淫美な虜囚

ヤミイ

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629 萎えた器官⑨

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「アアアアアアアア・・・チ、チク、ビイ…」

 翔の喘ぎに合わせて、

 ゆら~り。

 ゆら~り。

 僕の目と鼻の先で、長細くなった肉の器官が揺れている。

 それは浜辺に打ち上げられた環形動物の死骸の如き惨めな姿から脱却し、明らかに硬い芯を取り戻しかけていた。
 
 僕は懸命に首を伸ばし、舌を突き出した。

 ハート形の薔薇色の部位が僕の追撃を逃れようとするかのように、ふら~り、ふら~りと首を振る。

 もう少し。

 あと、5ミリ。

 うわあああああっ!

 僕は気合を入れて腰を突き上げた。

 腰の蝶番に限界が来ていることは百も承知だ。

 でも、ここでやらないと、翔とは二度と会えなくなってしまうかもしれないのだ。

「く、アアアアアア…ンッ」

 のけぞる翔。

 翔の熱く湿った肛門の奥で僕の怒りの如意棒が最後の突きを敢行し、

 ぐにゅっ。

 前立腺隆起に固くなった鼻先を突っ込んだのだ。

 同時に指先に力を籠め、両の乳首を思いっきり引っ張った。

 きゅうううっ!

 伸びる肉のグミ。

「はああああんっ!」

 いやいやをするように首を振る翔。

 でも、悦んでいるのだ。
 
 だってー。

 この乳首、またまた固く大きくなってきてるじゃないか!

 サディスティックな喜びで、翔の中に差し込んだ己の生殖器官が、よりいっそう膨張するのがわかった。

 これほど固くなった乳首をつまむのは初めてだ。

 その弾力に愛おしさが込み上げてきてー。 

 ぎゅううううううっ!

 くりっ! くりっ! くりっ!

 更にさらに、強く引っ張りながら右に左にひねりを加えてやると。

「ち、ちぎれ、ちゃう…」

 半開きにした翔の口の端から涎が垂れ、彼が快感に溺れかけていることを証明した。

 うわんっ。

 目の前で、肉の兜をかぶったハート形の大きな頭部が、まるで目覚めた海亀が首を上げるように持ち上がった。

 伸ばした舌先が、そのヌルヌルの表面に、一瞬、触れたのはその時だ。

 味蕾に伝わるほの苦い味に、僕は興奮した。

 それはまさしく、翔の出すカウパー腺液の味だったからだ。

 性交の準備として分泌される、男のコーティング剤。

 それを翔は出し始めたのだ。

 裏側まで縦に切れ込んだ尿道口が露で光っている。

 その狭い隙間を狙って、もう一度、舌を伸ばしていく。

「あんっ」

 はっきり聞こえるくらい大きな声で、翔が叫んだ。

 その瞬間ー。

「あと二分!」

 司会者の声が、その嬌声をかき消すように響き渡った。

 

 
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