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26話 再びギルドへ

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「これで...... よし、と」

 私は数日振りにギルドへ行く準備をした。

 ベッドの下にあった部屋は物置兼貯蔵庫と言った感じの部屋だった。
 なんでこんな部屋をわざわざ隠す必要があるのか推理してみたんだけど......

 アイテムボックスがあるのに物置や貯蔵庫に『物がありすぎる』のはおかしい、と『使用できる人』に怪しまれる可能性を考えたのではないだろうか。

 召喚調教師の特性としては魔物に持たせている分ははこ丸に収納できるとは言え、魔物の力が必要な時に荷物が足を引っ張るのでは本末転倒だしね。

 貯蔵庫に日持ちする食材などがあった点からも多分そうなんだろうと思う。

 他にはお金や日用品などがあり、使えるものは自由に使って構わないとヨーダさんの書いたメモが本棚にあった。 ......ナイトから聞いたこの部屋の存在の事もね。

 そして私はこの肩掛けカバンと空のリュックを身につけヨーダさんの事をギルドマスターのハンソンさんに伝えに行く事にした。

 ギルドからの連絡はまだ来ていないけど、どのみち食材なんかは仕入れておかなきゃいけない都合もある。 その為のリュックですよ!

「さあ、行こうかハーピー!」


「ちょっと待ってハーピー!」

 私は旅路の途中でハーピーに呼びかけた。

「何、マスター?」
「旋回して戻って戻って! あの辺まで!」

 今偶然気になる物が視界に入った気がするのよね。

「あ、あれはまさか...... やっぱり!」

 木にふたつの実を見つけた。

「なに? この果実美味しいの? ちょうどふたつあるからマスターとアタシでいただいちゃう?」
「だめだめ! そんな事したら確実に墜落しちゃうから!」 

 私はハーピーに説明してこの『ダルーンの実』を採ってきてもらい、カバンに入れてあったあるアイテムで包む。 もちろん地上で。

「うぅぐぅぐぅ。 ふーろーしーきー」

 ふっふっふ。 必要になるかもと思って用意してた道具が早速役に立つとはねぇ。
 
(なんだその道具を出すときのうなり声は?)
「うなり声じゃないし! ......とっておきの道具を披露してるような気がするでしょ?」
(そうか?)

 多分ね。 でもそれはともかく、このダルーンの実。 確かレア度Aランクで実がなるのは百年に一度だとか見つけるには余程の運が必要だとか聞いたような気がするけど、何かの前触れとかじゃなければいいなぁ。

 私達は思わぬ形で手に入れたお土産を持って再びギルドを目指したのだった。

 そして降り立ったのは前回とは違う郊外のどこか。 だって畑の方は作業してる人がいたんだもの。

「うう...... また人に道をたずねながら行くはめになるのね」

 この街の地図とか見かけたら買っておこう。

 私のその願いはすぐに叶えられた。
たまたま今回はギルドまでの通り道に市場があり、そこを通る事になったからだ。

「オーケー、地図ゲットよ」

 これで聞き込みから解放されるわ。
私は上機嫌で地図をカバンにしまいこむ。

「あら? あらあらあら? そこにいるのはまさかまさかのリノちゃんじゃないかしらぁ?」

 え? 誰? 聞こえた声に反応すると同時に記憶を探る。 けどこんな話し方をする知り合いに心当たりはないんだけど。

 私の方に歩いて来たのは...... !? 麗しの君...... だと思っていたシスリさんだ。 あれ? じゃあ他に誰か...... 周囲を見る。

「あら? リノちゃんったら私の事忘れちゃったの? 忘れちゃったの? お姉さん悲しい。 もうとっても悲しいー!」
「!!?」
(!!?)

 私とはこ丸は驚愕して固まった。 その言葉は紛れもなくシスリさんの口から発せられている。 どうしたんだろうシスリさん。 何か変な物でも食べたんだろうか?

 私が狼狽しているとシスリさんの相方、アルツさんが人混みの中から駆け寄ってきた。

「シスリ、勝手に離れるな」
「だってだって偶然リノちゃんを発見したんだもの。 足だって自然に近付いちゃうって思わない?」
「やれやれ、ほら。 ......元気そうだな」
「あ、はい。 アルツさんも」

 アルツさんがシスリさんにポケットサイズの瓶を渡してから私に挨拶してくれる。
 こうして私はBランクの冒険者、シスリさんアルツさんコンビと市場で再開した。
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