淫美な虜囚

ヤミイ

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82 発情少年極刑⑮

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「そ、そんな…む、無茶な…」

 僕は無意識のうちに抗議の声を上げていた。

 犬に、僕の躰を舐めさせる?

 しかも、あんなに大きなドーベルマン、二頭に…。

 あり得ない。

 恐怖で身がすくんだ。

 これでは、快楽を味わうも何もない。

 ペニスは今や完全に縮んでしまい、股間の淡い叢の中で、海岸に打ち上げられたユムシのような、見るも情けない姿を晒してしまっている。

 そんな僕の怯えを感じ取ったのか、意地悪く唸りながら、二頭のドーベルマンが両側からベッドに登ってくる。

「動くなよ」

 縮み上がった僕を冷ややかな眼で見降ろし、翔が言う。

「へたに刺激すると、この猛犬たちは、何をしでかすかわからないぞ。きょうはまだ餌をやっていないから、それこそ、きさまのそのささやかな性器や乳首など、あっという間に食いちぎられてしまうだろうよ」

 ひいっ。

 喉の奥から、かすれ切った悲鳴が漏れた。

 脳裏に胸と股間を血まみれにした己の裸身のイメージが、一瞬、浮かんでは消える。

「や、やめて…」

 訴えかけるが、翔は応えない。

 口角をわずかに吊り上げ、その端正な顔に悪魔のような微笑を浮べているだけだ。

「姉さん、やめさせて…」

 仕方なく、翔の傍で見守っている佐代子姉さんに、声をかけてみた。

 が、姉さんは、なぜか何かに憑かれたようなまなざしで翔の横顔を見つめ、

「これって、ある意味、拷問ですよね…。精液にまみれた全裸の少年の躰を、犬に舐めさせるだなんて…」

 うっとりした口調で、そんなことをのたまう始末である。

 だめだ。

 僕は絶望的な気分に陥った。

 この世で唯ひとり、僕の味方だった姉さん。

 その姉さんも、今はいない。

 天性のサデイスト、天野翔との出会いによって、過激なBLモノを現実にしたかのような淫靡な世界に誘い込まれ、その本性を引き出されて、頭に「弩」がつくほどのS系腐女子に変わってしまったようだ。

「まあ、見ててごらんなさい。なかなかの見ものだと思いますよ」

 陰湿に嗤って、翔が姉さんのくびれた腰に右手を回す。

 引き寄せられ、翔の逞しい胸に頬を寄せる姉さん。

 中世ヨーロッパの彫刻のように全裸の翔と、悩ましいフルヌードに薄物を羽織っただけの姉さんの組み合わせは、悔しいほど、よく似合っていた。

 が、胸に渦巻く嫉妬心も、鼻づらを近づけてきた二頭のドーベルマンの前では、一瞬にして消し飛んでしまう。

「行け、太郎、そして花子。その奴隷少年の淫らな裸を、そいつか失神するまで、ベロベロじゅるじゅる、好きなだけ、舐め回してやるがいい」





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