淫美な虜囚

ヤミイ

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640 インターバル⑦

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 ゼリー状の栄養剤を2パック飲み終えると、空腹が収まってきた。
 正直、性欲のほうが強くてほとんど感じていなかったのだが、1パック目を飲んだ時強烈に自覚させられたのだ。
 が、その空腹も、2パック目でほぼ抑えられ、代わって、腹がくちくなった分だけ、性欲がぶり返してきた。
 催淫剤を注射された部位が焼きごてを当てられたように熱くなり、そこから異様な痺れが広がり始めたのである。
 それは、今まで感じたことのないほどの強烈な飢餓感を伴う痺れだった。
 飢餓感と言っても、食事に対しての飢えではない。
 触られること、嬲られること、弄ばれることに対する、どうしようもないほど熾烈な渇望である。
「すごい…。ほんとに、大きくなってきた」
 中腰になって僕の陰茎を観察していた姉さんが、感心したように吐息を吐いた。
「海綿体に、更に太い青筋が浮き上がって、筋肉の結節で凸凹になってきてる…」
「確かに…。まるで、真珠を埋め込んだヤクザのアレみたいだ」
 はあはあはあはあ…。
 姉さんと陽に局部を見つめられたまま、僕は鏡の中の自分の像に興奮する。
 ふたりのいう通りだ。
 こんなに勃起したこと、初めて…。
 しかも、性器だけでなく、乳首まで…。
 ああ、触ってほしい…。
 誰でもいい…。
「は、早く…」
 無意識のうちに、口走ってしまっていた。
「早く、触って…。僕を、めちゃくちゃに、して…」
 鏡の中の自分に向けて、狂ったように腰を動かした。
 しまいにそれでは飽き足らず、僕はその等身大の鏡に貼りつくと、火照った陰部と乳首を鏡に押し付けー。
 中の自分の顔にキスをした。
「今出しちゃダメでしょ」
 姉さんが僕の裸の尻を蹴り、振り向かせておいて頬を両手で挟み込む。
「しかも自分のエロい姿に興奮するなんてあんたマジ変態」
 ギリギリまで顔を近づけ、ぺっと唾を吐きかけてくる。
「翔さまもそうでした。暇さえあれば鏡の前で卑猥な格好をして、それを見ながらオナニーしてましたね」
 クスクス笑って陽が言う。
「ふたりはきっと似た者同士なんでしょう。だから気が合うのかも」
「気が合うというより、躰の相性がいいのよ。それと、変態の方向性が」
「次のステージが楽しみですね。クスリを打たれて狂ったふたりが、どこまで破廉恥になれるか見ものです」
「いつか死ぬんじゃないかしら」
 最後に真顔で姉さんが言った。
「翔も、こいつも、気持ち良すぎて、睾丸の中、空っぽにさせて」
「ここで死んでもその情報は外の世界には漏れませんからね。上の意向でどこまでやるのか、それも楽しみだ」
 明るく笑う陽。
 僕はといえば、全身を襲う強烈なもどかしさに、ただ震えるばかりだった…。
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