小界奇談～ちょっと怖い物語～（100話完結）

大きな鏡があったらしい

旧校舎の下駄箱の正面。今は卒業生の作った作品がある所。

元々あそこには大きな鏡かがみがあったらしい。

卒業生の作品を作ることになったから鏡を取ったんでしょって思うでしょ？

違う違う、鏡を取らなければいけないから作品を作ることにしたんだよ。

って、用務員のおじさんが誰かと話してるのを聞いたんだって。


「わー！それって学校の怪談？」

「なんかね、その鏡のせいでケガをする生徒が多かったらしいよ｣

「鏡にぶつかっちゃうのかな？」

「鏡から何か出てきて引っ張られるんだって」

「そうなんだ。でも、もう鏡は取っちゃったから引っ張られることもないね」

そんな話をしたけれどあっという間に忘れた。


ある日の下校時に上履きをちょうど下駄箱に戻した時、階段から私に声をかけながら勢いよく降りて、走って友達が向かってきたんだけど、目の前で派手に転んでケガをした。


その時見たの。


床から手が出て引っ張ってた。


きっと見た人は鏡から手が出たように見えていたんだ。


校内は走っちゃいけないよね。