僕は家畜人 ~”連続絶頂” どうせ逝くなら、君の手で~

ヤミイ

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43 家畜としての目覚め⑤

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 イキすぎて、完全に気を失っていたらしい。
「時間だ。起きろ」
 躰を揺すられて、薄目を開けると、僕はベッドに仰臥したままで、そんな僕を調教師が見下ろしていた。
「成分分析の結果が出た。喜べ。きさまのミルクは、無事、ネクタルに回されることが決定した」
「・・・え?」
 僕はのろのろと上体を起こした。
 手足の筋肉に力が入らない。
 特に下半身には、どうしようもなくけだるさが残っていて、身を起こすのも億劫なのだ。
「当然のことながら、ネクタル要員のほうが、時給が高い。いや、この場合、時給というより、量給だがな」
「リョウキュウ?」
 聞いたことのない言葉だった。
 そんなこと、募集要項にも契約書面にも書いてなかった気がする。
「会社は家畜人の分泌する精液の量に対して、給料を払う。だから、量給だ」
 そうなのか。
 だが、言われてみれば、当然のことだった。
 この仕事の場合、働く時間がいくら長くても、肝心の精液が出ないのでは話にならないのだ。
 逆に、短期間で何度も射精できる人材のほうが、優秀と言える。
 たとえば、この僕のように…。
「さっき、人権蹂躙がどうとか言っていたが、今の気分はどうだ? この仕事、辞退するのか、それとも…」
 調教師は覆面に開いた穴からじっと僕を見つめてくる。
「そ、それは…」
 恥ずかしくなって、つい顔を背けてしまった。
 僕の精液が、ソウルフーズが誇る人気商品ネクタルに使用されるとすると、バイト料はかなりアップするに違いない。
 が、そのこととは別に、僕の心を捉えて離さない要素が、ひとつあった。
 とにかく、気持ちいい、のである。
 体感からして、僕がこの工場に来てから、まだそんなに時間は経っていない。
 少なくとも、まる一日、いや、それどころか、半日にもなっていないに違いない。
 多めに見積もっても、せいぜい2時間か3時間のことだろう。
 なのに僕は、なんと10回近くも放出してしまったのである。
 これはオナニー狂いの僕の人生の中でも、間違いなく新記録だった。
 つまりは、ここで味わわされた快楽は、それほど凄まじかったということだ。
 思い出すだけで、躰の芯が疼いた。
 もう勃つだけの元気など残っていないはずなのに、死んだウナギのような性器が股の間でズルリと蠢くのがわかった。
 麻薬中毒患者って、もしや、こんなふうなのだろうか。
 わななき始めた躰を持て余しながら、僕は思った。
 理性がどれだけ拒否しようと、肉体がその愉楽を求めてやまない。
 だから…僕は…僕としては…もう…。
「やります」
 顔を背けたまま、かすれ切った声で僕は答えた。
「やりますから、さっそくシフトを決めてもらえませんか?」
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