欲望のままに

姫川 林檎

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デートでイタズラ

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有り得ない!

まさかこの俺が‟花火大会デート”など・・・。
確かに誘えばあやは喜ぶだろうとは思った、案の定喜んでくれた。だからって!!有り得ない!



「文、月末の土曜日暇か?」

「はい。暇ですけど?」

「その何だその・・・花火大会があるだろ一緒に行かないか?」

「・・・。」

「何だ嫌なのか?嫌なら別に構わないが。」

「行きたいです!嫌な訳がないでしょ!ただ・・・。」

「ただ何だ?」

「その、先生はそうゆうのに興味ないかと・・・人混み嫌いでしょ?」

「確かに嫌いだが、お前と一緒に観たく・・・だーやっぱり止めだ!」

「えー!?嫌だ!行きたい!先生と行きたい。ねぇ行こ?」

「仕方ない。お前がどうしてもと言うなら。」

「どうしても!有難う先生♪ちゅっ。」


思い出しても恥ずかしい。
最近、主導権をあいつが握っている様な気がする。気のせいか?

俺が駅前で待ち合わせとか自分でも意味が解らない。しかも、花火が打ち上げられる大分前から待ち合わせとは・・・。今まで1度もした事がないぞ!そもそも誰かと付き合った事自体ないが、いつもその場限りの付き合い同じ人と何度もした覚えもない様な付き合いしかして来なかったが。

今俺はそこら辺の中高生と変わらないって事か・・・。

「ゆぅさんお待たせしました。」

「いや、俺もい・・・。」

「ゆぅさん?」

「!悪い。その良く似合っている。」

「有難う御座います。」

今日文が着ている浴衣は俺が買い与えた女物の浴衣だ。
たまたまデパートで見かけて文に似合うと思い衝動買いしたものだ、似合うと思って買ったが思っていた以上に良く似合う。思わず見とれてしまった。

「今日ママに頼んで着付けしてもらったからおかしな所はないと思うけど、ゆぅさんにそう言って貰えて嬉しい。」

普段は前髪で見えない顔も今日は綺麗に結われていて良く見える、そんな状態で満面の笑みでお礼を言われるとこちらが照れてしまう。綺麗に着飾り満面の笑みの文に周りの男共が見とれている、綺麗な文を見れるのはいいが他の男共にも見せるのは納得いかない。

「そろそろ行こうか。」

手を出すと嬉しそうに手を繋いで来た。
こんな健全なデートは初めてで凄くドキドキして来た。

「案内所で地図を貰って来たから、先ずどこ行きたい?」

「ゆぅさんお腹空いてます?」

「そうだな、少し空いてるかな?」

「じゃあ、先ずは軽く何か食べませんか?」

「先ずはフードコーナーに行くか。それだと・・・こっちか。」

「はい。」

フードコーナーに向かいながら途中の屋台も覗いて行く、たこ焼きが他より安い店があったから買いとりあえず食べる。文がふぅふぅして「あ~ん。」っと食べさせてくれた、こんな事も初めてする変に照れくさい。2人で1パックを食べ終わると文が、

「ゆぅさん、今更だけど屋台で買って食べた事あるの?食べなそうだけど。」

「・・・・。」

「やっぱり初めてなんだ。不衛生とか言って食べなそうだもんね。」

そう、普段の俺ならこんな何が入っているか判らない様な物を食べる事はない。だが、今俺はそれすら疑問に思わずに、文が食べさせてくれる事の方が気になっていた。今日の俺はやはりどこかおかしい。

「食べるの止める?他を見に行く?僕はたこ焼き食べたから大丈夫だよ。」

「いや。大丈夫だお前が食べさせてくれるならな。」

文の顔を見て笑い掛けると、照れながら「仕方ないから食べさせてあげる。」と言い腕に抱き着いて来た。顔を見られるのが恥ずかしいらしい。

そのまま当初の予定通りにフードコーナーに向かいながら歩いていると、すれ違う男共が文に見とれているのがムカつく文に可愛い格好をさせるのはいいが他の男共見るのが許せない。何かいい方法はないだろうか?

フードコーナーの手前にある広場でイベントがやっていたので覗いて見るとミニライブをやっていた、文に聞くと地元出身の結構有名なバンドらしく入場制限が欠けられていたが野外の為音楽は聞こえていた。悪くはないと言うとCD持っているから貸してくれるらしい、そこまで興味はなかったが文が折角貸してくれると言うなら借りるのも悪くはないと思った。

会場に着くとB級グルメや地元の食材を使った料理とかが出店していた。
文に食べたいのを聞くと逆に食べた事がない物を聞かれて、全部ないと答えると「だと思った。」っと笑われたがその笑顔が可愛かったので嫌な気分はしなかった。

結局定番の焼きそばとラムネを買い、ラムネの開け方を失敗するとまた楽しそうに笑った。
俺はその笑顔で全て許せてしまう様な気がする。こんな俺を見たら知り合いはビックリするだろう、文に出会う前の俺が見ても驚くだろうし信じないだろう。

食事の後は色々な会場を回って見てたり参加してみたりしている内にいよいよ打ち上げ時間が近づいて来たので移動する。途中綿あめの袋が可愛かったので文に持たせてたくて買い、実際に持たせてみると破壊力は半端なかったので俺が持つ事にした。これ以上他の男の視線を集めるのは面白くない。

「ねぇゆぅさん、何所行くの?川とは反対方向だよ?」

「少し遠いが特等席がある。車で移動するから駐車場に向かう。」

「今日車で来たの?そんなに遠いの?」

「直線距離は近いが行くのには少し遠いんだ。けど、絶景で穴場スポットだから期待していいぞ。」

「楽しみ♪」

車に乗り穴場スポットに向かう。


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