナリアに似た形をしている。
コウナゴが飴の表面を舐めた。
唾液が糸を引きー。
おいしい!
と言いたげに目を細めた。
かかった。
私は心の中でほくそ笑み、コウナゴの唇の反対側からキャンディーに唇をつける。
私たちの顔と顔は、キャンディーだけを間にして、もう1センチほどしか離れていない。
そう。
これは、十分キスに持ち込める距離なのだ。
正直、コミュ障は異世界転移には向いていないのだ。
でも、当然のことながら、転移先で一人ひとりとじっくり向き合って理解を深めるのはけっして容易なことではない。
対人関係における「理解」には、多大な時間的・精神的リソースの供出が不可欠となるからだ。
実際問題として、私たちの時間的・精神的なリソースは無限ではない。それらは明らかに有限であるし、また豊富にあるとも言いがたい。
私たちはいかなるときにも、出会った他者に対して十分なリソースを割き「一人ひとりを一切の偏見なく判断する」ことなど、残念ながらできないのだ。
いつまた異世界転移が生じるかわからない以上、「時間的・精神的リソースを『省エネ』してジャッジできるような相手」が、ある種のガス抜き的な存在として、転生者には必要になる。
私の場合、その相手は常に百合友である。
ユリトモには精神的つながりはあまり必要ではない。
時間的リソースをかける必要もない。
要は相手を気持ちよくしてやり、自分も気持ちよくなれるー。
そんな関係を手っ取り早く築いてやればいいだけだから。
これが異性相手となると、非常に面倒くさいことになる。
第一、現在、どこの並行世界でも、男たちは非モテ系男子が大量に発生していて、男同士でしかつるまない。
まともなオスを探すほうが難しくなっているのだ。
それは人間界だけでなく、エルフの世界でもオークの世界でもゴブリンの世界でも同じである。
これでは当然、エントロピー増大に歯止めがかからない。
だから私はコウナゴとの関係強化を急ぐ。
ロリポップはそのための大切なアイテムだ。
コウナゴがおそるおそるといった感じで唇を尖らせる。
その愛くるしい唇に、私は丸いキャンディーをそっと押しつける。
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彼女の舌は先が尖り、プラナリアに似た形をしている。
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おいしい!
と言いたげに目を細めた。
かかった。
私は心の中でほくそ笑み、コウナゴの唇の反対側からキャンディーに唇をつける。
私たちの顔と顔は、キャンディーだけを間にして、もう1センチほどしか離れていない。
そう。
これは、十分キスに持ち込める距離なのだ。
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