僕は家畜人 ~”連続絶頂” どうせ逝くなら、君の手で~

ヤミイ

文字の大きさ
上 下
8 / 61

7 握力とぬくもり

しおりを挟む
 彼が”僕”を握っていた時間ー。
 それは、アクシデントにしては、ずいぶんと長いように、僕には感じられた。
 まるで”僕”の海綿体の硬さと弾力を味わうかのような握り方…。
 ただ握りしめただけでなく、”棒”全体を撫で回すように手のひらをぐるりと半周させ…。
 あまつさえ、余り気味の包皮をめくってみせるところまで…。
 彼の手に僕の体液が付着したのは、そのためだった。
 体液といっても、射精の時出る精液ではない。
 性交をスムーズにするため、性的興奮を覚えると前立腺が分泌するカウパー腺液と呼ばれる潤滑剤である。
 尿道口から滲み出ていたその前駆液が、包皮をめくられた時、故意か偶然か、亀頭に触れた彼の手に付着したというわけだ。
 彼が手を離すまでの時間は、客観的にはほんの数秒だったのかもしれない。
 でも僕には、それが永遠にも感じられたのだった。
 他者に躰の中心を握られる感触。
 それも、完全に欲情した段階での生殖器官を、これほどまでの美青年に、いと愛しむようにぎゅっと…。
 そうー。
 一ノ瀬渉は、縁なしの眼鏡のよく似合う理知的な風貌の美青年だった。
 上背はそれほどないが、中肉中背の身体は均整が取れており、驚くほど足が長かった。
 その美青年が、はずみでとはいえ、股間の”もの”を勃たせた全裸の僕を抱きしめ、しかも、握ってきたのである。
 僕には同性愛の趣味なんてない。
 今までずっとそう信じ込んできた。 
 けれど、その自信が揺らいでしまったのが、きょうの出来事だ。
 まず、痴漢に襲われただけで、勃起してしまった。
 その状態は多機能トイレに連れ込まれても続き、全裸に剥かれると尚更ひどくなった。
 股間の”もの”を怒張させ、乳首を勃たせた己の裸体を他人に見られることで、余計に興奮してしまったのだ。
 そしてそこに現れた一ノ瀬渉の”タッチ”-。
 これが決定的だったように思う。
 永遠に、握っていてほしい…。
 彼に抱かれながら、僕は本気でそう願っていた。
 せめて、烈しく扱いて、管の中を溢れる寸前にまで昇ってきている”中身”を出させてほしい…。
 そんな背徳的な感情に支配され、僕は自ら腰を突き出し、彼の手に灼熱の肉の棍棒を押しつけたのだったが…。
 彼はあたかもいけないことでもしたかのように、さっと手を引っ込めてしまったのである。
 そうして一ノ瀬渉と名乗った美青年は、
「じゃあ、俺はこれで」
 と言い残し、僕が服を着出すのも待たず、トイレを出て行ってしまったのだった…。
 

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

モルモットの生活

麒麟
BL
ある施設でモルモットとして飼われている僕。 日々あらゆる実験が行われている僕の生活の話です。 痛い実験から気持ち良くなる実験、いろんな実験をしています。

執着攻めと平凡受けの短編集

松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。 疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。 基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)

処理中です...