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「一丁、やるか。手伝おう」

 ずぼっ。

 彼が肛門から指を抜いた。

「アアッ!」

 思わず未練げに叫んでしまう僕。

 やめないで!

 その言葉が危うく喉から出かかった。

 そこでやめちゃうの?

 こんなにお尻が感じてるのに?

「そんな声を出すんじゃない」

 勃起陰茎越しに見上げる僕を見下ろして、彼が苦笑した。

「待ってろ。今にもっと、気持ちよくしてやるから」

「これ、使いましょう」

 Kが目顔で天井を指す。

 天井近くのレールから、先端に拘束具のついたロープが何本も下がっていた。

「高さの調節は、このパネルで行えます」

 壁の操作盤を指さしている。

「あのラックの中には、バイブやプラグ、鞭、クリップ、真空パック、なんでもありですよ」

 操作盤の横には自動販売機みたいな箱があり、正面が透明ガラスになっている。

 どうやらその中に、いろいろな性具が並んでいるようだ。

 彼が僕の肛門をもてあそんでいる間、kはこの部屋の仕掛けをいろいろ調べていたらしい。

「つるしたら、バイアグラを飲ませよう。死ぬほど勃起させてから、いたぶるんだ」

「こんなになってるのに、まだ勃たせるんですか。主任は悪魔ですね」

 ちんぐり返しの体勢のままさらけ出された僕の股間を一瞥して、Kが言う。

「それは誉め言葉か? いいから手伝え。まずはつるしやすいように、こいつの体位を変える」

「どんな格好にするんです?」

「決まっている。フィストファックにもっとも適した体位にだよ」

「どんな格好ですかね。なんだかぞくぞくするな」

「肉便器だけあって、こいつは体操選手並みに身体が柔らかい。だからこそ可能な体位なのさ」

 彼に命じられ、僕は両の太腿を離し、ちんぐり返しの体勢を解いた。

 まっすぐに躰を伸ばして仰臥すると、股間から急角度に突き立った勃起陰茎が、ゆさゆさ揺れて、重かった。

 亀頭の先っちょ、尿道口からにじむカウパー腺液が、しずくとなって下腹部に垂れる。

 フィストファックに最も適した体位?

 そう、彼は言った。

 どんな格好でつるされるんだろう?

 想像するだけで、乳首がまた勃ってきた。

 僕は固唾を飲み、近づいてくる彼の裸体を見守った。
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