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 陶酔のあまり、ドアの開く音にも気づかなかった。
 気がつくと、彼はすでに服を着て、外に出ようとしていた。
「腹が減った。パンでも買ってきてやる」
 そう言い残して、姿を消してしまった。
 腕時計に目をやると、すでに正午だった。
 僕らは午前中いっぱい、車中で睦み合っていたことになる。
 思ったほど空腹は感じなかった。
 そのはずだ。
 だって僕は、二人分の精液を食事代わりに飲まされたのだ。
 それはいってみれば、人体で製造された、栄養満点のナマの経口飲料ゼリーみたいなものだった。
 急いで服を着て、彼の帰りを待った。
 早く頭を仕事モードに切り替えなくては。
 そもそも、匂いは大丈夫だろうか。
 車の中は、かなり精液臭い。
 窓を全開にして、空気を入れ替える。
 亀頭がひりつき、睾丸が痺れたようにだるかった。
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