婚約者を口説きます

姫川 林檎

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30 婚約者達?

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結局手術する事になったけど予定時間より早く終わって良かった。それでも何だかんだでもう3時間経っている。咲良は待ってくれているだろうか・・・。

「尚希先生お疲れ様。今日はもうこのまま舎人とねりでいいんじゃないかな♪」

「お疲れ様です。嫌です!帰ります。咲良が待ってるはずなので・・・。」

「誰です?そのさくらちゃんって。」

「咲良ちゃん記憶戻ったんですか?」

「婦長・・・いえ。未だです。・・・では、お先失礼します。」

「尚希先生!!さくらちゃんって誰ですか!!」
「一緒に舎人しようよ。」

小走りに帰る直希に声を掛けるが振り向く事もなく帰って行ってしまった。見送っていた3人の後ろから

「それはね、」

「「「わっ!?」」」

「静香先生脅かさないでくださいよ!」

いたずらに成功してご満悦の静香先生がそこにいた。楽しいそうに咲良の説明を始めた。

「咲良は直希の婚約者の一人だよ♪」
「静香先生・・・。」

「「婚約者!?」」
「直希先生結婚するんですか!?」「いやいや。その前に‟の一人”ってどうゆう事ですか?」

呆れる婦長にまぁまぁと手を振り、悪戯っ子は説明する。

「直希は小さい時から保育園や小児科に出入りしてて、まぁそれは私達兄弟皆なんだけど何故か直希だけずば抜けてモテてねぇ。子供達だけじゃなく父兄にも『子供のになってくれないか』とか色々あって、求婚は勿論子供達にも言われて、その中で1番情熱的だったのが咲良なの。他にも何人も婚約中の子達はいるのよ。」

「つまり、子供との口約束って事ですか。良かったぁ。」

「咲良ちゃん最近楓君と来ないから見てないけど、あの兄弟は皆恰好良いから咲良ちゃんもきっとモテるんでしょうね。」

「私も最近は合ってないから何とも。去年あった時には大分美人になってたけど、本人的にはマッチョになりたいらしいよ。柾君みたいに。くくく。」

「柾君はラガーマンでしてっけ?下の2人は体格的にマッチョは無理じゃないかしら?」

「「一寸待ってください!!」」

「「えっ?」」

「さくらちゃんは男の子なんでっすか?」
「尚希先生はゲイなの!?」

「咲良ちゃんは立派な男の子ですよ。」
「尚希はゲイだね。バイで来る者拒まずだね。」

「上村家の人間は運命の相手に逢うまではゲスだけど、運命の相手には一途ですよ。みたいに。」
「婦長・・・一言余計です。」

「「静香先生・・・」」



夜勤の皆さんは上村家の恋愛観で盛り上がるのであった。


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