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第百五十九回 軍議
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王倫は暗闇の中にいた。この感覚は以前にも覚えがあったので頭は冷静に働いている。それ故に恐ろしさが分かる。
(こ、この禍々しさはなんだ……)
周囲が見えないのにも関わらずそう感じてしまう。そして王倫自身も筋状の闇に囚われており、その状況がさらに彼の不安を掻き立てる。
(私は守りたいものの為に努力してきた。だがそれは所詮つもりだったと言うのか?)
天命を歪める程の力。以前感じたその矛先は自身ではなく梁山泊に向いていると推測し、対処できたとも思っていた。
(し、しかし夢だとわかっていても……これほどの嫌な空気と身動きすらできないこの状況。以前の私なら発狂していたかもしれぬ)
王倫はこの状態で自分が死ねば寝ているはずの自分も本当に死んでいたりするのではないかという考えが頭をよぎる。
が、意識は突然覚醒を促された。
「……」
何事かと周囲を目だけで確認するとその視界には羅真人と桃香に瓢姫がいる。
「良くない夢を見られていましたかな?」
羅真人の言葉で状況を理解すると王倫は身体をゆっくりと起こす。
「大丈夫? 爸爸」
「ああ、平気だ桃香。起こしてくれてありがとう」
以前隠していて二人に怒られたので今回は夢の内容を素直に話した。三人は神妙な表情でそれを聞く。
「この地に脅威が近付いているのは間違いありませぬ」
「得体が知れないというのは不気味です。私のやってきた事は実を結ばなかったのでしょうか……」
王倫は守りたい者……桃香と瓢姫を見ながらぽつりと呟く。
「王倫様の成長は周囲にも影響を及ぼしております。必ずやその身を助けましょう」
「……大丈夫」
「そうだよ爸爸」
「三人がそう言ってくれるのは心強い」
気遣いにこたえて笑顔を見せる王倫。
「ですが羅真人先生も。桃香に瓢姫も。その為に何か無茶をするのは厳禁ですからな」
「勿論ですとも」
「うん」
「爸爸もだよ?」
三人も笑顔になる。が、その表情にはどこかぎこちなさが含まれているようでもあった。
一方、梁山泊を討伐しようとしている高俅。
その計画には慎重に慎重を重ねていた。
なにしろ作戦の全容を知っているのは彼だけであり、参加を指示された者ですら直接関係している動きしか明かされない程の徹底ぶり。
つまり裏を返せば高俅以外の者は端的な情報しか持っていない。これにより情報の漏洩を防ぎ、例え漏れても作戦全体の一部しか掴ませないというのが彼の狙いだった。
既に全戦力に対して最終的に指示する局面も想定している程この作戦に自信を持っている。
(念には念を入れこれだけの手を打ったのだ。必ずや結果はついてこよう)
高俅。時の権力者に取り入り出世を重ねてきた男。これは運以外にも才覚なくして出来る事ではない。だがその原点は全て己の栄達のため。
王倫もかつてはそうであった。しかしある時を境に自分を省み、現在では周囲の者が平穏に暮らせるように試行錯誤を繰り返しながら行動している。そんな王倫に影響を受けた者は梁山泊の内外を問わず多い。
全ては因果応報。北斗聖君から言われたこの言葉を王倫は心の中で何度繰り返しただろう。そして悪い行いのみでなく、善い行いも自分に返ってくるのだと実感した。
努力と気遣い。その差が羅真人の言った言葉を実現させる。東京より聞煥章から呉用を通じて。登州からは時文彬の命を受けた朱仝が。江州からは戴宗がそれぞれ得た情報を王倫に伝えようと動く。さらには遼からも北京の間者から連絡が途絶えた。と、注意を促す文書が届けられたのである。
端的であったはずの情報がひとつの形となって王倫のもとへと舞い込んだのだ。
彼が暗闇にとらわれる直前に見た夢の内容とこれらの情報。
(中央の地には手をつけずその周囲に拘った高俅)
(我々を討伐するため各地に発せられたという軍の編成命令……)
(遼からもたらされた北京の怪しい動き……)
王倫は一つの可能性に気付いた。
「そうか。あの夢は私と高俅が碁を打つことを示唆していたのではなかったのだ」
翌日。王倫は主だった者を集めまとめた考えを伝える。
「官軍……高俅がしようとしているのはおそらくこの梁山泊に対して複数の軍勢による同時侵攻」
碁盤の中央。高俅は手をつけなかったのでなくつけられなかった。何故なら中央の地こそ梁山泊を意味していたから。梁山泊を包囲してから攻撃する。これこそが高俅の狙いだと読んだ。
「やはり首領もそう思われますか」
呉用も今回の討伐軍が単純な力攻めだとは考えていなかった。
「東京の兵力は三万と判明しております。確かに多くはありますが戦場が此処であれば立ち回り次第で有利になりましょう」
(それに向こうには聞煥章殿も参戦している。勝つことよりも彼に責任が負わせられないように立ち回る方が難しい)
呉用も王倫の知らぬ問題点を抱えている。
「うむ。それ以外にも登州の時文彬殿が参戦を指示され、江州も同じ状況にあると知らせが入った。これはこの梁山泊を囲んでから総攻撃を行うつもりなのだろう。なので全体の敵兵の数はさらに増えような」
王倫の説明にその場の緊張感が高まりざわめきが起きる。
「だが私が高俅ならそれ以外に北京と青州をも動かす。これにより東京、北京、青州、登州、江州よりの五路よりの侵攻が可能だ」
「り、梁山泊全ての方角から官軍が……」
いくら精鋭揃いの梁山泊と言えどもこんな侵攻をされた例はまだない。頭目の中にも目に見えて不安そうな者がいる。
「ちょっと待ってもらえますかい」
その時珍しく魯智深が声をあげた。
「青州に関しては先の敗戦もありやしょう。兵を出せと言われて簡単に出せるとも思いませんぜ」
青州戦に参加した花栄も続く。
「それだけではありません。奪った兵糧などもかなりの量でした。兵だけの問題で済むとはとても……」
皆が思う所を述べ始めるが青州は戦力としてあてにならないという意見が大半だ。そしてそれは王倫や呉用も同意見。
「うむ。青州は動きたくとも動けないのが実情。正直脅威になるとは言い難い」
ならばと晁蓋が口を開く。
「登州の軍は厄介ではないですか? 時文彬殿も都からの命とは言え本心では我々と戦いたくないでしょう。また我々もそんな登州軍を相手にするのは……」
官軍ながら味方と思える時文彬の立場を考えると皆何も言えない。
「こうなったらいっそ完全に反旗を翻してもらうとか」
「それは……どうなんだ?」
迷走を始めそうになったので王倫が方針を述べる。
「まぁ反旗云々は極論としても、青州と登州に関しては策次第でなんとかなると考えてはいる」
「さすが首領! では他に備えればいいんですね!」
士気が上がった感じがした。
「義兄。東京と北京は方角も近い。合流されると兵も増え面倒だと思う。備えるならやはりここでは?」
楊志や索超をはじめ大半の頭目は兵数の多いここを危険視する。
「違う見方をする者は?」
呉用が呼び掛けると呂方が進み出てきた。
「私は江州の軍に警戒が必要かと考えます」
「私も呂方と同意見です」
郭盛も呂方に賛同する。呉用は問う。
「なぜそう思うのだ?」
二人は兵の質と用意できる舟を挙げた。江州の兵はその土地柄東京や北京の兵より水上戦に長け舟の性能も良いのではないかと推測したという。呉用は二人の成長を感じた。
「首領」
「うむ。実は私と軍師殿もこの江州軍の撃退が鍵になると考えていた」
確かに呂方と郭盛の説明も理にかなっているのだが、王倫は一つの懸念を加える。
「正直この梁山泊で戦うなら江州の軍と言えども問題はないだろう。しかし北や西の方角が戦場となる北京や東京の軍と違い、南側が戦場となった場合王家村が巻き込まれる可能性があるのだ」
「!!」
村には非戦闘員が大勢いる。防衛の為の区画なども用意されているが、なるべく飛び火させたくないというのが王倫の戦略だった。
「それに入手した情報によれば江州軍を率いるために呼延灼将軍が派遣されたらしい」
その名前に官軍にいた事のある者達からどよめきの声があがる。
「呼延灼! 双鞭の呼延灼将軍か!」
その武芸の腕前と勇猛さで名を轟かせている人物だ。
「登州軍が完全に敵であれば北東や東からの侵攻となり、これも村にとって脅威になったが江州軍に集中できるのは幸いだった」
梁山泊と村の関係はまだ伏せておきたいと王倫は考えていた。なので村を梁山泊の防衛の為に動かしたくない。
「ならば義兄上。是非そちらには私を向かわせてください」
林冲が名乗りを挙げる。
「林冲か。そなたであれば確かに。だが高俅に思うところもあるだろうに構わぬのか?」
王倫の言葉にきょとんとする林冲。
「某は義兄上の矛。義兄上の理想実現のためなら己の私怨に拘る理由などございませぬ」
こう言って笑い飛ばした。さらに
「おいおい。林冲だけにいい格好はさせねぇよ? 首領、そんな強い相手なら是非俺も……」
揉み手をしながら魯智深が。
「あ、和尚ずるい! 首領! 私ならすぐにでも!」
続いて我も我もと名乗りを挙げる者達。そんな光景に呉用は
「……全く。かつてない戦になろうと言うのに悲壮感どころか。心配は無用でしたかね首領」
苦笑いの表情を浮かべ、王倫もまた
「ああ。こんなにも心強い者達がよく私のような者の為に集ってくれた。……本当にありがたい」
皆に感謝の笑顔を向けるのであった。
(こ、この禍々しさはなんだ……)
周囲が見えないのにも関わらずそう感じてしまう。そして王倫自身も筋状の闇に囚われており、その状況がさらに彼の不安を掻き立てる。
(私は守りたいものの為に努力してきた。だがそれは所詮つもりだったと言うのか?)
天命を歪める程の力。以前感じたその矛先は自身ではなく梁山泊に向いていると推測し、対処できたとも思っていた。
(し、しかし夢だとわかっていても……これほどの嫌な空気と身動きすらできないこの状況。以前の私なら発狂していたかもしれぬ)
王倫はこの状態で自分が死ねば寝ているはずの自分も本当に死んでいたりするのではないかという考えが頭をよぎる。
が、意識は突然覚醒を促された。
「……」
何事かと周囲を目だけで確認するとその視界には羅真人と桃香に瓢姫がいる。
「良くない夢を見られていましたかな?」
羅真人の言葉で状況を理解すると王倫は身体をゆっくりと起こす。
「大丈夫? 爸爸」
「ああ、平気だ桃香。起こしてくれてありがとう」
以前隠していて二人に怒られたので今回は夢の内容を素直に話した。三人は神妙な表情でそれを聞く。
「この地に脅威が近付いているのは間違いありませぬ」
「得体が知れないというのは不気味です。私のやってきた事は実を結ばなかったのでしょうか……」
王倫は守りたい者……桃香と瓢姫を見ながらぽつりと呟く。
「王倫様の成長は周囲にも影響を及ぼしております。必ずやその身を助けましょう」
「……大丈夫」
「そうだよ爸爸」
「三人がそう言ってくれるのは心強い」
気遣いにこたえて笑顔を見せる王倫。
「ですが羅真人先生も。桃香に瓢姫も。その為に何か無茶をするのは厳禁ですからな」
「勿論ですとも」
「うん」
「爸爸もだよ?」
三人も笑顔になる。が、その表情にはどこかぎこちなさが含まれているようでもあった。
一方、梁山泊を討伐しようとしている高俅。
その計画には慎重に慎重を重ねていた。
なにしろ作戦の全容を知っているのは彼だけであり、参加を指示された者ですら直接関係している動きしか明かされない程の徹底ぶり。
つまり裏を返せば高俅以外の者は端的な情報しか持っていない。これにより情報の漏洩を防ぎ、例え漏れても作戦全体の一部しか掴ませないというのが彼の狙いだった。
既に全戦力に対して最終的に指示する局面も想定している程この作戦に自信を持っている。
(念には念を入れこれだけの手を打ったのだ。必ずや結果はついてこよう)
高俅。時の権力者に取り入り出世を重ねてきた男。これは運以外にも才覚なくして出来る事ではない。だがその原点は全て己の栄達のため。
王倫もかつてはそうであった。しかしある時を境に自分を省み、現在では周囲の者が平穏に暮らせるように試行錯誤を繰り返しながら行動している。そんな王倫に影響を受けた者は梁山泊の内外を問わず多い。
全ては因果応報。北斗聖君から言われたこの言葉を王倫は心の中で何度繰り返しただろう。そして悪い行いのみでなく、善い行いも自分に返ってくるのだと実感した。
努力と気遣い。その差が羅真人の言った言葉を実現させる。東京より聞煥章から呉用を通じて。登州からは時文彬の命を受けた朱仝が。江州からは戴宗がそれぞれ得た情報を王倫に伝えようと動く。さらには遼からも北京の間者から連絡が途絶えた。と、注意を促す文書が届けられたのである。
端的であったはずの情報がひとつの形となって王倫のもとへと舞い込んだのだ。
彼が暗闇にとらわれる直前に見た夢の内容とこれらの情報。
(中央の地には手をつけずその周囲に拘った高俅)
(我々を討伐するため各地に発せられたという軍の編成命令……)
(遼からもたらされた北京の怪しい動き……)
王倫は一つの可能性に気付いた。
「そうか。あの夢は私と高俅が碁を打つことを示唆していたのではなかったのだ」
翌日。王倫は主だった者を集めまとめた考えを伝える。
「官軍……高俅がしようとしているのはおそらくこの梁山泊に対して複数の軍勢による同時侵攻」
碁盤の中央。高俅は手をつけなかったのでなくつけられなかった。何故なら中央の地こそ梁山泊を意味していたから。梁山泊を包囲してから攻撃する。これこそが高俅の狙いだと読んだ。
「やはり首領もそう思われますか」
呉用も今回の討伐軍が単純な力攻めだとは考えていなかった。
「東京の兵力は三万と判明しております。確かに多くはありますが戦場が此処であれば立ち回り次第で有利になりましょう」
(それに向こうには聞煥章殿も参戦している。勝つことよりも彼に責任が負わせられないように立ち回る方が難しい)
呉用も王倫の知らぬ問題点を抱えている。
「うむ。それ以外にも登州の時文彬殿が参戦を指示され、江州も同じ状況にあると知らせが入った。これはこの梁山泊を囲んでから総攻撃を行うつもりなのだろう。なので全体の敵兵の数はさらに増えような」
王倫の説明にその場の緊張感が高まりざわめきが起きる。
「だが私が高俅ならそれ以外に北京と青州をも動かす。これにより東京、北京、青州、登州、江州よりの五路よりの侵攻が可能だ」
「り、梁山泊全ての方角から官軍が……」
いくら精鋭揃いの梁山泊と言えどもこんな侵攻をされた例はまだない。頭目の中にも目に見えて不安そうな者がいる。
「ちょっと待ってもらえますかい」
その時珍しく魯智深が声をあげた。
「青州に関しては先の敗戦もありやしょう。兵を出せと言われて簡単に出せるとも思いませんぜ」
青州戦に参加した花栄も続く。
「それだけではありません。奪った兵糧などもかなりの量でした。兵だけの問題で済むとはとても……」
皆が思う所を述べ始めるが青州は戦力としてあてにならないという意見が大半だ。そしてそれは王倫や呉用も同意見。
「うむ。青州は動きたくとも動けないのが実情。正直脅威になるとは言い難い」
ならばと晁蓋が口を開く。
「登州の軍は厄介ではないですか? 時文彬殿も都からの命とは言え本心では我々と戦いたくないでしょう。また我々もそんな登州軍を相手にするのは……」
官軍ながら味方と思える時文彬の立場を考えると皆何も言えない。
「こうなったらいっそ完全に反旗を翻してもらうとか」
「それは……どうなんだ?」
迷走を始めそうになったので王倫が方針を述べる。
「まぁ反旗云々は極論としても、青州と登州に関しては策次第でなんとかなると考えてはいる」
「さすが首領! では他に備えればいいんですね!」
士気が上がった感じがした。
「義兄。東京と北京は方角も近い。合流されると兵も増え面倒だと思う。備えるならやはりここでは?」
楊志や索超をはじめ大半の頭目は兵数の多いここを危険視する。
「違う見方をする者は?」
呉用が呼び掛けると呂方が進み出てきた。
「私は江州の軍に警戒が必要かと考えます」
「私も呂方と同意見です」
郭盛も呂方に賛同する。呉用は問う。
「なぜそう思うのだ?」
二人は兵の質と用意できる舟を挙げた。江州の兵はその土地柄東京や北京の兵より水上戦に長け舟の性能も良いのではないかと推測したという。呉用は二人の成長を感じた。
「首領」
「うむ。実は私と軍師殿もこの江州軍の撃退が鍵になると考えていた」
確かに呂方と郭盛の説明も理にかなっているのだが、王倫は一つの懸念を加える。
「正直この梁山泊で戦うなら江州の軍と言えども問題はないだろう。しかし北や西の方角が戦場となる北京や東京の軍と違い、南側が戦場となった場合王家村が巻き込まれる可能性があるのだ」
「!!」
村には非戦闘員が大勢いる。防衛の為の区画なども用意されているが、なるべく飛び火させたくないというのが王倫の戦略だった。
「それに入手した情報によれば江州軍を率いるために呼延灼将軍が派遣されたらしい」
その名前に官軍にいた事のある者達からどよめきの声があがる。
「呼延灼! 双鞭の呼延灼将軍か!」
その武芸の腕前と勇猛さで名を轟かせている人物だ。
「登州軍が完全に敵であれば北東や東からの侵攻となり、これも村にとって脅威になったが江州軍に集中できるのは幸いだった」
梁山泊と村の関係はまだ伏せておきたいと王倫は考えていた。なので村を梁山泊の防衛の為に動かしたくない。
「ならば義兄上。是非そちらには私を向かわせてください」
林冲が名乗りを挙げる。
「林冲か。そなたであれば確かに。だが高俅に思うところもあるだろうに構わぬのか?」
王倫の言葉にきょとんとする林冲。
「某は義兄上の矛。義兄上の理想実現のためなら己の私怨に拘る理由などございませぬ」
こう言って笑い飛ばした。さらに
「おいおい。林冲だけにいい格好はさせねぇよ? 首領、そんな強い相手なら是非俺も……」
揉み手をしながら魯智深が。
「あ、和尚ずるい! 首領! 私ならすぐにでも!」
続いて我も我もと名乗りを挙げる者達。そんな光景に呉用は
「……全く。かつてない戦になろうと言うのに悲壮感どころか。心配は無用でしたかね首領」
苦笑いの表情を浮かべ、王倫もまた
「ああ。こんなにも心強い者達がよく私のような者の為に集ってくれた。……本当にありがたい」
皆に感謝の笑顔を向けるのであった。
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