欲望のままに

姫川 林檎

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痴漢は犯罪です♪ 3

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「はぁ・・・。」

帰りに痴漢に会った事はない。
まぁ、彼以外の男が俺なんかに興味はないか・・・。そもそも何で俺なんだろう?

「真琴くん!!」

「おぅ!護お帰り。」

「一緒の時間なんて珍しいね♪」

護は走って突撃する様に俺に抱き着き手を繋いで嬉しそうに振り回している。こいつは本当に俺に会えて嬉しいんだな、そんなこいつを見ていると嬉しくなってそして幸せな気分になる。さっきまでは朝と違って痴漢に会う心配は少ないが電車に乗るのが憂鬱だったのに、今はそんな事を綺麗さっぱり忘れている。

「一緒に帰れるの今月は初めてじゃない?」

「そうか?」
「そうだよ!!」

護は俺と隼が通う高校に入学して来た。こいつの頭ならもっと上に行けただろうに俺と同じが良いと言って来た、まぁ隼も公学で一番高い所でこの学校を選んでいる。おじさん達は自分の人生だから好きにすればいいと言っている、2人共頭がいいからちゃんと考えているだろうしな。

因みに俺はめっちゃ勉強して隼に見てもらいやっと合格。
今も勉強してやっと真ん中、隼は3位首席は面倒だからという理由。めっちゃ勉強しているやっと2位の奴が可哀想だ・・・。

「真琴くん今日部活は?」

「ん?あぁ、今日はPCのメンテで休み。護は?」

「来週発表だから自習。」

「今月のメインは?」

「モツ!けど未だどうしようか考え中・・・。」

「そうか、頑張れ。」

頭を撫でてやると嬉しそうに頷いた。
こいつは俺に美味しいのを食べさせたいという理由で料理部に入った。ここが少し変わっている部で、材料費が掛かるから実際に調理するのは週1それ以外は栄養や世界の料理について勉強する。この部では大体卒業するまでに栄養士や調理師などの資格を取ったりしているが護は資格には興味はないみたいだけど。そして変わっているのは月1で創作料理をする、材料を決めてそれを使った料理を月末に発表。先月は‟ひじき”護はなんとプリンはを作った・・・。ごまプリンみたいな感じだ俺はあまりごまプリンが好きではないのであれだけど、ひじきをデザートにする発想は誰もなかったようで最優秀賞を貰っていた。

今月は‟モツ”流石にデザートにはしないだろうけど何を作るかは楽しみだ。

そんな話をしていると大勢の人が乗って来た。

「大丈夫?」

「あぁ、護がいるから。」

俺がそう言うと嬉しそうな顔をする。
現に今俺は扉に‟壁ドン”されている状態で守られている、この満員電車の中で座っている人の次に快適かもしれない。護は長い腕がプルプルする事無く余裕で俺を守っている。

最寄り駅までに大学が2つありこの時間帯は大学生がいっぱい乗って来るのだ。1つ目の駅では余裕で俺を守っていた護だが2つ目で押されて抱き締められる、さっきまでの広い空間は流石にないがそれでも未だ余裕があって俺は苦しくはない。優しく抱かれている感じ。

今では俺より何もかもが大きくなってこの胸は俺にとって安心出来る場所になっている。それが男として年上としてどうなんだとは全く思っていない事に俺は気付いていなかった。ただただこの腕に守られている事に安心しきっていた。

満員電車を乗り越え2人で笑いながら手を繋いで帰る。
恋人達の様にではなく、子供の様に大きく振りながら楽しく帰る。繋ぎ方が恋人繋ぎなのには気付かずに・・・。近所の人達も「幾つになっても仲良しね。」っと笑っているのはこいつが手を繋ぐのは俺だけじゃなく、隼やおじさん達共手を繋いで散歩や買い物をいているからかもしれない。他の人間とは一切繋がないけどね。

いつまでも変わらない護にほっこりしながら布団に入り眠りに着く前にふと考える。
痴漢の彼は誰なんだろうか・・・俺はあの声を知っている様な気がする。誰だ?友達、クラスメイト、先生、近所のお兄さん?俺は確かに知っている気がするのに判らない・・・。

それに後ろから抱き着かれた感じも嫌な感じがしない、それは俺が彼を知っているから?それともただ単に俺が快楽に溺れてしまっているだけとか?それだったら嫌だな・・・本当に淫乱になってしまう!!

俺は彼の事を考えるのを止めて一生懸命眠りにつく。


翌日も同じ様に前日とは違う時間と車両に乗って彼が来るのを待つ。
違う!!待ってはいない!ただの心構えだ!負けない為の!!決してして欲しくて待っていた訳ではない!

・・・が、この日から彼が現れる事は無かった。



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