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あまい誘惑 2
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「なぁ、」
「ん?」
「お前らって付き合ってるの?」
昼休みいつもの様にくつろいでいると隣の席の菅が変な事を聞いて来た。
「付き合ってないよ。ただの幼馴染。なんでそんな事聞いてくるだよ?」
「いやいや。普通聞くって!いくら幼馴染だからっていっても膝の上に乗せて抱っこしないから!!」
「あぁ・・・、これは将人が落ち込んだ時の癖だ。」
「どんな癖だよ!?そもそも互いの事どう思ってるだ?」
「セ○ム」
「くま」
「は?セ○ムは分かる。柔道部期待の新人だから。けど、『熊』ってなんだよ?どっちかと言うと武田の方が熊っぽいだろ?」
菅は華奢な俺より2m近い体格のいい将人の方が熊っぽいと納得のいかない顔をしている。その顔に思わず笑いそうになるが何とか堪えて正解を教えてやる。
「森のくまさんではなく、体調1mのくまのぬいぐるみです。幼稚園の時に貰っていつも抱いていたんだよ。」
「男がいつまでもくまのぬいぐるみを抱いてるのはおかしいから。」
「っと思い、小5の時にくま断ちしたけど、6年の時に我慢が出来なくなってたまたま目の前にいた俺をくましゃんの代わりにしたと。それ以来落ち込むとこうして俺を抱っこして落ち着かせている訳だ。」
「ふぅん。くまの代わりになるのか?」
いまいち納得はしていませんって顔しているがとりあえず納得はしたらしい。
「っで、何に落ち込んでいるわけ?」
「・・・どうしても勝てない先輩がいる。」
「こってぱんにやられたと?」
コク。
俺の肩に顔を埋める将人の頭を撫でてやる。大きな体をしているのに子犬の様で思わず笑ってしまうが我慢。いつか犬を飼ってみたいが、うちは共働きで兄は進学の為家を出ていないし、俺は絵を描き始めると食事を忘れて描き続けてしまう。自分の世話も出来ないのに犬は飼えない。残念だ。
そんな俺達を見て菅が改めて、
「・・・なぁ、お前ら本当に付き合ってないのかよ?」
「だから、付き合ってないって。第一に将人は彼女居るし。」
コク。
「はぁ!?マジで?どんな娘?」
てっきり俺達と同じく彼女が居ないものと決めつけていた菅は、まさか無口の将人に彼女が居るとは思わなかったらしく本当に居るのかとしつこく聞いて来た。
「本当だって、元々俺の友達で紹介したら互いに一目惚れをしたらしくその場で将人が告白して、俺の目の前でお付き合いが始まったわけよ。」
「はぁ!?武田が告白!?初対面の相手に?そんな行動力があったのお前。」
「将人は決断力はあるから。っで、お相手は白崎女子高の3年。」
白崎と聞いて周りの男子はざわめき出した。
白崎はこの辺では名門で女の子のレベルが高い事でも有名だ。彼女が去年のミス白崎だという事は黙っておこう。更に五月蠅くなるし将人もわざわざ言わないだろうし。
「どうやったらそんなお嬢様と知り合うんだ!?」
「別に、白崎はお嬢様学校ではないよ。彼女とは俺が野良猫と戯れていたら、反対側で戯れていて会釈する程度だったんだけど、何回か会う内に友達になった。1年後位に将人と出掛けた時に道で会って紹介したら・・・」
「お前は野良猫と何をやってるんだよ。ってか!武田は街中で告白したのか!?」
コク。
「駅前で。」
「マジでか!?勇者がいる。・・・いつもぬもっとしてあまり話さないくせに勇気あるなぁ。」
そう駅前で人が沢山いる中で突然告白したのだ。幼稚園の頃からの付き合いだけど、まさかあんなところで初対面の人に告白するとは思わなかった。
周りで見ていた人達から沢山の拍手と祝辞を貰ったのは言うまでもない。
お礼を言って速攻逃げたけどね。勿論。
俺が恥ずかしいから!凄く!!
将人は勇者の称号を手に入れた。
んーどうしよう・・・・赤を入れるかそれとも青を入れるか・・・
よし。黒を入れてみよう♪
ここはもう少し暗い方がいいかな?
ここを暗くしないでここを明るくしたら・・・どうよ?
「「よし。」」
「「??」」
「仲がよろしい様で。見事にハモったね。」
実花先輩がこちらを見ながら苦笑いをした。
京一先輩と目が合い共に首を傾げる。
「っで、二人とも出来たの?」
「いえ。思い通りの色が出来たので・・・つい。」
思わず声に出していた事に照れながら頬をかいた。この間からなかなか色が決まらなくて苦戦していたから嬉しくてつい声に出てしまった。恥ずい!
「京一は?」
「あぁ、今週分のスケッチ画が出来たから。歩、今週分チェックお願い。」
「あっはい。」
京一先輩は出来たスケッチ画を売る前に必ず俺にチェックさせる。それにより、俺が困る絵が在れば売らずに京一先輩のコレクションに加わる事になる。
1枚1枚チェックして行く。
やはり京一先輩は凄い。絵の中の俺から今にも声が聞こえ動き出そうだ。京一先輩は一瞬見た物を覚える事が出来る、だからここに描いてある物は全て俺がした事がある表情なんだろう。自分では分からない。他の部員たちが「こうゆう表情するよね」っと言ってたのでしているのだろう。多分。
「京一先輩これは駄目です!」
それは机で寝ている絵だ。寝顔は恥ずかしいから嫌なのに!京一先輩はチェックの際に必ず俺が止めるだろう絵を1枚入れて来る。そして俺が怒るのを楽しむのだ!俺も一々反応しなければいいんだけど。恥ずかしくてつい反応してしまう。「照れて怒ってる姿が可愛くて、ごめんね。」と笑顔で謝られた。全然反省していない!!
「・・・後は大丈夫です。」
そもそも、京一先輩は俺の嫌がる物を理解しているからチェックする必要はないんだけど、気を使って毎回聞いてくれる。悪戯込。
「篠塚君は絵を売らないの?絶対高く売れると思うのに。」
「歩は自分の絵が欲しい人でなく、自分の絵が欲しい人に買って貰いたいんだよ。」
先輩の言う通り。多分俺の絵を売ればいくらでも買う人は居るだろうけど、そういう人は俺がどんな絵を描いてもきっと買う。どんな絵とか関係ない俺が描いてればいいんだ。勿論、俺の絵を気に入ってくれて俺の絵を買うなら別にいいんだ。
そんな事を考えて落ち込んでいると、京一先輩が頭を撫でてくれた。
「行ってくるね。」
「はい。いってらっしゃい。」
京一先輩は俺の一寸した変化にも気付いてくれる。優しい先輩だ。先輩みたいな人間になりたいけど、短気な俺には無理だろうな・・・。
「ん?」
「お前らって付き合ってるの?」
昼休みいつもの様にくつろいでいると隣の席の菅が変な事を聞いて来た。
「付き合ってないよ。ただの幼馴染。なんでそんな事聞いてくるだよ?」
「いやいや。普通聞くって!いくら幼馴染だからっていっても膝の上に乗せて抱っこしないから!!」
「あぁ・・・、これは将人が落ち込んだ時の癖だ。」
「どんな癖だよ!?そもそも互いの事どう思ってるだ?」
「セ○ム」
「くま」
「は?セ○ムは分かる。柔道部期待の新人だから。けど、『熊』ってなんだよ?どっちかと言うと武田の方が熊っぽいだろ?」
菅は華奢な俺より2m近い体格のいい将人の方が熊っぽいと納得のいかない顔をしている。その顔に思わず笑いそうになるが何とか堪えて正解を教えてやる。
「森のくまさんではなく、体調1mのくまのぬいぐるみです。幼稚園の時に貰っていつも抱いていたんだよ。」
「男がいつまでもくまのぬいぐるみを抱いてるのはおかしいから。」
「っと思い、小5の時にくま断ちしたけど、6年の時に我慢が出来なくなってたまたま目の前にいた俺をくましゃんの代わりにしたと。それ以来落ち込むとこうして俺を抱っこして落ち着かせている訳だ。」
「ふぅん。くまの代わりになるのか?」
いまいち納得はしていませんって顔しているがとりあえず納得はしたらしい。
「っで、何に落ち込んでいるわけ?」
「・・・どうしても勝てない先輩がいる。」
「こってぱんにやられたと?」
コク。
俺の肩に顔を埋める将人の頭を撫でてやる。大きな体をしているのに子犬の様で思わず笑ってしまうが我慢。いつか犬を飼ってみたいが、うちは共働きで兄は進学の為家を出ていないし、俺は絵を描き始めると食事を忘れて描き続けてしまう。自分の世話も出来ないのに犬は飼えない。残念だ。
そんな俺達を見て菅が改めて、
「・・・なぁ、お前ら本当に付き合ってないのかよ?」
「だから、付き合ってないって。第一に将人は彼女居るし。」
コク。
「はぁ!?マジで?どんな娘?」
てっきり俺達と同じく彼女が居ないものと決めつけていた菅は、まさか無口の将人に彼女が居るとは思わなかったらしく本当に居るのかとしつこく聞いて来た。
「本当だって、元々俺の友達で紹介したら互いに一目惚れをしたらしくその場で将人が告白して、俺の目の前でお付き合いが始まったわけよ。」
「はぁ!?武田が告白!?初対面の相手に?そんな行動力があったのお前。」
「将人は決断力はあるから。っで、お相手は白崎女子高の3年。」
白崎と聞いて周りの男子はざわめき出した。
白崎はこの辺では名門で女の子のレベルが高い事でも有名だ。彼女が去年のミス白崎だという事は黙っておこう。更に五月蠅くなるし将人もわざわざ言わないだろうし。
「どうやったらそんなお嬢様と知り合うんだ!?」
「別に、白崎はお嬢様学校ではないよ。彼女とは俺が野良猫と戯れていたら、反対側で戯れていて会釈する程度だったんだけど、何回か会う内に友達になった。1年後位に将人と出掛けた時に道で会って紹介したら・・・」
「お前は野良猫と何をやってるんだよ。ってか!武田は街中で告白したのか!?」
コク。
「駅前で。」
「マジでか!?勇者がいる。・・・いつもぬもっとしてあまり話さないくせに勇気あるなぁ。」
そう駅前で人が沢山いる中で突然告白したのだ。幼稚園の頃からの付き合いだけど、まさかあんなところで初対面の人に告白するとは思わなかった。
周りで見ていた人達から沢山の拍手と祝辞を貰ったのは言うまでもない。
お礼を言って速攻逃げたけどね。勿論。
俺が恥ずかしいから!凄く!!
将人は勇者の称号を手に入れた。
んーどうしよう・・・・赤を入れるかそれとも青を入れるか・・・
よし。黒を入れてみよう♪
ここはもう少し暗い方がいいかな?
ここを暗くしないでここを明るくしたら・・・どうよ?
「「よし。」」
「「??」」
「仲がよろしい様で。見事にハモったね。」
実花先輩がこちらを見ながら苦笑いをした。
京一先輩と目が合い共に首を傾げる。
「っで、二人とも出来たの?」
「いえ。思い通りの色が出来たので・・・つい。」
思わず声に出していた事に照れながら頬をかいた。この間からなかなか色が決まらなくて苦戦していたから嬉しくてつい声に出てしまった。恥ずい!
「京一は?」
「あぁ、今週分のスケッチ画が出来たから。歩、今週分チェックお願い。」
「あっはい。」
京一先輩は出来たスケッチ画を売る前に必ず俺にチェックさせる。それにより、俺が困る絵が在れば売らずに京一先輩のコレクションに加わる事になる。
1枚1枚チェックして行く。
やはり京一先輩は凄い。絵の中の俺から今にも声が聞こえ動き出そうだ。京一先輩は一瞬見た物を覚える事が出来る、だからここに描いてある物は全て俺がした事がある表情なんだろう。自分では分からない。他の部員たちが「こうゆう表情するよね」っと言ってたのでしているのだろう。多分。
「京一先輩これは駄目です!」
それは机で寝ている絵だ。寝顔は恥ずかしいから嫌なのに!京一先輩はチェックの際に必ず俺が止めるだろう絵を1枚入れて来る。そして俺が怒るのを楽しむのだ!俺も一々反応しなければいいんだけど。恥ずかしくてつい反応してしまう。「照れて怒ってる姿が可愛くて、ごめんね。」と笑顔で謝られた。全然反省していない!!
「・・・後は大丈夫です。」
そもそも、京一先輩は俺の嫌がる物を理解しているからチェックする必要はないんだけど、気を使って毎回聞いてくれる。悪戯込。
「篠塚君は絵を売らないの?絶対高く売れると思うのに。」
「歩は自分の絵が欲しい人でなく、自分の絵が欲しい人に買って貰いたいんだよ。」
先輩の言う通り。多分俺の絵を売ればいくらでも買う人は居るだろうけど、そういう人は俺がどんな絵を描いてもきっと買う。どんな絵とか関係ない俺が描いてればいいんだ。勿論、俺の絵を気に入ってくれて俺の絵を買うなら別にいいんだ。
そんな事を考えて落ち込んでいると、京一先輩が頭を撫でてくれた。
「行ってくるね。」
「はい。いってらっしゃい。」
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