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音楽の先生のはなし

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音楽の先生はピアノがとても上手なんだけれどクラッシックよりジャズが好きなんだと言って弾いてくれたりして何より話が面白い。

授業が思ったより早く進んでしまったとかで
その日は何かみんなのリクエストで時間を過ごそうってことになってみんなで怖い話をお願いした。

先生は、
「この話すると必ず思ってもみないことが起こるんだけどなぁ」
といった。

そんなことを言われたら余計にみんな聞きたくなって大騒ぎ。

先生もわかったわかった、って感じでその話をすることになったんです。


先生がすいぶん若かった頃、友達5人とドライブへ出かけた時のこと。

ある岬に向かっていて、もう少しというところで道を1本間違えて曲がったようで。
しばらくすると道が細くなってきて目の前には廃墟になった一軒家が出てきた。

その先に道はなくて、引き返そうとした時
友達がせっかく目の前に廃墟があるから肝試しがてら入ってみようってことになった。

入口の外は木があてがわれて、ボロボロだけどロープが何本もかけられていた。

諦めて帰ろうと先生は言ったけれど友達の二人がそのロープを外し、木を無理やりはがして中に入ってみんなそれに続いた。


家の中は普通の家だった。

一人は家の中のものを乱暴に荒らすように部屋をあさっていった。

写真が何枚も飾られた部屋を見つけた。

飾られた中で綺麗な女の人の写真を見つけた
部屋を荒らしていた友達はその綺麗な女の人の写真を持ち帰ったらしい。

先生は止めたけれど、もうきっとその廃墟に入る前あたりから友達はいつもと違う感じがしていて、その廃墟を後にして岬に着いたけれど、盛り上がることもなく帰ることになった。


3日後、写真を持って帰った友達はおかしくなって病院へ入院することになった。

すぐに見舞いに行ったけれど、とてもじゃないけれど、話せるような状態じゃなくなっていた。

さらにそこから次の日別の一人が自殺したと一緒に行った友達から連絡がきた。

外付けの非常階段の上の階から笑いながら飛び降りたと一緒にいた人が言っていたらしい。

連絡してきた友達は電話口で「俺たちもやばいかもしれない」と怖がっていた。

そして次の日にその友達は交通事故にあった。

先生も怖くなってもう一人と連絡をとった。

その友達は「あの女の人の写真、返したほうがいい」と言った。

先生もなんとなくそう思って二人で写真を返しに行き、できるだけ綺麗に片付けて花を供えて何度も謝って廃墟をしっかりと閉じて後にした。

先生ともう1人には何も無かったらしい。

先生が、この話をすると必ず変なことが起こるんだ、と言いかけた時、突然地響きがしだし、大きな地震が起きた。

聞いていた生徒達はみんな固まってしまい、先生は、

「ね?だから場所は教えないけど。たとえ誰も住んでいない家だからって勝手に入ったり物を持ち出したりしては絶対ダメってことだね。わかったね?」


みんな無言でうなずきました。
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