五仕旗 Media=II Generation

旋架

文字の大きさ
上 下
18 / 33
§1 PARSKR II編

#8 そんなものは要らない Part1(ゲーム)

しおりを挟む
類清、アブゼリード、風潤の前に、革霧が現れる。
先に進みたければ自分を倒すように言う革霧と類清は五仕旗で戦うことに。
攻撃力を操作する戦術で相手を追い詰める革霧に対して、類清はわずかな隙をつき対抗するも、革霧のエースモンスター【飛翔ひしょう照蜴しょうき】の召喚を許してしまうのだった。

**********

<回想>

まだ幼い頃。

「そうやって泣いてたって、アブゼリードは龍になってはくれないんだよ」

「待ってくれ風潤。
私は龍なのだ。ただ、見た目が少し奇抜なために悪魔だと思われてしまうだけで…」

「あ…ごめん…。
ほら、だから泣かないで。
本人が龍だって言ってるんだから、それでいいじゃない」

風潤の説得を受け入れず、類清は反論する。

「でも今、風潤は間違えてたじゃん!
見た目で判断してたじゃん! アブゼリードのこと!」

「確かに、間違えちゃったけど…」

「アブゼリードは龍だって言ってるのに!
何でみんな悪魔だって言ってくるんだよ!」

流導類清と【鍛凍龍かこおりゅう アブゼリード】は仲が良かった。
人とモンスターが一緒にいるということは、この時代、珍しいことでも何でもない。
問題なのは、その見た目。

"目が合えば、こちらが何かせずとも襲いかかってくる。
機嫌が悪ければ、誰彼構わず攻撃する"

そんな勝手なイメージをつけられてしまうほど、アブゼリードの容姿は恐ろしかった。

おまけにアブゼリードは、人と会話できるモンスター。
言葉を話し、コミュニケーションをとるモンスターは数が多いわけではなかったため、それだけでも君悪がられることがあるくらいだった。

類清は周囲から距離を置かれていた。
友達がいないわけではなかったのだが、つまらないことを言ってくる者は後を絶たない。
いつもギリギリのところにいたが、ついにこの日、「ここ数日で起きている不幸は、全てアブゼリードのせい」とクラスメートに言いがかりをつけられた類清は、抑えていた気持ちが爆発した。

"アブゼリードの容姿が龍そのものならば、自分がこのような仕打ちを受けることはなかった"と彼に怒りの矛先が向いてしまったのだ。

「類清」

「何?」

いらだちながら、アブゼリードの方を見る。

「私は君から離れる」

「え…」

「ちょっと、アブゼリード、何言ってるの!」

「それで君が嫌がらせを受けなくなるのなら、私はそれでもいい」

アブゼリードが去ろうとすると、三人の背後から声がした。

「そんなくだらない理由で、別れる必要はない」

皆が振り返る。

「青充…」

革霧青充かわぎりあおみ
類清と風潤より3つ年上で、よく二人の面倒を見てくれた。
他人に優しく優秀であったため、二人だけでなく周囲からも憧れられていた。

「類清。
アブゼリードは本気だぞ。
お前はそれでいいのか?」

「…。
嫌だ」

「そうだろ?
それに、アブゼリードがいなくなっても、何の解決にもならないだろ。
お前のことだから、自分への被害がなくなっても、"アブゼリードがいなくなったのはお前達のせいだ!"とか言って喧嘩しそうだもんな。
で、今まで以上に仲が悪くなる」

子どもとは思えない彼の考えに、アブゼリードは感心した。

「確かにそうだな。
類清が黙っているとは思えない」

「それにな。
俺のモンスターを見ろ」

青充は【飛翔ひしょう照蜴しょうき】を召喚する。

「こいつもアブゼリードと同じさ」

「え?」

「お前、こいつが何に見える?」

「龍じゃないの?」

「違うな。
飛翔ひしょう照蜴しょうき】は蜥蜴トカゲなんだ」

「トカゲ!?
何で? 飛んでるのに?」

「そんなもんなんだよ。分類ってのは。
人間が好き勝手呼んでるだけ。
俺だって、こいつを龍だと思い込んでた奴らに、"騙された。裏切られた"くらいのことを言われたこともあったけどな、全然気にならなかったぞ。
だって、俺が好きな気持ちに変わりはないから。
お前もそうだろ?」

類清は照れくさそうに頷く。

「悪いのはお前とアブゼリードを悪く言う奴らだ。
アブゼリードの見た目のせいにするのは違うだろ?」

「うん。
ごめん、アブゼリード」

「私は別にいい。
ただ、私が何かすることで、余計に君と彼らとの関係が悪くなってしまうのではないかと考えると、何もできなかった。
私も早く、君と話し合うべきだったのかもしれない」

「よかったな。アブゼリードが大人で。
第一そういう奴らはな、何かしら文句言いたいだけなんだよ。
もしかしたら、アブゼリードが話せることが羨ましいだけなんじゃないのか?」

「そうなのかな?」

「そうだよ。
そんなに多くないからな、人と話せるモンスターって。
それより、今度何か言われたら少しは言い返せよ」

「言い返してるよ!
でも、キリがないから疲れたんだろ!」

「まぁ、俺に言い返せてるんだったら、もう大丈夫そうだな」

**********

「気が強そうに見えて、泣き虫だったお前がPARSKRパースクルに来たことは意外だった」

「それはどうも」

「だがもう用済みだ。
ここで俺に敗北して去れ!
バトル!
飛翔ひしょう照蜴しょうき】で【残像のプテラノ】を攻撃!」

飛翔ひしょう照蜴しょうき】中距離攻撃力1800
     vs
【残像のプテラノ】通常攻撃力1200

昇照燦爛蜥しょうしょうさんらいと!」

羽が刺さり【残像のプテラノ】が倒れる。

「うっ!」

類清の累積ダメージ:1800(0+1800)

「ターン終了」

類清は手札を1枚手に取る。

「(このカードは、後で役に立つかも。
手札が入れ替わる前に、発動しておくか)
臨機領域フットワーク・テリトリー】を発動!」

臨機領域フットワーク・テリトリー
特殊カード/残存型/射手系
発動条件:自分ターンまたは相手ターンにカードの発動が可能。
効果:自分の場の射手系モンスターは、「攻撃時に発動する効果、攻撃時に適用される効果」を迎撃時にも発動・適用することができる。

類清の場に草木が広がっていく。

「このカードが場にある限り、射手系モンスターが攻撃時に発揮する効果を、迎撃時にも使うことができる!」

しかし、アブゼリードの表情が曇る。

「無駄だ、類清。
あのモンスターの効果は…」

「え…
あっ!」

「思い出したか?
飛翔ひしょう照蜴しょうき】の効果発動!
遮効光しゃこうこう!」

翼を広げ、光が放たれると、緑は次第に枯れていった。

「【飛翔ひしょう照蜴しょうき】は自分ターンに1度、場のカード1枚の効果を無効にする!」

飛翔ひしょう照蜴しょうき
モンスターカード(リード)/中距離部類/固有ターン5/飛行系
召喚条件:自分の場のモンスターの内、カードに記載されている攻撃力と異なる数値の攻撃力を持つモンスターを、攻撃力の合計が1800以上になるように墓地に送ることで、リードデッキから召喚可能。
中距離攻撃力1800
中距離効果:自分ターンに1度、発動可能。
場のカード1枚を指定することで、そのカードの効果は無効になる。
(このカードが場を離れても効果は続く)
(晴天を舞い、翼の光で相手の動きを封じる蜥蜴トカゲ
細身で翼があることから、龍のように見える)

「そうだった。
すっかり忘れてた…」

「初見のカードならまだしも、見知っているカードの効果を失念するなど、話にならない。
その程度の実力で俺に勝とうなどと、随分と甘くみられたものだ」

「くっ…」

手札
類清:3枚
青充:5枚

TURN6
(類清のターン)

「俺のターン。
手練てだれのバフォメット】を召喚!」

手練てだれのバフォメット】
モンスターカード/通常部類/固有ターン3/射手系
通常攻撃力1300
通常効果:モンスターに攻撃する場合、発動可能。
このモンスターの攻撃力は戦闘中のみ、戦闘する相手モンスターの固有ターン×100だけ上がる。
このモンスターは、装飾系カードの効果で指定されていない場合、戦闘ダメージを与えられない。
(黒を基調とした迷彩柄のバフォメット。
武器や道具を使いこなすだけでなく、元々の能力も優れている)

「戦闘する相手モンスターの固有ターンに応じて、攻撃力が変化するモンスターか。
来い。
相手になってやる」

「いちいちが偉そうだな!
バトル!」

手練てだれのバフォメット】通常攻撃力1300
     vs
飛翔ひしょう照蜴しょうき】中距離攻撃力1800

「【手練てだれのバフォメット】の効果発動!
攻撃力が500上がる!」

手練てだれのバフォメット】通常攻撃力1800(1300+100×5)
     vs
飛翔ひしょう照蜴しょうき】中距離攻撃力1800

「【旋回せんかいそら】!」

場に青空が広がった。

旋回せんかいそら
特殊カード/残存型/飛行系
発動条件:自分ターンまたは相手ターンに、カードの発動が可能。
効果:このカードがある限り、飛行系モンスターを従えるプレイヤーは次の効果を発動できる。
自身の飛行系モンスターが中距離部類以外のモンスターに攻撃を受けた場合、発動可能。
その攻撃を無効にする。

飛翔ひしょう照蜴しょうき】が【手練てだれのバフォメット】をかわす。

「これは厄介だぞ。
これでこちらからは、中距離部類以外の攻撃は届かなくなる」

「さすがアブゼリード。
類清と違って物覚えがいいな」

「うるせぇ!」

「(これが青充君の恐ろしいところ。
ターンを重ねるごとに場が完成していって、相手は手も足も出なくなる…)」

「ターン終了だ…」

手札
類清:4枚
青充:4枚

TURN7
(青充のターン)

「俺のターン。
さらに追い詰めてやる。
【ホバリング】を発動!
このカードが場にある限り、飛行系モンスターは相手の効果を受けない!」

【ホバリング】
特殊カード/残存型/飛行系
発動条件:自分ターンまたは相手ターン中にカードの発動が可能。
効果:このカードが場にある限り、飛行系モンスターは相手の効果を受けない。

「これでますます、こちらからは手が出しづらくなった!」

「バトル!」

飛翔ひしょう照蜴しょうき】中距離攻撃力1800
     vs
手練てだれのバフォメット】通常攻撃力1300

手練てだれのバフォメット】が抵抗できず破壊される。

「お前の累積ダメージは1800。
終わったな」

「まだだ!
【モンスターズ・インターセプト】!
手札からモンスターを墓地に送ることで、その攻撃力分のダメージを軽減する!」

【モンスターズ・インターセプト】
特殊カード/護衛系
発動条件:
・自分が戦闘ダメージを受ける場合。
・自分に効果ダメージを与える効果が発動した場合、その効果の発動に対して発動可能。
効果:自分の手札・場の中からモンスターカードを任意の枚数墓地に送ることで、そのモンスターの攻撃力の合計分のダメージを軽減する。
(場のモンスターは、場での攻撃力を参照する)

「俺は手札から【レッドスケール・マテリシャル】を捨て…」

【レッドスケール・マテリシャル】打撃攻撃力700

【レッドスケール】が類清の前に立ち塞がる。

「その攻撃力700分の戦闘ダメージを減らす!」

類清が受ける戦闘ダメージ:1800-700=1100

類清は風で後ろに押されつつも、何とか持ち堪えた。

類清の累積ダメージ:2900(1800+1100)

「ありがとう、【レッドスケール】…」

赤い悪魔が消えていく。

「(攻撃を持ち堪えたとともに、これで【アブゼリード】召喚のための条件もクリアしたか)
さぁ、【アブゼリード】を召喚してかかってこい!
お前の全力をもってしても、俺に敵わないことを思い知らせてやる!
ターン終了!」

手札
類清:2枚
青充:4枚

TURN8
(類清のターン)

「俺のターン!
(【旋回せんかいそら】の効果で俺の攻撃は封じられ、【ホバリング】で効果も及ばない。
だけど、この手札なら…)」

しばらく考える類清。

「(このターンが勝負!)
頼んだぞ、アブゼリード!」

「任せておけ」

鍛凍龍かこおりゅう アブゼリード】
モンスターカード(リード)/魔法部類/固有ターン5/加工系
魔法攻撃力1800
召喚条件:自分の累積ダメージが2500以上の場合、リードデッキから召喚可能。
魔法効果:自分ターンに発動可能。(複数回発動可能)
素材系カード1枚を指定する。
そのカードの性質を被加工系に変化させる。
(素材を加工し、新たな姿にする能力を持つ龍。
見た目は悪魔に近いが、本人は龍だと主張している)

「さらに【雪降スノーマンの造形】。
このカードを【アブゼリード】と同じカードとして召喚する」

雪が降り積もり、【アブゼリード】と同じ形になった。

「ただし、効果は得られない。
さらにターン終了時、このカードは破壊される」

雪降スノーマンの造形】
特殊カード/加工系
発動条件:自分の場または自分の墓地のいずれかにモンスターがいる場合。
効果:自分の場か自分の墓地からモンスター1枚を選び、このカードをそのモンスターと同じカードとして召喚する。
ただし、効果は失われ、このカードはターン終了時に破壊される。

「まだまだ!
来い!【調達するゴブリン】!」

【調達するゴブリン】
モンスターカード/通常部類/固有ターン1/射手系
通常攻撃力500
通常効果:このモンスターが場にいる限り、自分の場のモンスターは、自分の場の装飾系カード1枚につき攻撃力が500上がる。
(材料の調達を主な仕事としているゴブリン。
珍しい素材に対するアンテナを常に張っている)

「そして、【オアマリン・マテリシャル】を召喚!」

【オアマリン・マテリシャル】
モンスターカード/中距離部類/固有ターン3/素材系
中距離攻撃力1000
中距離効果:自分の場のこのモンスターの性質が被加工系になった場合に発動する。
このモンスターカードを以下の特殊カードとして自分の場に発動する。
<【結束鉱けっそくこうくさり
特殊カード/残存型/装飾系
効果:このカードの発動時に、次の効果を発動する。
場のモンスター1体を指定する。
このカードが場にある限り、そのモンスターはカードに記載されている攻撃部類を失い、追加で中距離部類を得る。
また、指定したモンスターが戦闘する場合に発動可能。
戦闘中のみ、相手モンスターの攻撃力を1000下げる。>
(見た目は龍に近い、青色の悪魔。
尾は鉱石でできていて、それを素材にした鎖で敵を拘束する)

青い悪魔が召喚される。

「【アブゼリード】の魔法効果を発動!
急冷鍛錬アブソリュート・クラフト!」

【オアマリン・マテリシャル】が氷を受けると、悪魔は鎖に変化した。
それを【アブゼリード】が手に取る。

「【調達するゴブリン】の効果。
俺の場の全てのモンスターの攻撃力は、装飾系カード1枚につき500上がる」

鍛凍龍かこおりゅう アブゼリード】中距離攻撃力2300(1800+500)
雪降スノーマンの造形】魔法攻撃力2300(1800+500)
【調達するゴブリン】の通常攻撃力1000(500+500)

「バトル!
鍛凍龍かこおりゅう アブゼリード】で【飛翔ひしょう照蜴しょうき】を攻撃!」

鍛凍龍かこおりゅう アブゼリード】中距離攻撃力2300
     vs
飛翔ひしょう照蜴しょうき】中距離攻撃力1800

鍛凍龍かこおりゅう アブゼリード】が鎖を振り回す。

「【オアマリン・マテリシャル】の効果によって指定されたことで、【アブゼリード】は魔法部類から中距離部類になっている。
これなら攻撃をかわせないだろ?」

「…」

鍛凍狙エイム・フリズポイント!」

凍った鎖は空に向かって投げられる。
しかし、その鎖が蜥蜴トカゲに到達すると思われたその瞬間、蜥蜴トカゲは姿を消した。

「なっ!?」

飛翔ひしょう照蜴しょうき】はさらに上空に移動していた。

「【高次飛行こうじひこう】を使った。
飛翔ひしょう照蜴しょうき】の性質を飛行系から高次飛行系に変化させる。
そして【旋回せんかいそら】に、新たな効果を追加する」

高次飛行こうじひこう
特殊カード/飛行系
発動条件:自分の飛行系モンスターが攻撃された場合。
効果:攻撃された自分モンスターは、飛行系の性質を失い、高次飛行系を得る。
さらに、自分の場の【旋回せんかいそら】の効果に、以下の効果を追加する。
<このカードがある限り、高次飛行系モンスターを従えるプレイヤーは以下の効果を発動できる。
・自身の高次飛行系モンスターが中距離部類モンスターに攻撃を受けた場合、発動可能。
その攻撃を無効にする。
・自身の高次飛行系モンスターが中距離部類以外のモンスターに攻撃を受けた場合、発動可能。
攻撃モンスターを破壊する。>

「高次飛行系モンスターは、中距離部類のモンスターからの攻撃も無効にできる」

「…」

「いかなる手を使っても、もうお前の攻撃は俺には届かない。
…今度こそ終わりだ」

「終わりか…。
だったら最後にひとつ聞いてもいいかな?」

「何だ?」

「何であんたは、俺達をここまでして止めるんだよ」

「先にも言ったが、お前達では瞳彩アイリスに勝利することは不可能に近いからだ」

「"不可能に近い"って、不可能かどうかはやってみないと分からないだろ!」

「やってみて負けるだけならいい。
だが、刺し違えるならばともかく、傷ひとつ与えられずに命を落としても、本当にお前達は後悔がないと言えるか?
本来、争いとは縁のない部に所属するお前達が、こんな危険な戦いに足を踏み入れる必要はない。
見知った人間が倒れていく姿を見せつけられるのは苦しいことだ。
Sortソート:Asエーに身を置くと、嫌でもそういう状況に出くわす。
それを見届けなければならない俺の身にもなってくれ」

「(青充君は、私達を守るために…)」

「(自ら我々を足止めしようとしたのか…)」

「それがお前の優しさってわけか。
青充、昔からお前はそうだったよな。
なんだかんだ、いつも俺達を大事にしてくれてた…」

しばらくの沈黙の後、類清が切り出した。

「でもそんなの要らねぇんだよ!」

「…」

瞳彩アイリスとの戦いが危険なことぐらい、俺もアブゼリードも風潤も、みんな分かってんだよ!
それでも瞳彩アイリスのことは許せねぇ!
こんな形でPARSKRパースクルを利用されるのは気に入らねぇんだ。
奴を止めるために俺が行きたいと言ったら、アブゼリードや他のモンスター達も危険を承知でついてきてくれた。
風潤だって、家出までしてずっと瞳彩アイリスを避けてたのに、俺がここにいることを知ってわざわざ助けに来てくれたんだぞ!
それでもお前は俺達に何もするなって言うのか?」

「それでもだ」

「悪いが俺は俺で奴に挑ませてもらう。
いちいち他人に指図されることじゃねぇからな」

「…そうか。
お前達の考えは分かった。
だが、この勝負でお前が負ければ、お前達はここから去る。
それは変わらないからな」

「その言葉、忘れるなよ」

「何?」

「アブゼリード、【結束鉱けっそくこうくさり】を投げろ!」

「了解!」

鎖は蜥蜴トカゲの真下に移動した。

「(…こいつ、まさか!)」

「特殊カード【霹靂へきれき】を発動!」

「!?」

悪天候になり、ゴロゴロと音が聞こえる。

「俺の場に残存型の特殊カードがある場合、場のカード1枚の性質を消滅させる。
これで【飛翔ひしょう照蜴しょうき】の高次飛行の性質を消し去る!」

霹靂へきれき
特殊カード/落雷系
発動条件:自分の場に残存型の特殊カードがある場合。
効果:場のカード1枚の性質を消滅させる。

「【ホバリング】の効果で守れるのは、飛行系モンスターのみ。
君の【飛翔ひしょう照蜴しょうき】が高次飛行系となった今、我々の効果から身を守ることはできない!」

雷が、鎖に向かって落ちていく。
間にいる蜥蜴トカゲは巻き込まれ、地面に落ちていった。

「(避雷針!)」

「さらに高次飛行系を失うことで、飛行系・高次飛行系モンスターの迎撃時にのみ効果を発動できる【旋回せんかいそら】では、攻撃を防ぐこともできない!」

「…」

「これで中距離部類以外のモンスターの攻撃も通じる!」

「【雪降スノーマンの造形】で【飛翔ひしょう照蜴しょうき】を攻撃!」

雪降スノーマンの造形】魔法攻撃力2300
     vs
飛翔ひしょう照蜴しょうき】中距離攻撃力1800

鍛雪識ワイズマン・フリズイミテート!」

冷気によって、蜥蜴トカゲは破壊された。

「…」

青充の累積ダメージ:3500(1200+2300)

類清の勝利。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

五仕旗 Primal Generation

旋架
ファンタジー
人とモンスターがともに生きるその時代。 人はモンスターをカード化して力を借り、モンスターは人の知恵を借りて生きていた。 五仕旗。 モンスターを召喚し競い合うそのカードゲームは、人とモンスターの娯楽として親しまれていた。 その一方で、人間との協調を拒むモンスターが各地で人やモンスターを襲撃しはじめた。 果地繁風はそれらのモンスターを静めるため、弟の風瓜とともに旅に出る。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

追憶の刃ーーかつて時空を飛ばされた殺人鬼は、記憶を失くし、200年後の世界で学生として生きるーー

ノリオ
ファンタジー
今から約200年前。 ある一人の男が、この世界に存在する数多の人間を片っ端から大虐殺するという大事件が起こった。 犠牲となった人数は千にも万にも及び、その規模たるや史上最大・空前絶後であることは、誰の目にも明らかだった。 世界中の強者が権力者が、彼を殺そうと一心奮起し、それは壮絶な戦いを生んだ。 彼自身だけでなく国同士の戦争にまで発展したそれは、世界中を死体で埋め尽くすほどの大惨事を引き起こし、血と恐怖に塗れたその惨状は、正に地獄と呼ぶにふさわしい有様だった。 世界は瀕死だったーー。 世界は終わりかけていたーー。 世界は彼を憎んだーー。 まるで『鬼』のように残虐で、 まるで『神』のように強くて、 まるで『鬼神』のような彼に、 人々は恐れることしか出来なかった。 抗わず、悲しんで、諦めて、絶望していた。 世界はもう終わりだと、誰もが思った。 ーー英雄は、そんな時に現れた。 勇気ある5人の戦士は彼と戦い、致命傷を負いながらも、時空間魔法で彼をこの時代から追放することに成功した。 彼は強い憎しみと未練を残したまま、英雄たちの手によって別の次元へと強制送還され、新たな1日を送り始める。 しかしーー送られた先で、彼には記憶がなかった。 彼は一人の女の子に拾われ、自らの復讐心を忘れたまま、政府の管理する学校へと通うことになる。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

妻がヌードモデルになる日

矢木羽研
大衆娯楽
男性画家のヌードモデルになりたい。妻にそう切り出された夫の動揺と受容を書いてみました。

五仕旗 3rd Generation

旋架
ファンタジー
その時代では、一部界隈で人気を博していたカードゲーム【五仕旗】。 層上充快は、鞍端風増から誘われたことをきっかけに、その世界に足を踏み入れる。 徐々に五仕旗に魅了されていく充快だったが、あるカードの存在を知ることで想像もつかなかった戦いに身を投じることになる。

RUBBER LADY 屈辱の性奴隷調教

RUBBER LADY
ファンタジー
RUBBER LADYが活躍するストーリーの続編です

入れ替わった二人

廣瀬純一
ファンタジー
ある日突然、男と女の身体が入れ替わる話です。

処理中です...