欲望のままに

姫川 林檎

文字の大きさ
上 下
13 / 96

忠犬ハチ公

しおりを挟む
「先輩好きです。付き合ってください!」

生まれて初めての告白にドキドキしながら聞いていた。

彼は1っ下の高1年生で高身長の爽やか系、大型犬の様な好青年だ。そんな彼に告白されれば大半の女の子はOKするだろう。

そう。女の子ならば・・・しかし、俺は【男】なのだ。ドキドキしても男はないゎ

「えっと、男が好きなの?」

「違います。」

「じゃあ、俺が女の子に見える?」

「見えません。」

「じゃあどうして?」

「男好きな訳ではないし、女の子に見えた訳でもありません。先輩が好きなんです。僕じゃあダメですか?」

ヴッ!
大型犬の耳が尻尾が垂れてる。何か可愛い。俺は犬派か猫派かと言えば犬派だ!しかし、家はマンションの為にペットが飼えない。犬飼いたいなぁ日本犬が良いなぁ、大人しいのがいいから秋田犬が良いかな?『忠犬ハチ公』もいいけど『わさお』もいいなぁ。

いかん。現実逃避している場合ではなかった。いかんいかん。

「えっと・・・ごめんね。男の人がダメって事もあるけど、そもそも君の事知らないし「じゃあ!!」だから、えっ?」

「じゃあ今回は諦めます。だから先ず俺の事知ってください!」

「えっ?」

「これから宜しくお願いします!あっ!今日日直だった。では、失礼します。」

「えー。」

どうゆう事?俺ちゃんと振ったよね?
『これから宜しく』ってどうゆう事?

「ファイト。」

「どうゆう事!?」

「えー。奴は又来るって事だろ?」

「マジで!?って彼は誰なの?」

「さぁ?ネクタイ赤いから1年だろ『先輩』って言ってたし」

「それは知っているよ!そうじゃなくて誰なんだよ!!」




「川島先輩。ご飯ご一緒してもいいですか?」

マジで来た。ってか早くない?さっきチャイム鳴ったばかりだよ・・・。陸上部か?

「えーっと、ごめんね。友達と一緒だから無「本当に来たよ。」重いよ!」

こいつは直ぐに人を肘掛けにする。少し背が高いからっていい気になるなよ!ん?一瞬表情が変わった気がしたけど気のせいかな?

「一緒に食うか?」

「「えっ!?」」

「いいんですか!お邪魔じゃないですか?」

「構わなねーよ。いいよな?」

振り向き後ろで楽しそうに見ていた他のメンバーに聞く。
俺の顔を見ながらニヤニヤしながら答えた。

「「「面白そうだからいいよ。」」」

面白そうってなんだ!他人事だと思って!!他人事なんだけど・・・まぁ俺も多分同じ事するだろうし・・・はぁ、なんだか面倒になって来た。こいつは悪い奴ではなさそうだけど。

「俺は田中知治ともはる。っでお前は?朝も名乗んなかったろ?」

「!すいません!テンパっちゃって気持ち伝えるに必死で・・・1年A組 八木公彦やぎきみひこです。宜しくお願いします。」

「じゃあ、移動するか。」

「俺の意見は!」

「はいはい。行くぞ。」

くっ苦しい・・・首が絞まる!もう、みんなで面白がって!気まずいのにどうするつもりなんだろう。一応断ったんだけどなぁ・・・んっ?又表情が怖い顔になってる?あっ目が合っちゃったあれ?笑顔だ。やっぱり犬っぽい。





「皆さんいつも屋上で食べているんですか?」

「あぁ、弁当と買弁だからな。」
「それに食堂は混んでるし。人混みが苦手なんだよ。こいつが。」

っう・・・。確かに苦手ですよ。じろじろ見られるのが嫌なんだよ!俺何かしたかな・・・。

「そうなんですか。ここは人が居ませんしね、ってここ立ち入り禁止なのでは?」

「バレなきゃ大丈夫だろ。気にするな。」

「それより君の弁当豪華だね。お母さん料理上手で羨ましい。」

「あっいえ。違うんです。これ自分で作ったんです。」

「「「「「っえ!?マジ!!」」」」」

「はい。うち母子家庭で母は忙しいので弟妹のお弁当は俺が作ってるんです。下の妹が幼稚園なので出来るだけ可愛いのを作ってあげたくて。あの、良かったら食べますか?」

「えっ。いいの?」

「はい。どうぞ、お口に合うといいんですが・・・。」

「「「「「旨い!」」」」」

「ありがとうございます。」

男子高校生がこんなに作れるもんなのか?俺だってご飯と味噌汁位は毎日作ってるし。けど、手料理って言いうと知治のおばさんの味だな、うちの母さんは料理苦手だし。向こうでどうしてるんだろう?

「川島先輩はいつも買い弁なんですか?」

「そうだけど?」

「あの・・・良かったら・・その、俺作って来てもいいですか?」

「はぁ!?悪いしいい「いいじゃん!作って貰えば。」っておい!勝手に決めんなよ!!」

「ただじゃ悪いから材料費はだすよ。500円でいいか?」

「はい!それで大丈夫です。」
「おい!!勝手に決めんなよ!俺は受け取らないからな!」

「迷惑ですか?」

ヴッ!!
だからその顔やめろ!捨てられた子犬の様な目で見んな!!
そんな顔で見ても受け入れない・・から・・な・・・

「だぁーーーーーー!!分かった受ける!但し!無駄に豪華にするな!それと量はそんなに要らないからな!分かったか!!」

「はい♪明日から持って来ますので買わないでくだしね。」



うぅ・・・左右に揺れる尻尾が見える・・・。



しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

私の事を調べないで!

さつき
BL
生徒会の副会長としての姿と 桜華の白龍としての姿をもつ 咲夜 バレないように過ごすが 転校生が来てから騒がしくなり みんなが私の事を調べだして… 表紙イラストは みそかさんの「みそかのメーカー2」で作成してお借りしています↓ https://picrew.me/image_maker/625951

ヤンデレだらけの短編集

BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。 全8話。1日1話更新(20時)。 □ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡 □ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生 □アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫 □ラベンダー:希死念慮不良とおバカ □デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。 かなり昔に書いたもので芸風(?)が違うのですが、楽しんでいただければ嬉しいです!

カテーテルの使い方

真城詩
BL
短編読みきりです。

処理中です...