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7羽 存在する鍵
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雀は苛立ちを隠そうともしていない。だがこの場所での捕食者の頂点が隣にいる小鳩だというなら鷹行が襲われる事はないだろう。いくら彼がキジバトだとはいえ雀単体の脅威など恐るるに足らない。ならば雀は放っておいて今後の二人について考えよう。
「無視すんなって……言ってるでしょおぉぉ!」
そう考えた彼に雀が加速して勢いをつけた飛び蹴りを放ってきた。
「うおっ!」
鷹行は僅かによろめいて地面の出っ張りを踏んでしまう。痛みはほとんどなかったが土が剥げそこに金属質の何かが埋まっている事に気が付いた。
「うん? なんだろこれ」
喚く雀を一旦制止しくちばしと脚先で周りの土をどけていく。
(こ、これは! ハトがやるには重労働だぞ!)
だがその様子を見ていた小鳩が
「なぁに? これをひっぱり出せばいいの?」
出土した頭部分と思われるそれを掴んで力を込める。
「いや、流石にそれは無茶だろ……」
ズボッ。小鳩は周りの土ごとそれを引き抜いた。そのまま片足で地面に叩きつけ土を落として鷹行の前に置く。
「ご、豪快だなぁ」
「そうかな? 兎とか捕まえてる時の方が大変かな」
「そ、そうか」
鷹行は狩りの話にはついていけないので地面から出てきた物に視線を移す。それは錆びてはいるものの、
「鍵みたいだな。いや、みたいじゃなくて鍵かこれ。あれ? なんかどこかで見たような……」
「!? それは!」
反応したのは雀だった。雀は割って入ってその鍵らしき物をまじまじと見る。
「ど、どうしてこれがこんな所に……」
不思議がるというより不気味に感じているように見える雀。鷹行は思い出した。
「あ、思い出した。錆びてはいるけどこの形は夢で見た牢屋の鍵だ」
「!?」
「女の人が鷹行くんに投げてきたやつだったよね? たしかご褒美とかって。私は形までは知らなかったけど」
「!?」
鷹行はここにこんな鍵が埋まっていたからあんな妙な夢を見たのかなぁ、とか言っているがその会話はそばにいる雀には……いや、シャーロット=フォン=マクデューヌの耳には全く聞こえていなかった。
「無視すんなって……言ってるでしょおぉぉ!」
そう考えた彼に雀が加速して勢いをつけた飛び蹴りを放ってきた。
「うおっ!」
鷹行は僅かによろめいて地面の出っ張りを踏んでしまう。痛みはほとんどなかったが土が剥げそこに金属質の何かが埋まっている事に気が付いた。
「うん? なんだろこれ」
喚く雀を一旦制止しくちばしと脚先で周りの土をどけていく。
(こ、これは! ハトがやるには重労働だぞ!)
だがその様子を見ていた小鳩が
「なぁに? これをひっぱり出せばいいの?」
出土した頭部分と思われるそれを掴んで力を込める。
「いや、流石にそれは無茶だろ……」
ズボッ。小鳩は周りの土ごとそれを引き抜いた。そのまま片足で地面に叩きつけ土を落として鷹行の前に置く。
「ご、豪快だなぁ」
「そうかな? 兎とか捕まえてる時の方が大変かな」
「そ、そうか」
鷹行は狩りの話にはついていけないので地面から出てきた物に視線を移す。それは錆びてはいるものの、
「鍵みたいだな。いや、みたいじゃなくて鍵かこれ。あれ? なんかどこかで見たような……」
「!? それは!」
反応したのは雀だった。雀は割って入ってその鍵らしき物をまじまじと見る。
「ど、どうしてこれがこんな所に……」
不思議がるというより不気味に感じているように見える雀。鷹行は思い出した。
「あ、思い出した。錆びてはいるけどこの形は夢で見た牢屋の鍵だ」
「!?」
「女の人が鷹行くんに投げてきたやつだったよね? たしかご褒美とかって。私は形までは知らなかったけど」
「!?」
鷹行はここにこんな鍵が埋まっていたからあんな妙な夢を見たのかなぁ、とか言っているがその会話はそばにいる雀には……いや、シャーロット=フォン=マクデューヌの耳には全く聞こえていなかった。
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