婚約者を口説きます

姫川 林檎

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40 優柔不断

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「泣くな咲良。」

目尻にキスをし涙を舐め取る。
その動作はいつもの優しい先生。先生は悪戯ばっかりで困るけど、指の動きやキスとか随所で優しかった。

優しく頭を撫でられ何とか涙は止まった。

「泣かるつもりはなかったんだ。・・・今は最後までするつもりはない。「えっ?」まぁ待て、だ。本当はここまでするつもりもなかった。俺を忘れてるお前を困らせるだけどつもりが・・・すまなかった。」

「・・・つまり、先生は俺の事・・・何ともおも「違う」じゃぁどう思ってるの!?」

「・・・今は言えない。・・・一人放っておけない奴がいる。そいつを放ってお前との関係を進める事が俺には出来ない。だけど、お前を側に置いておきたかった。」

「先生勝手だよ。」
「すまない。」

「先生はその人の事好きなの?」

「・・・好きか嫌いかで言えば好きだ。幸せになってほしい。」

「その人を・・・抱ける?」

「・・・あぁ。」

それを聞かされて俺はどうしたらいいんだろうか?先生とその人を思って諦めたらいいんだろうか?
けど、先生はそれでも側に置いておきたかったっと言った。つまり、先生は俺を好きでいてくれている?
だけど、俺は抱けないけどその人は抱けると言った。けど、今はまだとも言ったからいつかは抱いてくれる?

俺の髪をすき真正面から見つめ、

「俺はあいつを放っておけない。それでもお前には手の届く所に居て欲しい。だけど、俺の気持ちを言うつまりもないし、抱くつもりも今はない。」

「これからお前はどうしたい?こんな俺とは居たくないなら鍵を置いて帰っても構わない。そしたら、もうちょっかいは出さない。俺は・・・」

先生は卑怯だ。もう先生なしではいられないのに、それなのに俺に選べと言う。

「先生、今はって言うけどいつまで?その人の事はどうするの?」

その人の事が放っておけなくなるまでなの?それはいつ来るの?俺より大事なの?

「それは・・・お前が卒業するまでだ。最初からそういう約束だしな。」
「最初から?」

「兎に角、卒業するまで最後まではしない。」

「・・・俺は先生の側に居たい。最後まではしないけどその前までは今まで通りするってことでしょ?」

「・・・そうだな・・・」

「じゃあ、側に居させて!その人の事は気になるけど・・・とりあえず、考えない様にする。側に居ていい?」
「有難う。」


そう言って優しいキスをしてくれた。

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