淫美な虜囚

序章

「まだ足りないのか」
　
　”僕”を握って、翔が言った。

　翔の”分身”は、向かい合い、脚を絡めた僕の中に、奥の奥までしっかり埋まり込んでいる。

　翔も僕も、全裸だった。

　僕は翔に貫かれたまま、天井に向けて悲しいほどそびえ立っていた。

　電極を取りつけられた乳首が疼く。

　貫かれる快感と、微細な電流による痺れ。

　それから翔の右手の握力で、”僕”はもう、破裂寸前だ。

「巧、おまえってやつは、可愛い顔して、ほんと、好き者だな」

　翔が空いたほうの手を伸ばして、僕の柔らかな髪をわしゃわしゃとかき混ぜ、斜め下から僕の顔をのぞきこむ。

　こういう時の翔の顔は、吸血鬼みたいで、背筋がぞくぞくするほど美しい。

「お願い…出させて」

　突き上げる快楽に我慢できず、僕は喘ぐように懇願した。

「無理だね」

　翔が意地悪くニタリと笑う。

　それもそのはずだった。

　”僕”の射出口には、さっき翔が刺した特別な”スティック”が突き立っている。
　
　唯一の出口を塞がれて、僕の中ではマグマが渦巻いているのだ。

　しかも、俗に尿道プラグと呼ばれるその器具は、僕の肉筒の中で、細かく振動しているのである。

「ああ･･･だ、だめに、なりそう…」

　僕はすすり泣いた。

　口から洩れるのが、嗚咽なのか喘ぎ声なのか、もう、自分でもわからなくなっていた。

　そして、強烈な快感の嵐にともすれば薄れそうになる意識の中で、またあの問いを繰り返していた。

　どうして…どうして、こんなことになってしまったのだろう…。

　あり得ないほどの、この屈辱ー。

　ああ…。

　僕の、何が、いけなかったというのだろう…？