淫美な虜囚

ヤミイ

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272 禁断の秘密パーティ⑰

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 ハンガーにかかっているのは、二本の赤い紐だった。

 そのうちの一本を手に取って広げてみると、紐はV字の形をしていて、真ん中あたりで二股に分岐している。

「なんなの? これ?」

「多分、水着の一種だと思う」

 僕の問いに、姉さんが答えた。

「このちょっと幅の広くなった部分がデリケートゾーンにくるようにして、首の後ろで紐の部分の端っこを縛る」

「そんな…」

 ―心配は要りません。そこに仮面もありますー

 部屋のどこからか、ふいにあの司会者の声がした。

 見ると天井の片隅に、監視カメラとおぼしきものがある。

 スピーカーが内蔵されているのか、どうやら声はそこから聞えてくるようだ。

「仮面ですって?」

 姉さんがキッとカメラを振り仰ぐ。

 -ええ、内容が過激になるので、ここから先は全員に仮面とその衣装をお召しいただきますー

 言われてみれば、確かにクローゼットの上部の棚の中に、金色に輝く仮面がふたつ、載っていた。

 仮面と言っても、顔全体を覆う仕様のものではなく、映画やドラマの仮面舞踏会の場面などでよく見かける、目の周りだけを隠すあのお洒落なタイプである。

「つまり、本番はこれからっていうこと?」

 姉さんの眼がきらりと光る。

「翔のやつ、一回の射精では無罪放免といかないってことなのね?」

 -むろんです。佐代子さまの手際があまりにも鮮やかなので、さっきは想定外の早さで終わってしまいましたが、ここにお集まりのお客様たちは目の肥えた方たちばかりでございます。たったあれしきのことで、満足なさるわけがありません。翔さまには、お父上の泰輔さまの不在を埋めるべく、もっともっと、頑張っていただかなくてはー

 それを聞くなり、ふっと姉さんが鼻で笑うのがわかった。

「面白いわ。あたしたちも乗せてもらいましょ」

 口元には淫靡な微笑が浮かんでいる。

「さ、巧、何ぼやぼやしてるの。さっさと裸になって、その紐水着に着替えなさい」

 そう言いながら、翔の精液で汚れたスーツの上着を脱ぎ、無造作にクローゼットの中の籠に投げ入れる。

「こ、これを?」

 僕は手の中のその奇妙な衣装をまじまじと見た。

 男がこんなものを身につけたら、どんな格好になるのだろう?

 ちょっと想像しただけで、いったん収まっていた下半身の強張りが、カアっとまた熱くなるのがわかった。

 
 
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