淫美な虜囚

157 淫らなテレワーク③

「ありがとうございます。ご期待に沿えるよう、いろいろ試してみます」

　答えると、姉さんは”行為”に熱を入れ始めた。

　実際、姉さんの指の動きは、ひどく繊細で、僕の性感帯を巧妙に刺激するものだった。
　
　白魚のような人差し指と中指で、楽器を奏でるように竿を撫でさすり、それと同時に親指の腹で亀頭を擦る。

　更にもう一方の手は、精液で膨らんだ睾丸を握り締め、優しく揉みほぐしながら親指で肛門を嬲るのだ。

「アア…いいっ」

　僕はつま先立ちになり、伸び上がらずにはいられない。

　そんな僕の恥ずかしい姿に目を細め、画面の中の翔が、腰を突き出し、己の陰茎を見せつける。

　僕は目を皿のようにして、そんな翔の陰茎を凝視した。

　翔のそれは、綺麗なハート形の亀頭を持っている。

　亀頭は見事なピンク色をしていて、包皮の束縛を完全にのがれ、完膚なきまでに露出してしまっている。

　長さは20センチ以上あり、太さはどこも同じくらい。

　採れたてのバナナのように優雅に反り返ったそのラインは、ある意味前衛芸術のように美しい。

　それに比べて、僕の陰茎は、どちらかといえば、醜悪だった。

　オナニーのやり過ぎか、メラニン色素が沈着しているため、色は全体的に黒っぽい。

　茎の部分はカミキリムシの幼虫のテッポウムシそっくりで、ゴツゴツしていて所々に筋肉の節がある。

　更にその上に鎮座する亀頭はどこ球根めいていて、怒った赤ん坊の握り拳のような形をしているのだ。

　互いの勃起陰茎を見比べながら兜合わせの快感を反芻し、息を荒げている僕を見て、

「まだ出しちゃだめよ」

　唐突に姉さんが言い、僕の陰茎と睾丸から手を離した。

「だいぶ身体も反応してきたみたいだから、そろそろ器具を使うわね。撮ってくるから、ちょっと待ってて。あ、その間、これで我慢しなさいよ」

　そう言いながら姉さんが手にしたのは、脱衣籠に入っていた洗濯ばさみである。

「そんなもので、何を…」

　抗議しかけると、

「わかってるくせに。自分でも、たまにお風呂でやってたでしょ」

　片目をつぶってみせ、反り返らせた僕の胸に咲くふたつの突起に、有無を言わさず洗濯ばさみを取りつけた。

「きゅ」

　白眼を剥き、またもつま先立ちに伸びあがる僕。

　敏感な部位を挟まれ、脳天に痛痒いような快感が走り抜けたのだ。