僕は家畜人 ~”連続絶頂” どうせ逝くなら、君の手で~

ヤミイ

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12 奇妙な検査④

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「ま、とりあえず、採取してみることにいたしましょう」
 言いながら、僕の勃起陰茎の先に、鰐部氏が器具のゴムサックの部分をかぶせにかかった。
「ああっ」
 叫んでしまったのは他でもない。
 むけた亀頭の表面をゴムがさすり、ひりつくような快感を生み出したからである。
 それは厚めのコンドームのようなものだった。
 硬くなった陰茎にフィットして、亀頭の松茸状の輪郭をくっきり浮き上がらせていく。
「内側に潤滑液が塗り込んでありますから、自前の前駆液も出ていることですし、仮性包茎でも痛くはないはずです」
 特大の”指サック”にぐいぐい亀頭を押し込みながら、どこか得意げに鰐部氏が言った。
 確かにその通りだった。
 ”指サック”の直径は明らかに僕の勃起陰茎より狭いのだが、そこにズルむけの亀頭を押し込まれても痛みは感じない。
 いや、それどころか、むしろ…。
「アアアアアアアア! だめっ!」
 摩擦のほとんどないヌルヌルしたその感触にー。
 股間からとめどなく沸き起こる愉悦の波紋に耐えかねて、僕は無意識のうちにのけぞり、そう叫んでいた。
「何が『ダメ』なんです?」
 僕を見上げた鰐部氏の眼鏡の縁がきらりと光った。
「私には、あなたが悦んでいるようにしか、見えないのですが」
「ち、ちが…」
 反論しかけたけど、否定できなかった。
 鏡に映る全裸の青年は、発情した性器の先っちょにゴムの器具を装着され、わなわなと震えている。
 嫌なら逃げればいいのに、まるで自ら鰐部氏の手に身を捧げるかのように、両手をうなじに回し、腰を突き出して…。
「や、やめ、て…」
 なんとか気力を奮い起こし、未練を立ち切って、僕は言葉を絞り出した。
「これ以上…は…だめ…」
「そうなんですか。そこまでおっしゃるなら」
 あっさり言って、鰐部氏が身を引いた。
 器具を装着し終わったのだ。
「でも、本当にここでやめてしまっていいんですかね?」
 数歩後ろに下がり、股間の陰茎を鬼のように勃起させてわなないている僕を眺め、冷たく言い募る。
「そこ、そんなに硬くしたまま放置して、何もせずに帰宅できますか?」
「……」
 僕は顔を背けた。
 正直、物足りなさが半端ない。
 このままでは、帰りの地下鉄の中で、欲求不満が爆発して、自ら露出しかねない。
「もし本当にお嫌でしたら、カテーテルは外しますが。そして、この話は、最初からなかったことに」
 くう…。
 僕は奥歯を噛み締めた。
 我慢できなかった。 
 器具の用途はいまだ不明である。
 けれど、嵌められてすごく気持ちよくなったことだけは、確かだった。
 この先、何が起こるかはわからない。
 でも、ひどく淫靡な予感がした。
 背徳的な欲望に背筋がぞくぞくし、改めて乳首が勃ってくるのがわかった。
 ついに観念し、僕はゆるゆる首を振った。
「つ、続けて…」
 そうつぶやくと、頬を赤らめ、目を伏せた。

 
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