淫美な虜囚

ヤミイ

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621 萎えた器官⑤

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 半ば気を失った翔は、顔だけは綺麗なままだった。

 愛おしいほどの美顔である。

 シャープなラインの中にもどこかあどけなさの残る、韓流アイドル顔負けの甘いマスク。

 整形したのではないかと疑われても仕方ないくらいのイケメン顔なのだ。

 我慢できなかった。

 自分の陰茎がぐっと角度を上げるのが、その重さのわずかな変化から、わかった。

 にじり寄り、添い寝をすると、その頬を両手で挟んで顔を寄せ、思い切って口づけをした。

 翔の唇は渇いていた。

 唇に唇を合わせ、押し開けて舌を差し込み、翔の舌を引きずり出して唇に挟み、吸ってやる。

 が、反応はない。

 手を伸ばして股間をまさぐってみるが、性器も完全に萎えたままだった。

 胸を押し付けてみたけど、乳首も凹んでしまっていて、いつものあの突き刺すような固い感触はない。

 駄目だ。

 接吻程度では、翔の官能の火を呼び起こすことはできないのだ。

 やはり、こうなったら、直接、青函刺激中枢に働きかけるしかないのだろう。

「あと4分」

 司会者の声がスピーカーから轟いた。

 ヤバい。

 もう1分も無駄にしてしまった。

 ここで翔を活性化できなければ、この秘密イベントは即刻中止となり、当分翔には会えなくなってしまうだろう。

 もしかしたら、二度と…。

 なぜだか、そんな気がしてならなかった。

 企業グループの秘密の性玩具としての役割を担えなくなったとたん、お払い箱になる。

 ひょっとしたら、翔はそんな運命を背負っているのかもしれなかった。

 でなければ、毎年こんなイベントが開催されるだなんて、いくらなんでも、おかしいだろう。

 僕は身を起こし、躰の向きを変えると、翔の下半身に向き合った。

 本当はもっとずっとキスしていたかったけど、仕方なかった。

 上を向いた平らな下腹。

 そこに刻まれた流線形のへそ。

 しどけなくそろえて畳の上に投げ出された、長い二本の脚。

 そして、そのあわいに放置された、薄ピンク色のしなびた器官。

 あれほどたくましく猛り立っていた翔の躰の一部はは、今や完全に死んでしまっていた…。

 両手を翔の太腿に置き、股を開く。
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