淫美な虜囚

ヤミイ

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115 生贄少年⑥

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 僕を、滅茶苦茶にして―。

 今思うと、それは、僕がオナニーの度に妄想する、愉悦の最終形態だったのかもしれない。

 暗闇の中ー。

 スポットライトの当たるステージで、全裸になり、狂ったようにオナニーする僕。

 そのうちに、見守る観客たちが、欲情に耐えられなくなって、四方八方から僕に襲いかかってくる。

 ステージ上のベッドの上に、押し倒される僕。

 伸びてくる夥しい手が、全身を弄り、穴という穴に指を突っ込み、僕はたまらず歓喜の声を上げ、むせび泣く。

 その夢想が、ついさっきまで、リアルの世界で起こっていたのだ。

 それなのに、その”涅槃”の時間は無慈悲にも中断され、今は壊れた操り人形のように打ち捨てられているー。

 と、例の中年男が、突然、乗客たちに言った。

「もう下ろしてやりなよ。僕らもそろそろ家に帰らなきゃならないし」

 無言のうなずきとともに、何本かの手が伸び、僕を吊り革から外して、床に抱え下ろした。

 床にお尻をつけ、股をしどけなく開いた姿勢で座らされる僕。

 股間からはまだ、濡れた亀頭から湯気を上げ、未練気に巨大肉バナナがそそり立っている。

 我慢できなかった。

 こうなったら、自分で扱くしかない。

 見られている今こそ、絶好のオナニーチャンスだ。

 こんな不完全燃焼のまま、放り出されちゃ、かなわないー。

 けれど。

 コチコチにしこった乳首を抓み、凄い角度で反り返ったおのれのペニスを握ろうとした、その瞬間だった。

「誰か、止めて」

 中年男が鋭く叫ぶと、誰かの手が僕の腕を背中側に捻り上げ、素早く布状のもので縛り上げてしまった。

「ダメじゃないか、勝手にオナニーしようだなんて」

 後ろ手に縛り上げられた僕を見下ろし、中年男が意地悪く嗤った。

「君は、このバスが止まるまで、そこに放置されて、ひとり、悶々ともだえ苦しむのさ」

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