欲望のままに

姫川 林檎

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指先の恋

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「あら、2人共お帰りなさい。」

「今日は、幸子さん。ただいまです。」
「今日は。」

「2人は相変わらず仲が良いわね。しかもイケメンになって、うちの子ももう少し恰好良ければ自慢出来たのに・・・。」

「けど、伸也君は運動神経いいし、今年もスタメンですよね?甲子園期待してますよ。」

「それしか取り柄がないからねぇ、斗真とうま君はもう陸上やらないの?中学の時には国体で優勝したのに。」

「暇つぶしに走ってただけのなので。」

「勿体ないわねぇ。まぁ、本人の自由だから周りがとやかいう事ではないわよね。ごめんなさいね。」

「いえ、気にしてないので。」

「すいません、愛想悪くて・・・。」

「いいのよ!斗真君はそこがcoolで格好良いだから♪」

「だって♪」

「・・・どうも。」



「「ただいま。」」

「今日子さんは?」

「母さんは出張。」

「相変わらず忙しそうだね。」

「あぁ、再来週2人とも帰って来る予定だ。」

遼真りょうまさん単身赴任今月いっぱいだっけ?」

「あぁ。」

「・・・ねぇ、とぅまぁ~のど湧いた。お願い(うるうる)」

下から目を潤ませながら斗真を見上げてお願いする。

「くそ。分ったよ!紅茶しかないからな。」

「ねぇ、そんな簡単に落ちてどうするの?僕斗真の将来心配だよ。綺麗なお姉さんに騙されそうで。」

「五月蠅い!!落ちねよ!俺が弱いのはお前の顔だけだ!黙って待ってろ。」

「・・・あっそ。」

俺は昔からミカの顔が好きだ。フランス人の母親に似て金髪碧眼の可愛らしい子だった、幼稚園で初めて会った時に本物の天使様かと思った、周りにいるどの女の子より可愛くて見ているだけで幸せだった。

小さい時から何度も誘拐されそうになっては俺が守って来た。
とは言っても、子供の俺に出来たのは大声で叫んだり相手に噛みつく事位しか出来なくて、結局に大人に助けてもらっていた。それが悔しくて空手や柔道を習おうかと思ってが、ミカと離れては意味がないと思い習うのを止めて本とかで自己流で覚えた。

中学に上がってからは、可愛かったミカは綺麗になり男にも女にもモテる様になって、少し距離を置いていたが高校に上がってから又一緒に居る時間が増えた。


「ほら、零すなよ。」

「有難う。斗真、今日子さんが居ないって事はご飯どうしてるの?」

「ん?自分で適当に作って食べてるが。」

「料理出来るの!?」

「別に本見てそのまま作るだけだし。大したもんは作ってねーよ。」

「僕食べたい!斗真の手料理!明日から休みだし泊まっていいよね♪」

「はぁ!?何言ってんだ!」

「・・・返信来た!お母さんのOK貰ったから今晩ヨロシク♪」

「早ぇなぁ!って俺がOKしてないだろう!!」

「えぇー、ダメ?(うるうる)」

「くっ・・・・分かったよ。くそ。」

「やったー!・・・けど、本当にチョロ過ぎるよ?」

「五月蠅い!帰るか?」

「ごめんなさーい。」



結局泊まる事となり、俺の着れなくなった古着を貸す。ミカは170cmの細身対して俺は185cm筋肉質、今の俺の服では大き過ぎて余ってしまう。弟の昇真しょうまもミカより大きいので余る。まぁ、それでも余ってしまっているが・・・。丈はさほど問題ではないが胸囲や腰回りが違うのでミカが着るとダボっとしていて可愛く見える。

・・・ゴホン!それはさて置き、

何を作るかな・・・。
俺が冷蔵庫を確認していると、

「ねぇ、昇真は?未だ部活?」

「あぁ、明日からイタリアで試合だから居ない。パスタでいいか?」

「パスタ好き。イタリアかぁ、ジュニアとはいえ日本代表だもんなぁ。僕も幼馴染として鼻が高いよ。」

昇真はサッカーの日本代表だ。今から将来が期待されていて、国内外から幾つかオファーを受けているが悩んでいる。俺としては学生は今しか出来ないから学生も楽しんでもらいたい。まぁ、どうするかは本人の自由に任せてある。

昨日安くて色々買った茸とツナで和風パスタでいいか。手の込んだ物を作って失敗するよりマシだろ、サラダは適当に切ってドレッシングでいいとして、スープはどうすんかな?和風だから若布とコーンでいいか。

さぁ、始まるか。


「本当に料理出来るんだね。」

俺が作ってると後ろからミカが話掛けて来た。
手を止めずに答える。

「あぁ、毎回買うと結構かかるしな。俺も食べるしそれ以上に昇真は食べ盛りだし、それに体作るのにも食べなきゃいけないだろ、だから作った方が安く済むからな。」

「ねぇ!ひょっとしてお弁当作ってるのって斗真なの!?」

「あぁ、母さんは忙しくて作ってる暇ないし。俺今部活してないから暇だし、肉さえ与えて置けば昇真は文句はないからな。」

「そんなぁ、与えて置けばって・・・。けど、いつも美味しそうだなって思ってたのに、斗真が作ってた何て意外。」

出来たスパゲティを皿に盛り刻み海苔をかけて完成。テーブルに並べて、ミカに座る様に言い茶を取りに行く。席に着き一緒に食べる。

「いただきます♪」
「召し上がれ。味の保証はないぞ。」

「・・・んしい!」

「口に入れたまま喋るな。はしたない。」

「ゴクン。美味しいよ!!斗真にこんな才能があるなんて知らなかった!いつでも嫁に行けるね♪」

「誰が嫁に行くかよ。俺は可愛いお嫁さんをもらう予定だ。それに今時男が料理出来ても不思議じゃないだろ。」

「嫁スキル高いのに・・・。僕は全く出来ないけどね。スープも美味しい。」

「何だ、嫁スキルって・・・。」


暫く、食事をしながら話をしていたが、ミカが「今日は汗かいたからお風呂入りたい。」っと言い出してお風呂の準備をする。お風呂を洗って湯を溜めてる間に着替えを準備、と言っても流石に昔のパジャマは処分しているからどうしようかと悩んでいると、Tシャツだけでいいと言うので洗濯済みの俺のを貸す。すると、Tシャツだけ持って風呂場に行く。

俺はミカが入っている間に片付けと朝食の準備。丁度終わった所にミカが出て来た。
髪を洗って未だ濡れている紙を拭きながら入って来たミカは俺のTシャツだけを着ていた。細身のミカが着ると‟彼シャツ”状態、細く白い脚が妙に色っぽくてドキッとしてしまった。

「かっ髪をちゃんと拭かないと風邪ひくぞ!」

「斗真ぁ、拭いてお願い♪」

「くそっ!」

ミカに対してドキドキしてしまった俺は文句も言わずドライヤーを取りにリビングを逃げる様に出てしまった。戻ってミカの髪を丁寧に乾かしながら柔らかくサラサラの髪を密かに楽しみ、何もなかった様に風呂場に逃げ込んだ。風呂場に逃げ込んでもさっきまでミカが入っていたと思うと興奮して我慢が出来ずに抜いてしまった。


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