欲望のままに

姫川 林檎

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あまい誘惑

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モテ期到来。俺は高校に上がってから急激にモテ出した。
中学の時は全く声を掛けられた事なんてなかったのに・・・しかも主に男に・・・はぁ。

「どうした篠原?」

「いえ。ナンデモアリマセン。」

「くすくす。凄い棒読み。あのね先生、篠原君また告白されたのに!」

「うるさい!お前は俺が好きなんじゃないのかよ!」

「どなんないでよ、ここ職員室だよ。勿論今でも好きだけど、男に言い寄られてる篠原君も好き♪」

「なんでよそれ・・・。」

「まぁ、お前は綺麗だかなぁ俺だって在学中なら告白してたかもな。」
「キャッ♪髙橋先生との組合せはありかも♪」

「髙橋先生、発言には気を付けてください。気持ちは分かりますが。」
「分かるのかよ!・・・どうせなら俺井上先生がいいなぁ」
「まぁ、どうしましょう。くす」

「えぇ!井上先生は確かに美人で巨乳だけど、私は危険な恋なら髙橋先生がいいと思います!」
「腐った人間は黙ってろ!」

「あはは。俺はいつでもOKだぞ♪「おいっ!」日直お疲れさん。気を付けて帰れよ。」

「「失礼します。」」

(篠原は妙に色っぽくいんだよなぁ。しかも美人だから性別関係なく抱きたくなる、同年代の男共にしたら辛いだろうな・・・井上先生とは違う瑞々しい色香だ。俺も先生じゃなければなぁ・・・危険な恋か)

「髙橋先生どうかしましたか?」
「いえいえ。ナンデモアリマセン。」



角田の奴ふざけやがって。あいつが俺に告白してきたのは夢だったのでは?
早く部活行こう。絵を描けば少しは落ち着くかな・・・何でこんな事になってるんだろう。

「失礼します。」

あゆむどうした?元気ないけど・・・」

京一きょういち先輩!」

京一先輩に抱き着き慰めて貰う。
先輩は「よしよし」と言って頭を撫でてくれる。流石俺の癒しスポット。

「ただいま。おりょ、又篠原君は京一に抱き着いて。どうした?又男にでも告られでもした?」

「うるさい!!実花先輩には俺の気持ち分かるわけない!同姓に告白される俺の気持ちなんて!!大体俺男ですよ!なのに何で告白されるんだよ!ここが男子校なら100歩譲って理解出来ますよ。確かに男らしくないですから俺・・・。でも!!うちの高校共学ですよ!共学!!しかも!!未だに女子の方が多いのに何んで男の俺なんですか!!女の子いっぱい居るじゃないですか!可愛い子も綺麗な子も!女の子にしようょ・・・うぅ。」

「篠原君の方が綺麗じゃない?」

「んー、歩は綺麗だからねぇ。」

「・・・そう言えば京一先輩もこの顔好きでしたね。」

「僕のミューズだからね。歩に会ってから創作意欲が止まらないよ。」

って言いながら机に突っ伏した俺の頭を撫でながら既に俺を描いてるし。器用だな・・・。

京一先輩は俺が入部しに部室に入るなりに「モデルになって!!」と言いながら描いていたっけ。俺が呆気に取られている間に3枚も描いた強者である。結局実花先輩に止められる迄描き続けていた、その速さと描写力にビックリしたのを覚えてる。

俺は風景画は得意だけど人物画が苦手なので尊敬する。
本人は逆に風景画が苦手っと言っているが普通に上手い。俺には敵わないけどね(ここは譲れない意地がある)。

「そう言えば最近女子からの告白はないの?」

「・・・ナイデスヨ。」

「そうぶうたれさんな。折角の綺麗な顔がだいなしだよ。」
「ぶぅー。」
「歩はぶうたれても綺麗だよ。」

「「「「「・・・・・」」」」」

「京一はブレナイなぁ。実花昔からこんなか?」

「いやぁ、ここまでじゃなかったはず。けど、妙に頑固なとこはあったかな?」

京一先輩と実花先輩は従兄妹。実花先輩のお父さんが彫刻家でそのアトリエでよく遊んで(絵を描いて)いたらしい。お父さんの影響か実花先輩も彫刻がメイン。絵は部活中でしか描かない、基礎錬らしい。

油絵は匂いが付くから自分のアトリエが俺も欲しいなぁ。京一先輩は叔父さんのアトリエに一部屋借りてる。羨ましい。さて、俺も始めるか。うん。頑張ろう。



「出来た!篠原観音♪」

「実花先輩見せて下さい!!・・・流石先輩。篠原君そっくり!これいくらで売るんですか?購買それともネットですか?」

「ネットかな?これは出来がいいから2万位でいきたいかも。」

我が校は生徒が作った物を販売してもいい事になっている。
自分達で直接販売してもいいし、購買部に頼んでもいい。このは部活で他の部活・個人で作った物を購入して1割の利益で販売している。

但し、ここで売れるのは5000円以下とされていて、それ以上は個人でネットで売るか・学校非公認の生徒会管轄のネット販売がある。こちらは2万円以下となっている。

これらの販売は校則で細かく決められていて違反をすれば3日以上の停学、最悪退学もありとなっている。本人無許可での転売とかは厳しく罰せられる。

4月・9月・1月に学校のホームページで校則の内容を確認してチェックしなければならない。誰がチェックしてないかを確認している為やり忘れると先生に注意される、一ヶ月経ってもしないと先生の目の前でやらされる。

飛ばしてチェックしても問題ないが、違反した時に知らないは通用しない。お金が絡んでるから仕方ないけどね。勿論、他の校則も同じ。

けど、全体的に結構緩い方だとは思う。髪型も制服の改造も自由だ。但し、入学式・卒業式(手伝いも)は黒髪・ノーマル制服でなければならないけどね。卒業した先輩にお古を貰い改造するらしい。そこまでしてしなくてもいいような気もするが、手芸部・裁縫部とかは気合をいれてるみたいだ。

「確かに!でもこれ・・・観音様こんなに色っぽくていいんですか?」
「私も思った!腰の辺りがなんとも言えぬ色香が・・・」

「「「モデルが色っぽいから仕方ないか。」」」

「俺は色っぽくないから!ですよね?京一先輩!」
「・・・・・」

「先輩・・・。そこは否定してょ・・・。」

「ごめんね。」
「何に対しての『ごめん』ですか?」

皆の言ってる『色香』は男の色気ではないんだろうなぁ、
俺はそんなに男らしくないんだろうか・・・女っぽいのかな?けど、女っぽいなら女の方が良くないか?おっぱいあるし。好意を持ってくれる事自体は素直に嬉しいんだけど、皆の気持ちが良く解らない。

「よしよし。」

「京一先輩?」

「歩はそのままでいいんだよ。無理に理解しなくても、人は人、自分は自分。十人十色。人の気持ちなんて誰にも解らないよ。自分の気持ちも解り難いのに。でしょ?」

「でも、京一先輩は俺が欲しい言葉や行動を絶妙なタイミングでしてくれるよ?」

「僕はいつも観てるからね。」

「京一、その発言ストーカーみたいだぞ。」
「えっ、京一は既にストーカーでしょ!」
「「だと思います。」」

「皆、ひどいなぁ。」

「京一先輩愛されてますね。」

「何か違う気がするけどなぁ。」



部活の時間が一番平和だ。
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