欲望のままに

姫川 林檎

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知らない真実  2

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僕の憩いの場はこの部屋だけ。
寮の中でもやっぱり1人では動きたくない。ここでも笑われるし何だか気持ち悪い視線を感じるから嫌だけど先輩と居る時にはあまり感じないから寮の中でも出来るだけ先輩と一緒に行動してる。

この学園の寮は成績順に部屋が違う。1・2年は先輩と同室なのは決まりだけど、成績の悪い人は4~8人部屋で上位は2人部屋になり3年になると1人部屋も選べるけど3年でも成績が悪いと相部屋になってしまう。僕も先輩も10位以内の成績なので2人部屋しかも寮生の中では最上位なので1・2年の部屋では1番いい部屋でトイレ・風呂・小さなキッチン2ドアの冷蔵庫に乾燥機能付き洗濯機付の部屋になる。個室はないけど、寝室と勉強部屋と分れた作りでキッチンも2人で食べれるテーブルも付いている立派な部屋なのです。

この様な部屋は全部で3部屋、僕達の部屋ともう一つ相部屋に3年生の1人部屋だけが特別な部屋になっている。お蔭で食事以外は部屋から出ないで用が済ませる安心の部屋なのです。お風呂やトイレで苛められる心配はない事は嬉しい、この部屋に居れば先輩も居て心から落ち着ける。しかも、どの部屋でも料金は一緒なので余計なお金を取られる心配もない。「だから勉強を頑張りなさい」という学校側の思惑だと思う。先輩と別の部屋になるのは嫌だから勉強頑張ります!まぁ、他にする事もないんだけどね・・・。


「先輩、お昼何食べたいですか?」

寮では朝晩の食事が出るがお昼は各自で用意しなければならない。平日(学校がある日)は食堂で500円までは無料で食べれる、無料と言っても寮費の中に含まれているんだけどそれ以上は自己負担。けど、今日は土曜日自分達で用意する日。

「今日は暑いから冷やし中華が食べたい。」

「分りました。」

僕は小さい時から簡単な料理は作っていたから今では家庭料理位なら作れる様になった。
ここの寮に入り毎週末先輩にお昼を作る様になってからは更に腕が上がったと思う、僕の作った物を美味しそうに食べてくれるのは凄く嬉しい。僕の家族は僕が作っても余り美味しそうには食べてくれなかったから・・・。他に食べるのが無いから食べている様なものだったし。

冷蔵庫を確認して作り始める。
冷やし中華だけでは淋しいからサラダと安かったオレンジを切って、体を冷やし過ぎてもいけないからスープも用意する。

そう言えば、先輩に初めて作ったのも麺だったなぁ。

学校が休みの日はお昼が自分で用意しなきゃいけなかったから始じめは食べないでいた。僕は家からの仕送りが必要最低限しか送られて来ないからお昼を買う余裕がなかった。G・Wに食べていない事に気付いた先輩がお昼代を出してくれると言ったけど、勿論そんな事が出来ないから断っていたが押し問答していると先輩が「料理は出来るか?」っと聞いて来た出来ると言ったら「俺に飯をつくってくれ。いつもコンビニとかの弁当やカップ麺ばかりだと飽きる、金は俺が出す手間賃としてお前も食べろ!いいな。」僕が呆れて返事が出来ない内に手を引かれて近くのスーパーに連れて来られ、乾麺や調味料、今日明日使う野菜に米等必要と思う物を聞かれ勢いに負けて答えている内に買い物が終わった。

その日は野菜たっぷりの焼きそばとスープを作り先輩は美味しそうに食べてくれた。それからは休みの前の日に先輩と買い物に行き休みの日に僕が作るのが日課になった。先輩は味に注文を付ける事もあるがそれでも美味しそうに食べてくれる。今では僕の料理は京風の家族の味付けではなく先輩の関東風の味付けに変わっている、今家族が食べれば凄く文句を言われるだろうけど、僕がもう先輩の味以外作る気はないから良いんだ。

はじめは料理上手くなったな。」

「本当ですか!だとしたら嬉しいな。」

「俺はお前が同室で良かった。」

「・・・」

本当に先輩だけなんだ。
先輩だけが僕を僕として扱ってくれる。

「泣くな。」

「・・・すっすいま せん。」

先輩が側来て抱き締めてくれる。
僕は小学校低学年の時に泣く事を止めた。泣いても誰も助けてはくれない、誰も僕を見てくれない。泣いても怒られるだけならば泣いても意味がない。感情を殺してここまで来たのに、先輩が優し過ぎるから先輩の前だと泣き虫に戻ってしまう・・・。

先輩が卒業したら又1人に戻ってしまうのに・・・。
甘えてはいけないと思うけど、先輩に優しさについ甘えてしまう。


僕はもう先輩無しでは生きられないかもしれない・・・。




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