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§1 PARSKR II編
#14 さよならMedia=II Generation Part1(ゲーム)
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瞳彩は最後の三漂群を召喚し、青充を敗退させる。
さらに起動聳で集めたエネルギーを使うことによって、世界中のモンスターを奪い取るのだった。
「【ChroMacclima】にはモンスターを引き寄せる能力があった。
鉄が磁石にくっつくみたいにさ。
お前達に頑張って貯めてもらったエネルギーを使い、その威力を爆発的に向上させたのがこれだ!」
「三漂群の能力を最大限に高めるために、エネルギーを貯めていたのか!」
「ああ。
そこら辺のモンスターをちょこっと集める程度なら、大した手間もない。
だが、全世界のモンスターを一気にとなれば話は別だ。
かつて受けた傷を一刻も早く癒やし、さらに能力が及ぶ範囲を拡大するためにもエネルギーは欠かせなかった。
ホント、お前ら人間には世話になりっぱなしだよ!
この恩はちゃんと、仇で返させてもらわないとな!」
「くっ…」
再び職員の声がする。
「世界中から突然モンスターが。
我々のモンスター達はどういうわけか無事だが、混乱は続いている!」
「(もしかして私達のモンスターは、このカードの力で守られている?
ありがとう、神様…)」
どこからか檻のようなタンクが現れ、【ChroMacclima】が集めた光をそこに流すと、ジャムのような液体がそこに溜まっていった。
「お前達のモンスターが回収できないのは想定外だが、これで俺の目的は達成できた!
(【海瞳彩龍瀾-Gllrobe・IRIS・Ⅶ】のカードは、俺の龍としての姿を表すとともに、三漂群を束ねるためにここにあったCentralの技術を使って作ったカードでもある…)」
三枚の三漂群が【海瞳彩龍瀾-Gllrobe・IRIS・Ⅶ】のカードに統合される。
「そんな…
瞳彩に力が戻っちまったのか?」
「俺の力が完全に元に戻るまではまだ時間とエネルギーがかかる。
だが安心しろ。
このゲームが終わる頃には両方が揃っているだろうからよ。
そうなればもう起動聳の威力調整機能なんて関係ねぇ!
お前らがモンスターを失い、なす術がないところを楽しみながら、ゆっくり、ゆっくりと世界中で暴れ回ってやるよ!
俺はターン終了!
さぁ、流導類清!
エンタメに携わる者として、少しは楽しませてくれよ!」
「絶対負けねぇ!」
手札
類清:3枚
青充:5枚
瞳彩:5枚
TURN14
(類清のターン)
「俺のターン!」
「【海瞳彩龍瀾-Gllrobe・IRIS・Ⅶ】の効果発動!
次は通常部類!」
白い沼が広がる。
「【研磨の精霊 モコモコ】を召喚!」
【研磨の精霊 モコモコ】
モンスターカード/通常部類/固有ターン1/射手系
通常攻撃力300
通常効果:自分ターンに1度、発動可能。
手札からモンスター1体を召喚する。(その際、固有ターンは無視できる)
この効果で素材系カードを召喚した場合、そのモンスターは4ターン目の終了時まで戦闘で破壊されない。(召喚ターンを1ターン目とする)
(小さな犬のような精霊。
体の毛で道具や武器を磨くとピカピカになる)
【モコモコ】が沼に足を取られる。
「ターン終了だ」
「おいおい!
そんなんでいいのかよ!
早くしねぇとどんどん召喚できるモンスターが減っていくぞ!」
手札
類清:4枚
青充:5枚
瞳彩:5枚
TURN15
(瞳彩のターン)
「俺のターン!
このターンは打撃部類を指定!」
赤い沼が広がる。
「バトル!
楽しかったぞ、流導類清!
これで終わりにしてやる!」
「…」
【海瞳彩龍瀾-Gllrobe・IRIS・Ⅶ】撒水攻撃力2500
vs
【研磨の精霊 モコモコ】通常攻撃力300
「媒介の龍瀾!」
【研磨の精霊 モコモコ】が破壊される。
「【モンスターズ・インターセプト】を発動!」
【残像のプテラノ】と【手練のバフォメット】が類清の前に立ちはだかる。
「手札のモンスターを盾に、その攻撃力分のダメージを軽減する!」
【モンスターズ・インターセプト】
特殊カード/護衛系
発動条件:
・自分が戦闘ダメージを受ける場合。
・自分に効果ダメージを与える効果が発動した場合、その効果の発動に対して発動可能。
効果:自分の手札・場の中からモンスターカードを任意の枚数墓地に送ることで、そのモンスターの攻撃力の合計分のダメージを軽減する。
(場のモンスターは、場での攻撃力を参照する)
攻撃力の合計:2500(1200+1300)
「俺のダメージは2500マイナスされる!」
類清の累積ダメージ:2600(2600+0)
「ふん!
これくらいは想定済みだよ!
【信ずる者が引く引き金】!」
場に銃が現れる。
銃口は互いのプレイヤーを向いている。
「互いのデッキをシャッフルし、それぞれ1枚ドローする。
互いのプレイヤーは、自身が引いたカードがモンスターカードだった場合、そのモンスターの攻撃力の半分のダメージを受けなければならない!」
【信ずる者が引く引き金】
特殊カード/命運系
発動条件:
効果:互いのデッキをシャッフルし、その後で、それぞれ1枚ドローする。
そのカードを互いに確認し、そのカードがモンスターカードなら、そのカードをドローしたプレイヤーはそのモンスターの攻撃力の半分のダメージを受ける。
「俺からいくぞ!
ドロー!」
カードを確認し笑う瞳彩。
「俺が引いたのは【龍之落騎兵 Depth:SHALLOW】!
攻撃力はわずか100。
お前らがデッキに戻してくれたおかげで助かったぜ!」
【龍之落騎兵 Depth:SHALLOW】が引き金を引く。
瞳彩の累積ダメージ:4750(4700+100÷2)
「次はお前の番だ!」
「類清の累積ダメージは2600…」
「つまり攻撃力800以上のモンスターをドローすれば、そこでお前は終わる!
大好きなモンスターに倒されるなら本望だろ!」
類清がデッキに手を置く。
「ドロー…」
世界中が見守る。
「…俺のカードは、【レッドスケール・マテリシャル】だ。
攻撃力は700」
「何!?」
【レッドスケール・マテリシャル】が引き金を引く!
「うっ…」
類清の累積ダメージ:2950(2600+700÷2)
「ギリギリで持ち堪えた…」
「ふざけんなっ!
お前どんだけしつけぇんだよ!」
「それはこっちのセリフだよ」
「あ?」
「お前一人の相手するのに俺らがどんだけ苦労したと思ってんだ」
「知らねぇよ、そんなこと!
俺にここまでさせたお前ら人間に問題があるんだろ!」
「お前は何でそこまで人を恨むんだ!」
「人間は俺を騙しやがったんだ!
結局は俺を自分の道具として利用しようとしていた!
封印された俺は考え続けたよ。
どうやって人間を苦しめればいいか。
何がお前らにとって一番苦しいのかを。
答えは"モンスターの存在"だった。
人間は、"人間とモンスターは平等だ"なんて甘い言葉でモンスターを欺いてやがる。
人間よりはるかに高いモンスターの能力を利用するために!
純粋なモンスターは人間を疑いもしない!」
「だからお前は、全人類からモンスターを取り上げようとしているのか?」
「ああ。
それがお前らにとって、最も苦痛だろうからな。
アブゼリードも愚かだよ。
あいつだけじゃない、お前のデッキのモンスター達も!」
「何?」
「召喚され、攻撃し、お前が危険な時は盾にもなる。
そんなことに何の意味があるんだよ。
結局はお前のいいように使われてるだけじゃねぇか。
さっきもそうだ。
モンスターを盾にして自分だけ生き残りやがって。
アブゼリードも勝利のために墓地に送られた。
お前を信じるモンスター達も、そいつらを利用しているお前も、揃いも揃って愚か者ばかりだ!」
「それこそお前がそうさせたんだろ」
「は?」
「お前は"人間が自分に復讐させた"って言ったけど、俺がここに来たのは、お前が俺達を呼んだからじゃねぇのかよ?
少なくとも今は、俺にモンスターを犠牲にさせてるのはお前じゃねぇかって言ってんだよ。
お前がくだらねぇことをしなければ、俺がここに来ることはなかった。
それなのにみんな、危険を承知で俺と一緒に来てくれてんだ。
もしそれがバカなんだとしても、お前みたいに他人を陥れることしか考えられない奴よりはよっぽどマシだと思うけどな!」
「何だと!」
「お前みたいな奴には何があっても負けねぇよ」
手札
類清:2枚
青充:5枚
瞳彩:5枚
TURN16
(類清のターン)
「俺のターン」
「この瞬間、俺自身の効果を発動!
さらに【追加注文】を重発動!
これで俺は合計2つまでカードの種類を指定できる!」
【追加注文】
特殊カード(重発動)/追加系
発動条件:カードの種類を指定する効果が発動した場合、それに対して発動可能。
効果:その効果で、もう1つの種類を指定できる。
「中距離部類と思念部類を指定!」
青色と黄色の沼が広がる。
全ての沼の色が絡んで、濁った色になっている。
「これでお前のモンスターは全て封じた!
素材系モンスターの性質を変えて装飾系カードを作り出す、お前の戦術ももう通用しない!
これでも何かできることがあるならやってみろ!」
「やってやるよ」
「!?」
「【雪降の造形】を発動!
このカードを墓地のモンスターと同じモンスターとして、場に召喚する」
【雪降の造形】
特殊カード/加工系
発動条件:自分の場または自分の墓地のいずれかにモンスターがいる場合。
効果:自分の場か自分の墓地からモンスター1枚を選び、このカードをそのモンスターと同じカードとして召喚する。
ただし、効果は失われ、このカードはターン終了時に破壊される。
「さらに【双主演詠唱】を重発動!
このカードを【雪降の造形】と同じカードとして扱う」
【双主演詠唱】
特殊カード(重発動)/詠唱系
発動条件:特殊カードが発動した時、それに対して発動可能。
効果:このカードはそのカードと同じカードとなる。
(他のプレイヤーの場で特殊カードが発動した場合は、効果処理前にそのプレイヤーの場に移動する)
「同じ効果を2回だと?」
「俺の墓地から【鍛凍龍 アブゼリード】、青充の墓地から【飛翔の照蜴】を選ぶ」
雪が降り積もり、2体と同じ形になった。
【雪降の造形】魔法攻撃力1800
【双主演詠唱】中距離攻撃力1800
「(類清!)」
雪の像から声がする。
「(アブゼリードか?)」
「(ああ。
オリジナルのモンスターカードでないとはいえ、私と同じカードとして【雪降の造形】が召喚されたことで、君と交流することができるようになった)」
「(なあ、アブゼリード…
最後まで一緒に戦ってくれるか?)」
「(そんな分かりきったことに、いちいち答える必要があるのか?)」
微笑む類清。
「(お前のそういうところが、昔からずっと鬱陶しいんだよ)」
「(なら、その鬱陶しさで奴を退治してやるか!)」
「(いくぞ!)
【絶対回顧領域】を発動。
俺の累積ダメージが2500以上の場合、墓地から1枚を手札に加える」
【絶対回顧領域】
特殊カード/想起系
発動条件:自分の累積ダメージが2500以上の場合。
効果:互いの墓地から1枚を選び、そのカードを自分の手札に加える。
類清が墓地からカードを選ぶ。
「【妖獣化】を手札に加える」
【妖獣化】
特殊カード/昇級系
発動条件:昇級カードの召喚に必要なモンスターが自分の場に揃っている場合。
効果:自分モンスターを基礎とし、別の自分のモンスターを吸収させることで、昇級カードを召喚する。
「【妖獣化】だと?
それでまたあの氷の蜥蜴を召喚しようってか。
だが効果を使おうにも中距離部類の効果は使えない!
第一、召喚しようにも、あいつは既に墓地に…」
「【妖獣化】は2種類のモンスターから1体を選んで召喚できる。
どっちのモンスターを基礎にするかによって、召喚できるモンスターが変わるんだよ。
俺は【アブゼリード】となった【雪降】を基礎に、【飛翔の照蜴】となった【双主演詠唱】を吸収させる!」
雪の蜥蜴が雪の龍に流れ込む。
「来い!
【鍛凍龍蜴 アブゼリード】!」
翼の生えた、悪魔のような龍が立つ。
「おかえりアブゼリード」
「ただいま」
【鍛凍龍蜴 アブゼリード】
昇級カード(リード)/固有昇級値1st/魔法部類/加工系・飛行系
召喚条件:【鍛凍龍 アブゼリード】を基礎とし、【飛翔の照蜴】を吸収させて召喚可能。
魔法攻撃力2000
魔法効果:???
(悪魔のような龍が、龍のような蜥蜴を取り込んだ姿。
受け継いだ輝きで、様々な装飾を生み出す)
「生まれ変わろうがそいつは魔法部類!
俺自身の効果でそいつは攻撃できず、効果も無効になる!」
沼が【アブゼリード】を襲う。
「おっと!」
「そいつを呼び出したはいいが、それでどう…」
「まぁ見とけって、ここからが面白いんだからよ!」
「何?」
「【最後列到達】を発動!」
「【最後列到達】!?
それは、果地風潤の…」
「そう。
ここに来る前、私が類清に渡した」
「ありがたく使わせてもらうぞ。
【最後列到達】は、自分の場のモンスターを基礎として、新たな昇級カードを召喚する!」
【最後列到達】
特殊カード/采配系
発動条件:TURN5以降に発動可能。
効果:自分のリードデッキの昇級カード1枚を選ぶ。
そのカードの召喚のために、基礎として指定されているモンスターを確認する。
自分の場から、指定されているそのモンスターを基礎とすることで、選んだ昇級カードをリードデッキから召喚する。
(その際、本来の召喚条件は無視してよい)
「新たな…
まさか!?」
「【鍛凍龍蜴 アブゼリード】を基礎に、【鍛凍龍翔蜴 アブゼリードラ】を召喚!」
翼の生えた龍が召喚される。
その姿はもはや、悪魔と形容する余地はなく、まさしく龍だった。
「ここまでしてやっと龍になれるとは。
お前も大変だな」
「だから常日頃から言っているだろう。
私は元々、龍なのだと」
「何度召喚しても無駄だ!
俺の沼の力をくらえ!」
沼が【アブゼリードラ】を包み込む。
しかし、龍はそれを翼を使ってはじいてしまった。
「何故だ!?」
「簡単なことだ。
私が昇級したことで、攻撃部類も新たな種類に変わっている」
「あ?」
「私の攻撃部類は今、魔越部類!」
「魔越部類だと!?」
【鍛凍龍翔蜴 アブゼリードラ】
昇級カード(リード)/固有昇級値2nd/魔越部類/加工系・飛行系・龍系
召喚条件:【鍛凍龍蜴 アブゼリード】を基礎とし、【ダークダウン・マテリシャル】を吸収させ召喚。
魔越攻撃力2500
魔越効果:???
(悪魔のような龍が、龍のような黒い悪魔を取り込んだ姿。
本人が主張しているように、その容姿は龍そのものである)
「さらに召喚時、効果を発動!
このカードが場にある限り、【アブゼリードラ】は全ての相手効果を受けない!」
「くっ…」
「さらに効果を発動!
手札・場・墓地から素材系カード1枚を特殊カードとして発動できる!
この効果は1ターンに2度までしか発動できないが、相手がターン中に効果を発動する度に、その上限が1回増える」
【鍛凍龍翔蜴 アブゼリードラ】
昇級カード(リード)/固有昇級値2nd/魔越部類/加工系・飛行系・龍系
召喚条件:【鍛凍龍蜴 アブゼリード】を基礎とし、【ダークダウン・マテリシャル】を吸収させ召喚。
魔越攻撃力2500
魔越効果:
・召喚時に発動可能。このカードが場にある限り、このカードは相手の全ての効果を受けない。
・自分ターンに発動可能。(1ターンに2回まで使用可能。ただし自分ターン中に、相手が効果を発動する度、この効果の発動可能回数の上限は1回増える)
自分の手札・場・墓地の素材系カード1枚を、自身のカードテキストに記載されている特殊カードとして発動する。
(悪魔のような龍が、龍のような黒い悪魔を取り込んだ姿。
本人が主張しているように、その容姿は龍そのものである)
「俺はこの効果を2度使い、墓地から【オアマリン・マテリシャル】と【レモネスカル・マテリシャル】を選び、それぞれ【結束鉱の鎖】、【呪称骸の輪】として発動する。
装飾大団円!」
【アブゼリードラ】が翼を広げると、そこから地面にスポットライトのような光が二つ当たる。
そこから青色の悪魔と黄色の悪魔が飛び出すと、空中で鎖と首飾りに姿を変え、龍に向かった。
【オアマリン・マテリシャル】
モンスターカード/中距離部類/固有ターン3/素材系
中距離攻撃力1000
中距離効果:自分の場のこのモンスターの性質が被加工系になった場合に発動する。
このモンスターカードを以下の特殊カードとして自分の場に発動する。
<【結束鉱の鎖】
特殊カード/残存型/装飾系
効果:このカードの発動時に、次の効果を発動する。
場のモンスター1体を指定する。
このカードが場にある限り、そのモンスターはカードに記載されている攻撃部類を失い、追加で中距離部類を得る。
また、指定したモンスターが戦闘する場合に発動可能。
戦闘中のみ、相手モンスターの攻撃力を1000下げる。>
(見た目は龍に近い、青色の悪魔。
尾は鉱石でできていて、それを素材にした鎖で敵を拘束する)
【レモネスカル・マテリシャル】
モンスターカード/思念部類/固有ターン1/素材系
思念攻撃力400
思念効果:自分の場のこのモンスターの性質が被加工系になった場合に発動する。
このモンスターカードを以下の特殊カードとして自分の場に発動する。
<【呪称骸の輪】
特殊カード/残存型/装飾系
効果:このカードの発動時に、次の効果を発動する。
場のモンスター1体を指定する。
このカードが場にある限り、そのモンスターはカードに記載されている攻撃部類を失い、追加で思念部類を得る。
また、指定したモンスターが攻撃する場合、発動可能。
互いの場からモンスター1体を選び、そのモンスターの固有ターン×100ダメージを相手に与える。>
(見た目は龍に近い、黄色の悪魔。
体は丈夫な骨でできていて、それを素材にした輪で呪いをかける)
その時、青充が目を覚ました。
「青充君! 大丈夫?」
「風潤…。
俺は…。そうか、瞳彩に負けて…
そうだ! 勝負は?」
「今、類清が一人で…」
風潤は【ChroMacclima-KeY】がモンスターを吸収したこと、【闘争組換】がモンスターを守っていることを説明した。
類清のターンは続く。
「それぞれの装飾系カードの効果により、【アブゼリードラ】は中距離部類と思念部類を得ているが、召喚時に発動した効果によって、お前の効果を受けずに攻撃と効果の発動ができる!
バトルフェイズ!」
【鍛凍龍翔蜴 アブゼリードラ】中距離/思念攻撃力2500
vs
【海瞳彩龍瀾-Gllrobe・IRIS・Ⅶ】撒水攻撃力2500
【アブゼリードラ】が唱える。
「【呪称骸の輪】の効果発動!
お前の固有ターンは7。
700ダメージを受けろ!」
首飾りの口から光線が放たれる。
「うっ!」
瞳彩の累積ダメージ:5450(4750+固有ターン7×100)
「さらに【結束鉱の鎖】の効果発動!
相手の攻撃力を、その戦闘中のみ1000下げる!」
鎖が瞳彩を縛る。
【鍛凍龍翔蜴 アブゼリードラ】中距離/思念攻撃力2500
vs
【海瞳彩龍瀾-Gllrobe・IRIS・Ⅶ】撒水攻撃力1500(2500-1000)
「これでお前も終わりだ!」
鎖の先端が瞳彩の背中に向かう。
その時、地面が輝きだした。
「何だ?」
【飛凍の氷蜴】の効果で色を失っていた結界が再び動きだす。
「結界が…」
5つの結界は瞳彩の体の模様となり、鎖をはじいた。
「【結界紋様塗料】を発動した。
互いの場に合計5枚以上の特殊カードがある場合に発動可能。
効果が無効になっているとはいえ、5枚の結界は場のカードとして残されている。
この効果により、以降俺は戦闘で破壊されない!」
【結界紋様塗料】
特殊カード/塗布系
発動条件:互いの場に合わせて5枚以上の特殊カードがある場合。
効果:以降、自分モンスター1体は戦闘で破壊されない。
「これじゃあ類清は、もう瞳彩を破壊できない!」
「どうだ!
俺を破壊することはできず、モンスターを封じられたこの状況で仮にダメージを与えられたとしても、敗北値は9000もある!
どれだけ手を尽くしても、お前ごときは俺に及ばねぇんだよ!」
興奮した瞳彩が地面を足に打ちつけると、【闘争組換】によって展開された壁にヒビが入った。
「まずい!
このままだと、類清のモンスターまで…」
その時、青充と風潤のデッキのカードが光り、モンスター達が飛び出した。
彼らのモンスターだけではない。
外部からもモンスターが突入してくる。
おそらくCentral本部職員達のモンスターだろう。
「外からもモンスター達が…。
どうして?」
「おそらくお前のカードが作った壁で、瞳彩が作った壁が弱まり、外部からの干渉を許したのだろう」
モンスター達は【闘争組換】の壁に飛び込んで消えていった。
ヒビは少しずつ、消えていく。
「まさか、モンスター達は自分を犠牲にして…」
「あの壁を守ろうとしている…」
「またお前達人間のために、モンスター達は犠牲になった。
ここでお前を助けようが、どうせお前は負けるのに!
これで完全に終わったな!」
「…お前がな!」
「!?」
「助けてくれたモンスター達のためにも、俺達は勝つ。
お前に最高の敗北を味わわせてやるよ。
こんな負け方、なかなかできるもんじゃねぇしな」
「言ったはずだ。
私の魔越効果は、お前が効果を発動する度に発動回数を増やす。
お前が【結界紋様塗料】を発動した今、私はもう一度効果を発動できるのだ」
「それが何だ!
お前の素材系カードはもう…
あっ!」
「そう。
まだ俺には手札が1枚残ってる。
お前が俺を倒すためにドローさせ、このターンのドローで再び俺の手札に戻ってきてくれた…」
類清は裏向きになった手札を瞳彩に見せる。
「【レッドスケール・マテリシャル】!」
【レッドスケール・マテリシャル】
モンスターカード/打撃部類/固有ターン3/素材系
打撃攻撃力700
打撃効果:自分の場のこのモンスターの性質が被加工系になった場合に発動する。
このモンスターカードを以下の特殊カードとして自分の場に発動する。
<【一掃鱗の鎌】
特殊カード/残存型/装飾系
効果:このカードの発動時に、次の効果を発動する。
場のモンスター1体を指定する。
このカードが場にある限り、そのモンスターはカードに記載されている攻撃部類を失い、追加で打撃部類を得る。
また、1度のバトルフェイズで複数回攻撃できる。>
(見た目は龍に近い、赤色の悪魔。
強固な鱗を持ち、それを素材にした鎌は敵を一掃できる)
「このモンスターを私の効果で場に発動する。
装飾大団円!」
赤い悪魔は鎌に変わり、鎖を持った手とは逆の龍の手に収まる。
「【一掃鱗の鎌】は相手の場にモンスターがいる限り、指定したモンスターに何度でも攻撃をさせることができる。
行け、アブゼリードラ!」
龍が飛び立つ。
【鍛凍龍翔蜴 アブゼリードラ】打撃/中距離/思念攻撃力2500
vs
【海瞳彩龍瀾-Gllrobe・IRIS・Ⅶ】撒水攻撃力2500
「【呪称骸の輪】の効果で、700ダメージを与える!」
「くっ…」
瞳彩の累積ダメージ:6150(5450+700)
「そして【結束鉱の鎖】でお前の攻撃力を1000下げる!」
鎖が瞳彩を縛る。
「ぐぅ…」
【鍛凍龍翔蜴 アブゼリードラ】打撃/中距離/思念攻撃力2500
vs
【海瞳彩龍瀾-Gllrobe・IRIS・Ⅶ】撒水攻撃力1500(2500-1000)
「鍛凍照置斬!」
光を放つ鎌が瞳彩を斬り、傷跡をつけた。
「無駄だ!」
龍の体に刻まれた結界は、その傷を修復してしまう。
「馬鹿が!
この結界がある限り、俺が破壊されることはない!」
「そう。それがポイントなんだよ」
「あ?」
「お前が場にいる限り、【一掃鱗の鎌】の効果で私は何度でも攻撃することができる。
もう一度行くぞ!」
再び龍が飛び立つ。
「そして【呪称骸の輪】で、お前に700ダメージ!」
首飾りから光線が放たれる。
瞳彩の累積ダメージ:6850(6150+700)
「【結束鉱の鎖】!」
鎖が瞳彩に向かう。
【鍛凍龍翔蜴 アブゼリードラ】打撃/中距離/思念攻撃力2500
vs
【海瞳彩龍瀾-Gllrobe・IRIS・Ⅶ】撒水攻撃力1500(2500-1000)
「鍛凍照置斬!」
光の鎌が傷跡をつけ、結界がそれを癒す。
「これは…」
「特殊カードを発動したことは、お前にとって致命傷になったな!」
「【呪称骸の輪】で効果ダメージを与え、【結束鉱の鎖】で攻撃力を下げることで戦闘に勝利し、【一掃鱗の鎌】で再度攻撃を行う…。
奴の戦闘破壊阻止を起点に、類清は瞳彩の累積ダメージが敗北値に達するまでダメージを与えられる!」
「すごい…」
「馬鹿な!
こんなことが…」
瞳彩の累積ダメージ:7550(6850+700)
コンボは続く。
「ぐわっ!」
瞳彩の累積ダメージ:8250(7550+700)
「お前の敗北値が9000だろうが90000だろうが関係ねぇ!」
瞳彩の累積ダメージ:8950(8250+700)
「お前が何度復活しようとも、我々は何度でも封印する!」
「くそっ!」
瞳彩の累積ダメージ:9650(8950+700)
類清の勝利。
さらに起動聳で集めたエネルギーを使うことによって、世界中のモンスターを奪い取るのだった。
「【ChroMacclima】にはモンスターを引き寄せる能力があった。
鉄が磁石にくっつくみたいにさ。
お前達に頑張って貯めてもらったエネルギーを使い、その威力を爆発的に向上させたのがこれだ!」
「三漂群の能力を最大限に高めるために、エネルギーを貯めていたのか!」
「ああ。
そこら辺のモンスターをちょこっと集める程度なら、大した手間もない。
だが、全世界のモンスターを一気にとなれば話は別だ。
かつて受けた傷を一刻も早く癒やし、さらに能力が及ぶ範囲を拡大するためにもエネルギーは欠かせなかった。
ホント、お前ら人間には世話になりっぱなしだよ!
この恩はちゃんと、仇で返させてもらわないとな!」
「くっ…」
再び職員の声がする。
「世界中から突然モンスターが。
我々のモンスター達はどういうわけか無事だが、混乱は続いている!」
「(もしかして私達のモンスターは、このカードの力で守られている?
ありがとう、神様…)」
どこからか檻のようなタンクが現れ、【ChroMacclima】が集めた光をそこに流すと、ジャムのような液体がそこに溜まっていった。
「お前達のモンスターが回収できないのは想定外だが、これで俺の目的は達成できた!
(【海瞳彩龍瀾-Gllrobe・IRIS・Ⅶ】のカードは、俺の龍としての姿を表すとともに、三漂群を束ねるためにここにあったCentralの技術を使って作ったカードでもある…)」
三枚の三漂群が【海瞳彩龍瀾-Gllrobe・IRIS・Ⅶ】のカードに統合される。
「そんな…
瞳彩に力が戻っちまったのか?」
「俺の力が完全に元に戻るまではまだ時間とエネルギーがかかる。
だが安心しろ。
このゲームが終わる頃には両方が揃っているだろうからよ。
そうなればもう起動聳の威力調整機能なんて関係ねぇ!
お前らがモンスターを失い、なす術がないところを楽しみながら、ゆっくり、ゆっくりと世界中で暴れ回ってやるよ!
俺はターン終了!
さぁ、流導類清!
エンタメに携わる者として、少しは楽しませてくれよ!」
「絶対負けねぇ!」
手札
類清:3枚
青充:5枚
瞳彩:5枚
TURN14
(類清のターン)
「俺のターン!」
「【海瞳彩龍瀾-Gllrobe・IRIS・Ⅶ】の効果発動!
次は通常部類!」
白い沼が広がる。
「【研磨の精霊 モコモコ】を召喚!」
【研磨の精霊 モコモコ】
モンスターカード/通常部類/固有ターン1/射手系
通常攻撃力300
通常効果:自分ターンに1度、発動可能。
手札からモンスター1体を召喚する。(その際、固有ターンは無視できる)
この効果で素材系カードを召喚した場合、そのモンスターは4ターン目の終了時まで戦闘で破壊されない。(召喚ターンを1ターン目とする)
(小さな犬のような精霊。
体の毛で道具や武器を磨くとピカピカになる)
【モコモコ】が沼に足を取られる。
「ターン終了だ」
「おいおい!
そんなんでいいのかよ!
早くしねぇとどんどん召喚できるモンスターが減っていくぞ!」
手札
類清:4枚
青充:5枚
瞳彩:5枚
TURN15
(瞳彩のターン)
「俺のターン!
このターンは打撃部類を指定!」
赤い沼が広がる。
「バトル!
楽しかったぞ、流導類清!
これで終わりにしてやる!」
「…」
【海瞳彩龍瀾-Gllrobe・IRIS・Ⅶ】撒水攻撃力2500
vs
【研磨の精霊 モコモコ】通常攻撃力300
「媒介の龍瀾!」
【研磨の精霊 モコモコ】が破壊される。
「【モンスターズ・インターセプト】を発動!」
【残像のプテラノ】と【手練のバフォメット】が類清の前に立ちはだかる。
「手札のモンスターを盾に、その攻撃力分のダメージを軽減する!」
【モンスターズ・インターセプト】
特殊カード/護衛系
発動条件:
・自分が戦闘ダメージを受ける場合。
・自分に効果ダメージを与える効果が発動した場合、その効果の発動に対して発動可能。
効果:自分の手札・場の中からモンスターカードを任意の枚数墓地に送ることで、そのモンスターの攻撃力の合計分のダメージを軽減する。
(場のモンスターは、場での攻撃力を参照する)
攻撃力の合計:2500(1200+1300)
「俺のダメージは2500マイナスされる!」
類清の累積ダメージ:2600(2600+0)
「ふん!
これくらいは想定済みだよ!
【信ずる者が引く引き金】!」
場に銃が現れる。
銃口は互いのプレイヤーを向いている。
「互いのデッキをシャッフルし、それぞれ1枚ドローする。
互いのプレイヤーは、自身が引いたカードがモンスターカードだった場合、そのモンスターの攻撃力の半分のダメージを受けなければならない!」
【信ずる者が引く引き金】
特殊カード/命運系
発動条件:
効果:互いのデッキをシャッフルし、その後で、それぞれ1枚ドローする。
そのカードを互いに確認し、そのカードがモンスターカードなら、そのカードをドローしたプレイヤーはそのモンスターの攻撃力の半分のダメージを受ける。
「俺からいくぞ!
ドロー!」
カードを確認し笑う瞳彩。
「俺が引いたのは【龍之落騎兵 Depth:SHALLOW】!
攻撃力はわずか100。
お前らがデッキに戻してくれたおかげで助かったぜ!」
【龍之落騎兵 Depth:SHALLOW】が引き金を引く。
瞳彩の累積ダメージ:4750(4700+100÷2)
「次はお前の番だ!」
「類清の累積ダメージは2600…」
「つまり攻撃力800以上のモンスターをドローすれば、そこでお前は終わる!
大好きなモンスターに倒されるなら本望だろ!」
類清がデッキに手を置く。
「ドロー…」
世界中が見守る。
「…俺のカードは、【レッドスケール・マテリシャル】だ。
攻撃力は700」
「何!?」
【レッドスケール・マテリシャル】が引き金を引く!
「うっ…」
類清の累積ダメージ:2950(2600+700÷2)
「ギリギリで持ち堪えた…」
「ふざけんなっ!
お前どんだけしつけぇんだよ!」
「それはこっちのセリフだよ」
「あ?」
「お前一人の相手するのに俺らがどんだけ苦労したと思ってんだ」
「知らねぇよ、そんなこと!
俺にここまでさせたお前ら人間に問題があるんだろ!」
「お前は何でそこまで人を恨むんだ!」
「人間は俺を騙しやがったんだ!
結局は俺を自分の道具として利用しようとしていた!
封印された俺は考え続けたよ。
どうやって人間を苦しめればいいか。
何がお前らにとって一番苦しいのかを。
答えは"モンスターの存在"だった。
人間は、"人間とモンスターは平等だ"なんて甘い言葉でモンスターを欺いてやがる。
人間よりはるかに高いモンスターの能力を利用するために!
純粋なモンスターは人間を疑いもしない!」
「だからお前は、全人類からモンスターを取り上げようとしているのか?」
「ああ。
それがお前らにとって、最も苦痛だろうからな。
アブゼリードも愚かだよ。
あいつだけじゃない、お前のデッキのモンスター達も!」
「何?」
「召喚され、攻撃し、お前が危険な時は盾にもなる。
そんなことに何の意味があるんだよ。
結局はお前のいいように使われてるだけじゃねぇか。
さっきもそうだ。
モンスターを盾にして自分だけ生き残りやがって。
アブゼリードも勝利のために墓地に送られた。
お前を信じるモンスター達も、そいつらを利用しているお前も、揃いも揃って愚か者ばかりだ!」
「それこそお前がそうさせたんだろ」
「は?」
「お前は"人間が自分に復讐させた"って言ったけど、俺がここに来たのは、お前が俺達を呼んだからじゃねぇのかよ?
少なくとも今は、俺にモンスターを犠牲にさせてるのはお前じゃねぇかって言ってんだよ。
お前がくだらねぇことをしなければ、俺がここに来ることはなかった。
それなのにみんな、危険を承知で俺と一緒に来てくれてんだ。
もしそれがバカなんだとしても、お前みたいに他人を陥れることしか考えられない奴よりはよっぽどマシだと思うけどな!」
「何だと!」
「お前みたいな奴には何があっても負けねぇよ」
手札
類清:2枚
青充:5枚
瞳彩:5枚
TURN16
(類清のターン)
「俺のターン」
「この瞬間、俺自身の効果を発動!
さらに【追加注文】を重発動!
これで俺は合計2つまでカードの種類を指定できる!」
【追加注文】
特殊カード(重発動)/追加系
発動条件:カードの種類を指定する効果が発動した場合、それに対して発動可能。
効果:その効果で、もう1つの種類を指定できる。
「中距離部類と思念部類を指定!」
青色と黄色の沼が広がる。
全ての沼の色が絡んで、濁った色になっている。
「これでお前のモンスターは全て封じた!
素材系モンスターの性質を変えて装飾系カードを作り出す、お前の戦術ももう通用しない!
これでも何かできることがあるならやってみろ!」
「やってやるよ」
「!?」
「【雪降の造形】を発動!
このカードを墓地のモンスターと同じモンスターとして、場に召喚する」
【雪降の造形】
特殊カード/加工系
発動条件:自分の場または自分の墓地のいずれかにモンスターがいる場合。
効果:自分の場か自分の墓地からモンスター1枚を選び、このカードをそのモンスターと同じカードとして召喚する。
ただし、効果は失われ、このカードはターン終了時に破壊される。
「さらに【双主演詠唱】を重発動!
このカードを【雪降の造形】と同じカードとして扱う」
【双主演詠唱】
特殊カード(重発動)/詠唱系
発動条件:特殊カードが発動した時、それに対して発動可能。
効果:このカードはそのカードと同じカードとなる。
(他のプレイヤーの場で特殊カードが発動した場合は、効果処理前にそのプレイヤーの場に移動する)
「同じ効果を2回だと?」
「俺の墓地から【鍛凍龍 アブゼリード】、青充の墓地から【飛翔の照蜴】を選ぶ」
雪が降り積もり、2体と同じ形になった。
【雪降の造形】魔法攻撃力1800
【双主演詠唱】中距離攻撃力1800
「(類清!)」
雪の像から声がする。
「(アブゼリードか?)」
「(ああ。
オリジナルのモンスターカードでないとはいえ、私と同じカードとして【雪降の造形】が召喚されたことで、君と交流することができるようになった)」
「(なあ、アブゼリード…
最後まで一緒に戦ってくれるか?)」
「(そんな分かりきったことに、いちいち答える必要があるのか?)」
微笑む類清。
「(お前のそういうところが、昔からずっと鬱陶しいんだよ)」
「(なら、その鬱陶しさで奴を退治してやるか!)」
「(いくぞ!)
【絶対回顧領域】を発動。
俺の累積ダメージが2500以上の場合、墓地から1枚を手札に加える」
【絶対回顧領域】
特殊カード/想起系
発動条件:自分の累積ダメージが2500以上の場合。
効果:互いの墓地から1枚を選び、そのカードを自分の手札に加える。
類清が墓地からカードを選ぶ。
「【妖獣化】を手札に加える」
【妖獣化】
特殊カード/昇級系
発動条件:昇級カードの召喚に必要なモンスターが自分の場に揃っている場合。
効果:自分モンスターを基礎とし、別の自分のモンスターを吸収させることで、昇級カードを召喚する。
「【妖獣化】だと?
それでまたあの氷の蜥蜴を召喚しようってか。
だが効果を使おうにも中距離部類の効果は使えない!
第一、召喚しようにも、あいつは既に墓地に…」
「【妖獣化】は2種類のモンスターから1体を選んで召喚できる。
どっちのモンスターを基礎にするかによって、召喚できるモンスターが変わるんだよ。
俺は【アブゼリード】となった【雪降】を基礎に、【飛翔の照蜴】となった【双主演詠唱】を吸収させる!」
雪の蜥蜴が雪の龍に流れ込む。
「来い!
【鍛凍龍蜴 アブゼリード】!」
翼の生えた、悪魔のような龍が立つ。
「おかえりアブゼリード」
「ただいま」
【鍛凍龍蜴 アブゼリード】
昇級カード(リード)/固有昇級値1st/魔法部類/加工系・飛行系
召喚条件:【鍛凍龍 アブゼリード】を基礎とし、【飛翔の照蜴】を吸収させて召喚可能。
魔法攻撃力2000
魔法効果:???
(悪魔のような龍が、龍のような蜥蜴を取り込んだ姿。
受け継いだ輝きで、様々な装飾を生み出す)
「生まれ変わろうがそいつは魔法部類!
俺自身の効果でそいつは攻撃できず、効果も無効になる!」
沼が【アブゼリード】を襲う。
「おっと!」
「そいつを呼び出したはいいが、それでどう…」
「まぁ見とけって、ここからが面白いんだからよ!」
「何?」
「【最後列到達】を発動!」
「【最後列到達】!?
それは、果地風潤の…」
「そう。
ここに来る前、私が類清に渡した」
「ありがたく使わせてもらうぞ。
【最後列到達】は、自分の場のモンスターを基礎として、新たな昇級カードを召喚する!」
【最後列到達】
特殊カード/采配系
発動条件:TURN5以降に発動可能。
効果:自分のリードデッキの昇級カード1枚を選ぶ。
そのカードの召喚のために、基礎として指定されているモンスターを確認する。
自分の場から、指定されているそのモンスターを基礎とすることで、選んだ昇級カードをリードデッキから召喚する。
(その際、本来の召喚条件は無視してよい)
「新たな…
まさか!?」
「【鍛凍龍蜴 アブゼリード】を基礎に、【鍛凍龍翔蜴 アブゼリードラ】を召喚!」
翼の生えた龍が召喚される。
その姿はもはや、悪魔と形容する余地はなく、まさしく龍だった。
「ここまでしてやっと龍になれるとは。
お前も大変だな」
「だから常日頃から言っているだろう。
私は元々、龍なのだと」
「何度召喚しても無駄だ!
俺の沼の力をくらえ!」
沼が【アブゼリードラ】を包み込む。
しかし、龍はそれを翼を使ってはじいてしまった。
「何故だ!?」
「簡単なことだ。
私が昇級したことで、攻撃部類も新たな種類に変わっている」
「あ?」
「私の攻撃部類は今、魔越部類!」
「魔越部類だと!?」
【鍛凍龍翔蜴 アブゼリードラ】
昇級カード(リード)/固有昇級値2nd/魔越部類/加工系・飛行系・龍系
召喚条件:【鍛凍龍蜴 アブゼリード】を基礎とし、【ダークダウン・マテリシャル】を吸収させ召喚。
魔越攻撃力2500
魔越効果:???
(悪魔のような龍が、龍のような黒い悪魔を取り込んだ姿。
本人が主張しているように、その容姿は龍そのものである)
「さらに召喚時、効果を発動!
このカードが場にある限り、【アブゼリードラ】は全ての相手効果を受けない!」
「くっ…」
「さらに効果を発動!
手札・場・墓地から素材系カード1枚を特殊カードとして発動できる!
この効果は1ターンに2度までしか発動できないが、相手がターン中に効果を発動する度に、その上限が1回増える」
【鍛凍龍翔蜴 アブゼリードラ】
昇級カード(リード)/固有昇級値2nd/魔越部類/加工系・飛行系・龍系
召喚条件:【鍛凍龍蜴 アブゼリード】を基礎とし、【ダークダウン・マテリシャル】を吸収させ召喚。
魔越攻撃力2500
魔越効果:
・召喚時に発動可能。このカードが場にある限り、このカードは相手の全ての効果を受けない。
・自分ターンに発動可能。(1ターンに2回まで使用可能。ただし自分ターン中に、相手が効果を発動する度、この効果の発動可能回数の上限は1回増える)
自分の手札・場・墓地の素材系カード1枚を、自身のカードテキストに記載されている特殊カードとして発動する。
(悪魔のような龍が、龍のような黒い悪魔を取り込んだ姿。
本人が主張しているように、その容姿は龍そのものである)
「俺はこの効果を2度使い、墓地から【オアマリン・マテリシャル】と【レモネスカル・マテリシャル】を選び、それぞれ【結束鉱の鎖】、【呪称骸の輪】として発動する。
装飾大団円!」
【アブゼリードラ】が翼を広げると、そこから地面にスポットライトのような光が二つ当たる。
そこから青色の悪魔と黄色の悪魔が飛び出すと、空中で鎖と首飾りに姿を変え、龍に向かった。
【オアマリン・マテリシャル】
モンスターカード/中距離部類/固有ターン3/素材系
中距離攻撃力1000
中距離効果:自分の場のこのモンスターの性質が被加工系になった場合に発動する。
このモンスターカードを以下の特殊カードとして自分の場に発動する。
<【結束鉱の鎖】
特殊カード/残存型/装飾系
効果:このカードの発動時に、次の効果を発動する。
場のモンスター1体を指定する。
このカードが場にある限り、そのモンスターはカードに記載されている攻撃部類を失い、追加で中距離部類を得る。
また、指定したモンスターが戦闘する場合に発動可能。
戦闘中のみ、相手モンスターの攻撃力を1000下げる。>
(見た目は龍に近い、青色の悪魔。
尾は鉱石でできていて、それを素材にした鎖で敵を拘束する)
【レモネスカル・マテリシャル】
モンスターカード/思念部類/固有ターン1/素材系
思念攻撃力400
思念効果:自分の場のこのモンスターの性質が被加工系になった場合に発動する。
このモンスターカードを以下の特殊カードとして自分の場に発動する。
<【呪称骸の輪】
特殊カード/残存型/装飾系
効果:このカードの発動時に、次の効果を発動する。
場のモンスター1体を指定する。
このカードが場にある限り、そのモンスターはカードに記載されている攻撃部類を失い、追加で思念部類を得る。
また、指定したモンスターが攻撃する場合、発動可能。
互いの場からモンスター1体を選び、そのモンスターの固有ターン×100ダメージを相手に与える。>
(見た目は龍に近い、黄色の悪魔。
体は丈夫な骨でできていて、それを素材にした輪で呪いをかける)
その時、青充が目を覚ました。
「青充君! 大丈夫?」
「風潤…。
俺は…。そうか、瞳彩に負けて…
そうだ! 勝負は?」
「今、類清が一人で…」
風潤は【ChroMacclima-KeY】がモンスターを吸収したこと、【闘争組換】がモンスターを守っていることを説明した。
類清のターンは続く。
「それぞれの装飾系カードの効果により、【アブゼリードラ】は中距離部類と思念部類を得ているが、召喚時に発動した効果によって、お前の効果を受けずに攻撃と効果の発動ができる!
バトルフェイズ!」
【鍛凍龍翔蜴 アブゼリードラ】中距離/思念攻撃力2500
vs
【海瞳彩龍瀾-Gllrobe・IRIS・Ⅶ】撒水攻撃力2500
【アブゼリードラ】が唱える。
「【呪称骸の輪】の効果発動!
お前の固有ターンは7。
700ダメージを受けろ!」
首飾りの口から光線が放たれる。
「うっ!」
瞳彩の累積ダメージ:5450(4750+固有ターン7×100)
「さらに【結束鉱の鎖】の効果発動!
相手の攻撃力を、その戦闘中のみ1000下げる!」
鎖が瞳彩を縛る。
【鍛凍龍翔蜴 アブゼリードラ】中距離/思念攻撃力2500
vs
【海瞳彩龍瀾-Gllrobe・IRIS・Ⅶ】撒水攻撃力1500(2500-1000)
「これでお前も終わりだ!」
鎖の先端が瞳彩の背中に向かう。
その時、地面が輝きだした。
「何だ?」
【飛凍の氷蜴】の効果で色を失っていた結界が再び動きだす。
「結界が…」
5つの結界は瞳彩の体の模様となり、鎖をはじいた。
「【結界紋様塗料】を発動した。
互いの場に合計5枚以上の特殊カードがある場合に発動可能。
効果が無効になっているとはいえ、5枚の結界は場のカードとして残されている。
この効果により、以降俺は戦闘で破壊されない!」
【結界紋様塗料】
特殊カード/塗布系
発動条件:互いの場に合わせて5枚以上の特殊カードがある場合。
効果:以降、自分モンスター1体は戦闘で破壊されない。
「これじゃあ類清は、もう瞳彩を破壊できない!」
「どうだ!
俺を破壊することはできず、モンスターを封じられたこの状況で仮にダメージを与えられたとしても、敗北値は9000もある!
どれだけ手を尽くしても、お前ごときは俺に及ばねぇんだよ!」
興奮した瞳彩が地面を足に打ちつけると、【闘争組換】によって展開された壁にヒビが入った。
「まずい!
このままだと、類清のモンスターまで…」
その時、青充と風潤のデッキのカードが光り、モンスター達が飛び出した。
彼らのモンスターだけではない。
外部からもモンスターが突入してくる。
おそらくCentral本部職員達のモンスターだろう。
「外からもモンスター達が…。
どうして?」
「おそらくお前のカードが作った壁で、瞳彩が作った壁が弱まり、外部からの干渉を許したのだろう」
モンスター達は【闘争組換】の壁に飛び込んで消えていった。
ヒビは少しずつ、消えていく。
「まさか、モンスター達は自分を犠牲にして…」
「あの壁を守ろうとしている…」
「またお前達人間のために、モンスター達は犠牲になった。
ここでお前を助けようが、どうせお前は負けるのに!
これで完全に終わったな!」
「…お前がな!」
「!?」
「助けてくれたモンスター達のためにも、俺達は勝つ。
お前に最高の敗北を味わわせてやるよ。
こんな負け方、なかなかできるもんじゃねぇしな」
「言ったはずだ。
私の魔越効果は、お前が効果を発動する度に発動回数を増やす。
お前が【結界紋様塗料】を発動した今、私はもう一度効果を発動できるのだ」
「それが何だ!
お前の素材系カードはもう…
あっ!」
「そう。
まだ俺には手札が1枚残ってる。
お前が俺を倒すためにドローさせ、このターンのドローで再び俺の手札に戻ってきてくれた…」
類清は裏向きになった手札を瞳彩に見せる。
「【レッドスケール・マテリシャル】!」
【レッドスケール・マテリシャル】
モンスターカード/打撃部類/固有ターン3/素材系
打撃攻撃力700
打撃効果:自分の場のこのモンスターの性質が被加工系になった場合に発動する。
このモンスターカードを以下の特殊カードとして自分の場に発動する。
<【一掃鱗の鎌】
特殊カード/残存型/装飾系
効果:このカードの発動時に、次の効果を発動する。
場のモンスター1体を指定する。
このカードが場にある限り、そのモンスターはカードに記載されている攻撃部類を失い、追加で打撃部類を得る。
また、1度のバトルフェイズで複数回攻撃できる。>
(見た目は龍に近い、赤色の悪魔。
強固な鱗を持ち、それを素材にした鎌は敵を一掃できる)
「このモンスターを私の効果で場に発動する。
装飾大団円!」
赤い悪魔は鎌に変わり、鎖を持った手とは逆の龍の手に収まる。
「【一掃鱗の鎌】は相手の場にモンスターがいる限り、指定したモンスターに何度でも攻撃をさせることができる。
行け、アブゼリードラ!」
龍が飛び立つ。
【鍛凍龍翔蜴 アブゼリードラ】打撃/中距離/思念攻撃力2500
vs
【海瞳彩龍瀾-Gllrobe・IRIS・Ⅶ】撒水攻撃力2500
「【呪称骸の輪】の効果で、700ダメージを与える!」
「くっ…」
瞳彩の累積ダメージ:6150(5450+700)
「そして【結束鉱の鎖】でお前の攻撃力を1000下げる!」
鎖が瞳彩を縛る。
「ぐぅ…」
【鍛凍龍翔蜴 アブゼリードラ】打撃/中距離/思念攻撃力2500
vs
【海瞳彩龍瀾-Gllrobe・IRIS・Ⅶ】撒水攻撃力1500(2500-1000)
「鍛凍照置斬!」
光を放つ鎌が瞳彩を斬り、傷跡をつけた。
「無駄だ!」
龍の体に刻まれた結界は、その傷を修復してしまう。
「馬鹿が!
この結界がある限り、俺が破壊されることはない!」
「そう。それがポイントなんだよ」
「あ?」
「お前が場にいる限り、【一掃鱗の鎌】の効果で私は何度でも攻撃することができる。
もう一度行くぞ!」
再び龍が飛び立つ。
「そして【呪称骸の輪】で、お前に700ダメージ!」
首飾りから光線が放たれる。
瞳彩の累積ダメージ:6850(6150+700)
「【結束鉱の鎖】!」
鎖が瞳彩に向かう。
【鍛凍龍翔蜴 アブゼリードラ】打撃/中距離/思念攻撃力2500
vs
【海瞳彩龍瀾-Gllrobe・IRIS・Ⅶ】撒水攻撃力1500(2500-1000)
「鍛凍照置斬!」
光の鎌が傷跡をつけ、結界がそれを癒す。
「これは…」
「特殊カードを発動したことは、お前にとって致命傷になったな!」
「【呪称骸の輪】で効果ダメージを与え、【結束鉱の鎖】で攻撃力を下げることで戦闘に勝利し、【一掃鱗の鎌】で再度攻撃を行う…。
奴の戦闘破壊阻止を起点に、類清は瞳彩の累積ダメージが敗北値に達するまでダメージを与えられる!」
「すごい…」
「馬鹿な!
こんなことが…」
瞳彩の累積ダメージ:7550(6850+700)
コンボは続く。
「ぐわっ!」
瞳彩の累積ダメージ:8250(7550+700)
「お前の敗北値が9000だろうが90000だろうが関係ねぇ!」
瞳彩の累積ダメージ:8950(8250+700)
「お前が何度復活しようとも、我々は何度でも封印する!」
「くそっ!」
瞳彩の累積ダメージ:9650(8950+700)
類清の勝利。
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