淫美な虜囚

ヤミイ

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112 生贄少年③

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 両手首と両足首を吊り革で拘束され、僕は大の字になって空中に浮かんでいる。

 吊り革は左右の窓に沿って並んでいるから、天井と平行に、ちょうど手足を開いた恰好になるわけだ。

 こんなに恥ずかしい格好は、生まれて初めてだった。

 僕は今、この貧相な躰を一糸まとわぬ裸に剥かれ、乗客たちの鼻先にこれ見よがしに吊り下げられているのだ。

 飛行機ごっこをしている幼児のように、両手両足を大きく伸ばしてー。

 下腹に亀頭の鼻づらをくっつけんばかりに反り返った勃起ペニスが、みっしりと重かった。

 媚薬入りローションをたっぷり塗り込まれて野生の茸のように長く伸びた乳首が、疼きに疼いて仕方ない。

 直腸の中では相変わらずエネマグラが淫らな振動でGスポットを責め、中央の突起で外側から会陰部を圧迫する。

 ふと横目で見ると、窓に映ったそんな浅ましい僕の姿がふいに視界に飛び込んできて、僕は耳朶まで赤くなった。

 外が暗くなったため、窓が鏡の役割を果たしているのだ。

 即席の鏡に映っているのは、バスの天井近くで躰を水平に浮かせた、丸裸の少年である。

 少年は両手と両足をX字型に広げたまま、顏を下に向けて宙吊りにされている。

 淫らなのは、その股間から、とても子供のものとは思えない、黒光りする肉のバナナが生えていることだった。

 バナナは尖った先端をへその穴に突き刺そうとでもするかのように、放物線を描いて上向きに湾曲している。

 そして、そのつけ根にぶら下がるふたつの大きな袋ー。

 少年が、絶え間ない悦楽のさなかにいるらしいことは、その肉棒の先端の濡れ具合からも明らかだ。

 海亀の頭部を筋肉で象ったようなピンク色の部位が、透明液でぬらぬらと光沢を放っているのである。

 乗客たちは、そんな卑猥な生贄を取り囲み、今しもマスクを外そうとしていた。

 乗客たちがコートやジャケットといった冬支度で身を固めているだけに、少年の白い裸体は淫靡極まりない。

 それにしても…。

 見ず知らずの他人に”見られる”快感に下腹を波打たせ、はあはあ息を吐きながら、僕は運転席のほうを見た。

 車内がこんな大騒ぎになっているのに、なぜ運転手はバスを停めないのだろう?

 停めないまでも、乗客たちの狼藉を叱責するアナウンスくらい、入れてもいいはずじゃないか?

 そう、思ったのだ。
 
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