淫美な虜囚

ヤミイ

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90 満員バスでの痴態①

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「いい考え、ですか?」

 柳眉を寄せ、小首をかしげて翔を見る姉さん。

 その仕草ですら、愛くるしい。

「巧君に、あるものを装着して、バスに乗ってもらうのです」

 うなずく翔の口角は、ますます悪魔じみた笑みを形づくっている。

 太郎と花子に股間を舐められながら、弛緩した意識の中で、ぼんやりと僕は考える。

 翔のやつ、何をたくらんでいるのだろう?

 あるものを、装着?

 どうして僕が、そんなことを?

「あるもの、って?」

 畳みかけるように、姉さんが訊く。

「お待ちください」

 いったんカーテンの向こうに消えた翔が、少しして何かを手に戻ってきた。

 黒光りする、滑らかな曲線で構成された物体である。

 溶けた飴を三方向に伸ばしたような、見たことのない形をしている。

 三次元的なフォルムの靴ベラ、といってもいいかもしれない。

 現代彫刻みたいなそれは、三本の足のうちの一本の先が、大きめの指輪みたいなリングになっている。

「これは、最新型のエネマグラです」

 翔が右手に持ったそれを、目の高さに掲げて見せた。

「エネマグラ?」

 姉さんが不思議そうな顔をする。

 僕もそうだ。

 そんな名前、聞いたことがない。

「いわば、男性用の前立腺刺激グッズです。このリングをペニスに固定し、一番太い肢を肛門に挿入する」

「え…?」

 姉さんが、例によって、ぽっと頬を薔薇色に染める。

「そして残りの一本の肢を会陰部に押し当てることで、内と外の両側から前立腺を刺激するのです」

「まさか、それを身に着けさせて…」

 姉さんの眼が、罪深いものでも見るように、犬たちに慰められている僕を盗み見た。

「そうです。その通り。巧君は、このエネマグラを下半身に装着して、バスに乗る。佐代子さん、貴女はこれを起動させるリモコンをコートのポケットに忍ばせ、近くで彼の様子を観察し、スマホで撮影して僕に送る、とまあ、こういうわけです」

「リモコン?」

「ええ。こう見えて、このエネマグラは最新式ですから、内蔵されたモーターで振動するのです。しかも、ワイヤレスなので、離れたところからでも、自由に操作できる」

 なんだって?

 僕は太郎と花子の舌の感触も忘れ、まじまじと翔の手の中のモノを凝視した。

 つまりあれは、遠隔操作できるアナルバイブみたいなものということか?

 そんなものを肛門に挿入したまま、満員バスに乗ったりしたら…。

 ぴくり。

 萎えていたペニスが、ふいに頭部をもたげるのがわかった。

 一瞬脳裡に去来した妄想に、性感刺激中枢が敏感に反応してしまったのだ。

 
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