淫美な虜囚

95 満員バスでの痴態⑥

　一面が鏡になった壁ー。

　その壁に向かって、頭より高く右足を上げ、鏡の表面に踵をつけた僕。

　むろん僕は全裸だから、鏡にはすべてが隈なく映し出されている。

　中でも特筆すべきは肛門で、足を180度近く開いているため、上下に引っ張られて楕円形になり、薄く口を開いている。

　その開口部に翔が人差し指を根元まで突っ込み、内部をこね回しているのだ。

　翔の指の動きに合わせてチャプチャプ音がするのは、肛門内にいやらしい体液が溜まっている証拠である。

　前立腺から分泌され、Gスポットの壁から滲み出すカウパー腺液と、さっき注入された太郎の精液の残滓だろう。

「かなりほぐれてきましたね。そろそろいいでしょう。テーブルのそれを、こちらにいただけませんか」

　荒い息を吐きながら痙攣を繰り返す全裸の僕を”かき混ぜ”ながら、姉さんに向かって翔が言った。

「は、はい…」

　気味悪そうに例のグッズを指先でつまみ上げ、佐代子姉さんが翔に渡す。

「次は貴女ひとりでも装着できるように、やり方をよく見て、手順を覚えてください」

「私ひとりでも、って…、それ、どういうことですか？」

「このエネマグラの効果を目の当たりにすれば、きっと貴女も継続して使いたくなるはずですから」

「そんなに、凄いんですね…」

　ふたりの会話に、心臓の鼓動が速くなる。

　この後、いったい何が起こるのだろう？

　そう思うと、ときめきが止まらない。

　浣腸器、尿道拡張プラグ、吸盤型電極…。

　アダルトグッズは、すでに何種類か、経験済みである。

　でも、アナルに挿入して、外と内から同時に前立腺を刺激するアイテムは、これが初めてだ。

　しかも、中には超小型のモーターが内蔵されていて、ワイヤレスで振動を起こせるのだという。

　翔の指先だけでもこんなにも気持ちがいいのである。

　なのに、それが機械となったら、いったい僕は、どうなってしまうのかー。

「まず、この先っぽについているリングに、ペニスを通します」

　気がつくと、翔がエネマグラの装着方法を、佐代子姉さんに披露し始めていた。

「外れないように、これ以上入らなくなるところまで、しっかり押しこんでください」

　エネマグラの三本の脚のひとつは、先端がまん丸の輪になっている。

　そこに僕の勃起ペニスの先をくぐらせると、翔がじりじりリングを下げていく。

「あん…」

　思わず僕が伸びあがってしまったのは、包皮が引き攣れてズル剥けになる快感に、痺れてしまったからだった。

「く、くう…」

　翔が情け容赦なくリングを押しこむため、三分の一ほど剥けかけていた包皮がエラまで完全に後退し、まるで亀頭の首を絞めるようにきつく縮んでしまったせいである。

「んもう、巧ったら、なんて、いやらしいの…」

　ほんわかと湯気の立つ僕の赤剥けの亀頭を見て、姉さんが淫靡なため息をつくのが、聴こえてきた。