166 / 166
第百六十六回 目に見えぬ城
しおりを挟む
休んでいる高俅を呼びに彼の陣幕へ伝令が向かっていた。斥候が戻り軍議の準備が完了したためだ。その伝令が高俅の陣幕へ近付いた時、
「その様に……」
「……一考しておこう」
なにやら中から話し声が聞こえた。
「? 失礼します高俅閣下。皆様お集まりになられました」
伝令が陣幕に入り見渡すがそこには高俅だけしかいない。
(はて。気のせいだったか)
高俅は伝令と共に指令部となっている場所へと赴く。諸将が居並ぶ中を堂々と通り自分の椅子へ座る。
「さて、聞かせてもらおう」
高俅はまずは敵の状況を調べる為に斥候を放つ指示を出していた。集まった情報から方針を決める気でいたからだ。その中で高俅の関心をひいたもの。
「罠?」
「はい」
それも梁山泊に近付く程数を増して設置してあるようで、かの地の情報を集めるべく奥まで進んだ斥候は誰一人戻って来ていないという。
「ただ、罠に関しては気になる情報もございまして……」
「申してみよ」
「綿密に仕掛けられている罠ではございますが、どうも街道には仕掛けられていないようなのです」
「それだけ周到に配置しておきながら街道にはないと。そんな事があるのか?」
「それが事実でして。謹慎中の呼延灼将軍から梁山泊の北西にある街道を通ってここまで来たとの証言も得ております」
呼延灼は高俅の沙汰を待つ身なのでこの軍議には参加を許されていない。
「……罠を仕掛けたのが呼延灼の通過した後という可能性は?」
高俅はこう口にするが内心それを否定していた。
「ならば目撃した者がいても良さそうなものですが誰も見てはいない為、罠は事前に準備されていたとの考えが大半です」
「そうか」
大半を占めた意見と高俅の考えも同じであったので、高俅はその不可解な内容を推測するには情報が足りないと一旦脇へ置く。
「眼前の敵の軍勢については?」
その問いには別の人物が答えようと前に出てきて今まで話していた将の横へと並んだ。
「敵の軍勢は二万。その陣形は八門金鎖の陣と判明しております」
「八門金鎖の陣?」
その人物は得意気にその特徴と破り方を説明した。
「ですので勇将が千の兵を率いて敵の陣に突入。先程の手順で走り抜ければ敵は崩れる事間違いありません」
そこで劉夢竜という将が名乗りをあげ意気込んで出陣する。しかし……
突入した部隊は相手を浮き足立たせるどころか敵陣に飲み込まれるように壊滅した。物見から結果が伝えられるとその場は水を打った様に静まりかえってしまう。さらにその沈黙に重圧をかけるように高俅が口を開いた。
「……これはどういうことか?」
策を進言した者が額に汗を浮かべながら指揮官が手順を間違えた可能性に言及するが、責任転嫁しようとしているのは明らか。高俅はある失念に気付き質問を変えた。
「今回の方針。本当に満場一致で決まったものだったのか? 違う意見を述べた者はいなかったのか?」
その場に微妙な空気が流れる。高俅は確信した。
「……居たのだな? 正直に申せ」
観念したのかその者は聞煥章の名を出す。
「ぶ、聞煥章殿だけはまだ様子を見るべきと……」
(やはりか……)
聞煥章は高俅が頼み込んで従軍してもらったいわば客将。それを面白くなく感じた者もいたのだろう。要は圧力で彼の意見をないものとしたのだ。高俅は隅のほうに立っている聞煥章に視線を合わせた。
「聞煥章殿は童貫殿が薦めてくれた程の方ぞ。その方の意見を蔑ろにするとは愚か者どもめ」
高俅は聞煥章を近くに呼び改めてその考えを聞かせて欲しいと願う。
聞煥章。彼もまた王倫と同じく高俅に違和感を感じていた。
(彼はいくつかの策が潰え、状況が良くないと判明したならば迷わず撤退を選択できる人物だ。その判断力はあるはず)
それだけに撤退を選択せずこの地への滞在に拘る部分が勝利への執着とは別物のように思えたのである。
(数ではまだ圧倒しているのに北京の軍を動かさないのも妙だ)
聞煥章はこれらの点から高俅にとって動く条件がまだ揃っていないのではないかと推測した。梁山泊の動きをみてもこちらを牽制している節がある。お互いに「時」が「利」であるのであれば攻撃を控える様に進言しても不自然には見えない。
ただこの意見は高俅以外の者には言っても無視されるであろうとも見抜いていた。自分の立場が特殊で良く思わぬ者がいるのも自覚していたからだ。現在までは全てを考慮して上手く立ち回っている聞煥章。用意していた見立てを述べる。
「確かにあの陣形は八門金鎖に見えます。賊が複雑な陣形を運用できるのか些か疑問はありましたが……」
「劉夢竜により実証されてしまったか」
「はい。賊は陣の弱点も理解していました。と、なればわざわざその弱点をこちらに向けたりはしないでしょう」
梁山泊は湖を背にして布陣した。周囲の地形には罠があり、湖側から攻撃されないと分かっているのなら弱点は湖に向けてしまえば良い。そして死地を「弱点」に見せればそれも罠となる。
「梁山泊は自然の要害。敵はさらに湖の前に八門金鎖の陣を敷いた事でまさにあの場所に堅固な『門』を用意したのです。それ故私はここは慎重になった方が良いと申し上げました」
周囲がざわめく。
「ぞ、賊がそのような戦術など……」
(……これは自分の失態か。蔡京様達に相手は賊ではなく梁山泊軍であると説得し、討伐の許可を得ておきながらこの体たらく……)
高俅は聞煥章の説明で気付く。
「賊の本拠地で片付けられるものではなかった。その門はいわば城門。周囲の『罠』は侵入を許さぬ壁。さらにその奥には湖と言う名の『堀』までが周囲を囲んでおる」
「!! そ、それはまるで城の構造ではございませんか」
「そうだ。我らは最初から城攻めを強いられておったのだ」
城門や城壁が見える形で存在していればきっと気分的にも身構えたはず。だがそれらは見えずとも確かにその場に存在していた。
「この高俅。煮え湯を飲まされた気分だ。……改めて皆に問う。この見えぬ城をどう攻略する?」
高俅を交えた議論が始まる。その中で聞煥章にも意見が求められたが今度はそれを頭ごなしに否定する者はいない。聞煥章は助言しつつも未だ退却を選択しない高俅の狙いを考えていた。
話題が梁山泊軍の兵士数に及ぶと最初こそ出てきた数がほぼ全てではないかと推測されていたが、その役目が城門となるとまだ多少の兵は残されているだろうとの判断にかわる。
その理由となったのが皮肉にも聞煥章が説明した内容からで、湖と隣接した部分が八門金鎖の弱点のひとつであるなら、敵の別の部隊からすればそこを通れば戦場に出てこれると気付かれた為だ。
また完全に守り主体の陣であった点からも、これでは梁山泊に勝ち目はないので攻める気がないと見せて奇襲部隊が出てくる可能性を浮上させた。高俅側は梁山泊の方針を守りを固めておいてから本陣への奇襲攻撃と推測。
(そうか。街道に罠がない理由がわかったぞ)
高俅は旅人や一般人を巻き込まず、もしくは避難させるため……所謂、山賊が人道的な面から街道に罠を設置するのを避けたなどとは到底思えなかった。これは無理もない。だが、あの城門となる陣に不都合が生じて奇襲部隊が出てこれなくなった時に使う為ではないかと気付くと大いに納得した。
(なるほど賊の首領はかなり慎重な人物か。ならその慎重さの裏をかいてやる事にしよう)
「梁山泊の者どもめ。どうやら軍は軍でも黄巾軍だったようだな」
「……と、おっしゃいますと?」
高俅は昔の話にあてはめて梁山泊軍撃破の策を話す。
「こちらは後漢末の朱儁にならえば良いのだ。東を攻撃すると思わせて西を撃つ。つまり声東撃西の計。まぁこの場合は北に意識を集めさせておいて他を撃つ訳だが……党世英! 党世雄!」
呼ばれて二人の将軍が進み出る。だが聞煥章は高俅の言った声東撃西の計について思う所があった。
(あの計は相手が烏合の衆だからこそ効果があったのだ。それを失念しておられる。知略に富む人物が指揮する統率の取れた部隊相手に陽動が成功するとは思えない)
梁山泊は既に烏合の衆ではない。こちらの動きは想定されているだろう。彼はあえて黙っているつもりでいたが突然高俅に自分の名を呼ばれる。
「聞煥章殿。この梁山泊の賊に援軍はあると思いますか?」
「……いえ。国でもなく賊に兵を出してまで味方する勢力はないでしょう。仮に周辺に繋がりのある賊がいたとしても脅威になる数ではないと考えます」
それを聞いて高俅は頷く。
「よし。この本隊から兵をわける。党世英、党世雄の二人は五千の兵を率いて梁山泊から見えるように街道を西から南に向けて進め。こちらは北京の兵にあの八門金鎖をおさえさせる。さすれば敵はこちらの本陣を突こうとお前達の部隊を避け我が本陣へと奇襲部隊を出すはずだ」
「その奇襲部隊の動きを注視しながらやり過ごし、出てきた道を逆にたどって侵入しろ。また余力があるなら更に隊をわけ近くにあるという村に火を放ち騒ぎを起こしてもかまわぬ」
という指示をだした。聞煥章は予想の範疇を超えた内容に驚く。
高俅は兵法に精通している訳ではない。それ故に知っているかと思われた声東撃西の計が間違った運用方法でありながら、作戦全体が当初目指していた梁山泊を包囲する形として機能しようとしていたのである。そのうえで村に危害がおよぶ可能性まで出てきた。
(流石に彼らがその辺りに備えていないとは思わないが……)
わずかな不安の種が聞煥章の中に残る。その村には皇帝である徽宗の意を受けた張叔夜も向かっていた。さらに高俅は聞煥章も含む全員の人払いをさせた後呼延灼を呼び、何事かを言いつけ北京の軍勢へと向かわせるのであった。
「その様に……」
「……一考しておこう」
なにやら中から話し声が聞こえた。
「? 失礼します高俅閣下。皆様お集まりになられました」
伝令が陣幕に入り見渡すがそこには高俅だけしかいない。
(はて。気のせいだったか)
高俅は伝令と共に指令部となっている場所へと赴く。諸将が居並ぶ中を堂々と通り自分の椅子へ座る。
「さて、聞かせてもらおう」
高俅はまずは敵の状況を調べる為に斥候を放つ指示を出していた。集まった情報から方針を決める気でいたからだ。その中で高俅の関心をひいたもの。
「罠?」
「はい」
それも梁山泊に近付く程数を増して設置してあるようで、かの地の情報を集めるべく奥まで進んだ斥候は誰一人戻って来ていないという。
「ただ、罠に関しては気になる情報もございまして……」
「申してみよ」
「綿密に仕掛けられている罠ではございますが、どうも街道には仕掛けられていないようなのです」
「それだけ周到に配置しておきながら街道にはないと。そんな事があるのか?」
「それが事実でして。謹慎中の呼延灼将軍から梁山泊の北西にある街道を通ってここまで来たとの証言も得ております」
呼延灼は高俅の沙汰を待つ身なのでこの軍議には参加を許されていない。
「……罠を仕掛けたのが呼延灼の通過した後という可能性は?」
高俅はこう口にするが内心それを否定していた。
「ならば目撃した者がいても良さそうなものですが誰も見てはいない為、罠は事前に準備されていたとの考えが大半です」
「そうか」
大半を占めた意見と高俅の考えも同じであったので、高俅はその不可解な内容を推測するには情報が足りないと一旦脇へ置く。
「眼前の敵の軍勢については?」
その問いには別の人物が答えようと前に出てきて今まで話していた将の横へと並んだ。
「敵の軍勢は二万。その陣形は八門金鎖の陣と判明しております」
「八門金鎖の陣?」
その人物は得意気にその特徴と破り方を説明した。
「ですので勇将が千の兵を率いて敵の陣に突入。先程の手順で走り抜ければ敵は崩れる事間違いありません」
そこで劉夢竜という将が名乗りをあげ意気込んで出陣する。しかし……
突入した部隊は相手を浮き足立たせるどころか敵陣に飲み込まれるように壊滅した。物見から結果が伝えられるとその場は水を打った様に静まりかえってしまう。さらにその沈黙に重圧をかけるように高俅が口を開いた。
「……これはどういうことか?」
策を進言した者が額に汗を浮かべながら指揮官が手順を間違えた可能性に言及するが、責任転嫁しようとしているのは明らか。高俅はある失念に気付き質問を変えた。
「今回の方針。本当に満場一致で決まったものだったのか? 違う意見を述べた者はいなかったのか?」
その場に微妙な空気が流れる。高俅は確信した。
「……居たのだな? 正直に申せ」
観念したのかその者は聞煥章の名を出す。
「ぶ、聞煥章殿だけはまだ様子を見るべきと……」
(やはりか……)
聞煥章は高俅が頼み込んで従軍してもらったいわば客将。それを面白くなく感じた者もいたのだろう。要は圧力で彼の意見をないものとしたのだ。高俅は隅のほうに立っている聞煥章に視線を合わせた。
「聞煥章殿は童貫殿が薦めてくれた程の方ぞ。その方の意見を蔑ろにするとは愚か者どもめ」
高俅は聞煥章を近くに呼び改めてその考えを聞かせて欲しいと願う。
聞煥章。彼もまた王倫と同じく高俅に違和感を感じていた。
(彼はいくつかの策が潰え、状況が良くないと判明したならば迷わず撤退を選択できる人物だ。その判断力はあるはず)
それだけに撤退を選択せずこの地への滞在に拘る部分が勝利への執着とは別物のように思えたのである。
(数ではまだ圧倒しているのに北京の軍を動かさないのも妙だ)
聞煥章はこれらの点から高俅にとって動く条件がまだ揃っていないのではないかと推測した。梁山泊の動きをみてもこちらを牽制している節がある。お互いに「時」が「利」であるのであれば攻撃を控える様に進言しても不自然には見えない。
ただこの意見は高俅以外の者には言っても無視されるであろうとも見抜いていた。自分の立場が特殊で良く思わぬ者がいるのも自覚していたからだ。現在までは全てを考慮して上手く立ち回っている聞煥章。用意していた見立てを述べる。
「確かにあの陣形は八門金鎖に見えます。賊が複雑な陣形を運用できるのか些か疑問はありましたが……」
「劉夢竜により実証されてしまったか」
「はい。賊は陣の弱点も理解していました。と、なればわざわざその弱点をこちらに向けたりはしないでしょう」
梁山泊は湖を背にして布陣した。周囲の地形には罠があり、湖側から攻撃されないと分かっているのなら弱点は湖に向けてしまえば良い。そして死地を「弱点」に見せればそれも罠となる。
「梁山泊は自然の要害。敵はさらに湖の前に八門金鎖の陣を敷いた事でまさにあの場所に堅固な『門』を用意したのです。それ故私はここは慎重になった方が良いと申し上げました」
周囲がざわめく。
「ぞ、賊がそのような戦術など……」
(……これは自分の失態か。蔡京様達に相手は賊ではなく梁山泊軍であると説得し、討伐の許可を得ておきながらこの体たらく……)
高俅は聞煥章の説明で気付く。
「賊の本拠地で片付けられるものではなかった。その門はいわば城門。周囲の『罠』は侵入を許さぬ壁。さらにその奥には湖と言う名の『堀』までが周囲を囲んでおる」
「!! そ、それはまるで城の構造ではございませんか」
「そうだ。我らは最初から城攻めを強いられておったのだ」
城門や城壁が見える形で存在していればきっと気分的にも身構えたはず。だがそれらは見えずとも確かにその場に存在していた。
「この高俅。煮え湯を飲まされた気分だ。……改めて皆に問う。この見えぬ城をどう攻略する?」
高俅を交えた議論が始まる。その中で聞煥章にも意見が求められたが今度はそれを頭ごなしに否定する者はいない。聞煥章は助言しつつも未だ退却を選択しない高俅の狙いを考えていた。
話題が梁山泊軍の兵士数に及ぶと最初こそ出てきた数がほぼ全てではないかと推測されていたが、その役目が城門となるとまだ多少の兵は残されているだろうとの判断にかわる。
その理由となったのが皮肉にも聞煥章が説明した内容からで、湖と隣接した部分が八門金鎖の弱点のひとつであるなら、敵の別の部隊からすればそこを通れば戦場に出てこれると気付かれた為だ。
また完全に守り主体の陣であった点からも、これでは梁山泊に勝ち目はないので攻める気がないと見せて奇襲部隊が出てくる可能性を浮上させた。高俅側は梁山泊の方針を守りを固めておいてから本陣への奇襲攻撃と推測。
(そうか。街道に罠がない理由がわかったぞ)
高俅は旅人や一般人を巻き込まず、もしくは避難させるため……所謂、山賊が人道的な面から街道に罠を設置するのを避けたなどとは到底思えなかった。これは無理もない。だが、あの城門となる陣に不都合が生じて奇襲部隊が出てこれなくなった時に使う為ではないかと気付くと大いに納得した。
(なるほど賊の首領はかなり慎重な人物か。ならその慎重さの裏をかいてやる事にしよう)
「梁山泊の者どもめ。どうやら軍は軍でも黄巾軍だったようだな」
「……と、おっしゃいますと?」
高俅は昔の話にあてはめて梁山泊軍撃破の策を話す。
「こちらは後漢末の朱儁にならえば良いのだ。東を攻撃すると思わせて西を撃つ。つまり声東撃西の計。まぁこの場合は北に意識を集めさせておいて他を撃つ訳だが……党世英! 党世雄!」
呼ばれて二人の将軍が進み出る。だが聞煥章は高俅の言った声東撃西の計について思う所があった。
(あの計は相手が烏合の衆だからこそ効果があったのだ。それを失念しておられる。知略に富む人物が指揮する統率の取れた部隊相手に陽動が成功するとは思えない)
梁山泊は既に烏合の衆ではない。こちらの動きは想定されているだろう。彼はあえて黙っているつもりでいたが突然高俅に自分の名を呼ばれる。
「聞煥章殿。この梁山泊の賊に援軍はあると思いますか?」
「……いえ。国でもなく賊に兵を出してまで味方する勢力はないでしょう。仮に周辺に繋がりのある賊がいたとしても脅威になる数ではないと考えます」
それを聞いて高俅は頷く。
「よし。この本隊から兵をわける。党世英、党世雄の二人は五千の兵を率いて梁山泊から見えるように街道を西から南に向けて進め。こちらは北京の兵にあの八門金鎖をおさえさせる。さすれば敵はこちらの本陣を突こうとお前達の部隊を避け我が本陣へと奇襲部隊を出すはずだ」
「その奇襲部隊の動きを注視しながらやり過ごし、出てきた道を逆にたどって侵入しろ。また余力があるなら更に隊をわけ近くにあるという村に火を放ち騒ぎを起こしてもかまわぬ」
という指示をだした。聞煥章は予想の範疇を超えた内容に驚く。
高俅は兵法に精通している訳ではない。それ故に知っているかと思われた声東撃西の計が間違った運用方法でありながら、作戦全体が当初目指していた梁山泊を包囲する形として機能しようとしていたのである。そのうえで村に危害がおよぶ可能性まで出てきた。
(流石に彼らがその辺りに備えていないとは思わないが……)
わずかな不安の種が聞煥章の中に残る。その村には皇帝である徽宗の意を受けた張叔夜も向かっていた。さらに高俅は聞煥章も含む全員の人払いをさせた後呼延灼を呼び、何事かを言いつけ北京の軍勢へと向かわせるのであった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
49
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(9件)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
あ、お気に入り登録しました。
続き読みますね。
ありがとうございます。拙い文章表現は置いておいても内容は面白いと思っていただけるように書いています(自分なりに)ので嬉しいです。
水滸伝で敬遠されてしまったりしているので従来の水滸伝とは違う内容だと広く伝えられれば歴史小説が好きな方の目にも留めてもらえるのかもしれません。あと現在はある場面が納得のいく描写にならずに作品自体が放置状態になっています。申し訳ありません。現在の趣味熱が落ち着いたらそのうち、そのうちに……
歴史ランク一位になってたので見にきました。
面白い!
ええ!?
そんな事になっているとは露知らずその歴史的瞬間を見逃してしまいました……
武矢様、再び登場していただき感謝です。ずっと応援しています。連載頑張ってください。
まさか感想がついていると思わず返信できずにすみません。色々あって不規則になっていますけど応援ありがとうございます。なんとか歴史を動かしていこうと思います。