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76話 オーシン、ガーディ達を連れ村に戻り セイディン、ショウランの家を訪ねる

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 砦にて物見から異変を報告されたガーディとアンは兵士十数名を連れて村に戻るオーシンに同行した。

 もし村に何かあったのなら人手はあった方が良いとオーシンに協力を申し出た為だ。
 断ろうとしたオーシンだったが二人の話も最もな点があり、まずは少数を連れていく事で折り合いをつけた。

 だが、村に到着したオーシンは予想外の光景にショックを受ける。
 建物にこそ異常は見られないものの一部ひび割れた地面。

 そして倒れている木々の先にあったはずの森の一部が忽然と消えていて、なぜか潮の匂いが風に乗って漂っている感じさえする。

 しかしオーシンの不安を煽っている点はそれらではない。

「なぜ...... 誰もいないのだ? 一体何があった? 母上は?」

 同行してきた兵士にも周囲を調べてもらったがやはり村は完全に無人になっていた。

 シロッコにアリマ、幸依達がいて村がこうなる展開をオーシンは思い付く事が出来ない。
 調査したアンは疑問に感じた点をオーシンに伝える。

「妙ですね。 直前まで生活していた痕跡があります」

 ガーディも推測を話す。

「オーシン殿が不在だったので伝える事が出来ずにどこかに避難したのでしょうか」

 宿屋になる予定の建物の前で一向は情報のやり取りを行う。

「あれだけの方達がいて村から避難する必要性が起こりえるのだろうか......」

 オーシンの一言にガーディが言う。

「いくらすごい方でももし相手が自然災害なら太刀打ちできませんよ。 無人という事は全員無事な可能性があるのですからそこを喜びましょう」

 オーシンは思わず

「自らそれ以上の災害を起こせる方が自然災害などに屈するものか!」

 と返そうとして咄嗟に黙った。 さすがにこれは口には出せない。 だが、このままでは朋広が戻ってきた時に申し開きが出来ないのも事実。

「いっそ死んでお詫びを......」

 オーシンが仮面の下で青くなった時兵士の一人がある事に気付いた。

「た、隊長! あそこから誰かが出てきます!」

 それは神殿から戻り朋広の家の玄関から出てきたキエルとヒラリエ、テリーだった。 オーシンは彼らが笑顔なのを見てとりあえず安心する。

「隊長! け、獣が服を着て二本足で歩いてます!」

 だが砦の兵士とガーディやアンには緊張が走った! 彼等は亜人を知らないのだ。 
 その緊張が伝わったのかヒラリエ達も兵士達に気付く。

「え? 人間!? だ、誰ニャお前達!」

 知らない人間、それも武装した兵士が集団でいるのだ。 獣人達とて楽観的には捉えない。

「村を守るニャ!」
「ええ!」

 最初に出てきたヒラリエ達はすぐさま臨戦態勢になり、後から出てきた亜人達もそれに続こうとしてくる。

 突撃してくる獣人に対してガーディ達もすぐさま構える。

「仮面師範殿! 村はこいつらに襲われたのでは! お前達、油断するな!」
「いや待て! そうではない!」
「し、師範殿!?」

 オーシンは突撃してくるヒラリエの前に飛び出る。

「待てヒラリエ!」
「お前みたいにゃ奴はしらにゃいにゃ!」
「な、何?」

 素早い爪の攻撃がオーシンを襲う。 オーシンはそれを紙一重で避ける。 それと同時に自分が仮面を被っている事を思い出した。

「私だ! オーシンだ!」

 オーシンは仮面を外しながらヒラリエに呼びかける。 ヒラリエの攻撃がオーシンの手から仮面を弾いた。

「ニャ? オーシン!」

 ヒラリエは攻撃の手を止め他の者も動きを止める。 飛ばされた仮面はポトリとガーディ達の手前に落ちた。

「あれが師範殿の素顔......」
「え? オーシン? オーシンって確か......」

 兵士達の呟く中で真っ先に我にかえり、機転をきかせたのはアンだ。

「お前達。 この場所で起きた事は全て箝口令を敷く。 絶対に他言無用だぞ。 仮面師範殿の事も含めてだ。 ですね隊長?」
「あ、ああ。 アンの言う通りだ」

 一向は正和が目を覚ました事による上機嫌な者達に事情を説明された上で歓待を受け、思わぬ形で幸依の料理を味わい、オーシン自ら入浴などの必要性を説いて体験させた。
 
 寝具に関してはとても人数分ないので雑魚寝になってしまったが、それでもガーディやアンをはじめ砦の兵士達はまるで別世界の体験が出来たと喜び、困った事には協力する約束を交わして砦に戻った。


 ある程度回復した正和はゆっくり休んではいなかった。 周囲は休ませようとしたのだが、正和が寝ている間に起きた事などを皆から聞いてやるべき事が多いと判断したのだ。 

 その正和には常に機嫌の良いアリマがついて回っていた。
 
 もちろん正和が回復した事は当然として理由がもうひとつ。 それは角砂糖が食べられなくなった事。 正和が回復し、幸依はガーディ達を含めた皆に腕によりをかけてご馳走を振る舞った。

 しかし皆とは味覚が違うアリマは本心では喜んでそれを食べる事が出来ない。

「わ、妾にはこれがあるからの」

 アリマは好物の角砂糖を取り出し口に放り込む。 異変はすぐに起きた。

「!? うぐっ! ぶはっ! ぺっぺっ!」

 シロッコがアリマを見て言う。

「なんじゃ。 角砂糖も落ち着いて食えんのか」

 アリマは顔を真っ赤にして反論する。 真っ赤なのは怒っているためではない。

「ち、違う。 これはとても甘ったるくて食べれたものではなかったのじゃ。 妾もこんな事は初めてで何がなんだかわからぬ」

 もうひとつ口に放り込んでみたアリマだが、やはり同じようにすぐ口から吐き出した。

「わ、妾が大好物を受け付けぬじゃと......?」

 今度は青くなっているアリマ。

「シ、シロッコ。 これでは妾は今後何も食べれぬではないか!」
「わ、儂にそれを言われてものぅ。 とりあえずこれでも食べてみるか? 絶品じゃぞ」

 恨みがましい目で睨むアリマにシロッコが幸依の料理を差し出す。 それは正和も美味しそうに食べている。

「く...... 妾も母上の料理をきちんと食べれさえすれば......」

 アリマは無言になり料理を口に運ぶ。

 そのまま黙々と口に運び続けるアリマを心配してシロッコが声をかける。

「お、おい。 そんな無理して食べずとも」

 プルプル震えているアリマ。 触角が伸びて固まった。

「......気絶したんじゃなかろうな」
「......い」
「何?」

 アリマは猛烈な勢いでその皿の料理を平らげた。

「美味い! 母上おかわりを所望したいのじゃ!」
「あらあら。 アリマちゃんがおかわりなんて初めての事じゃないかしら。 ママ嬉しいわ」
「うむ! おお、これも美味い! これも美味いぞ!」

 アリマはそのまま色んな料理の間をぐるぐる動き回っている。 両手に料理を山盛りにして戻ってきたアリマを合点のいかないシロッコが捕まえた。

「おいアリマ。 これは一体どういう事じゃ?」

 山と積まれた料理を指差しながら言う。

「わからぬ。 じゃが料理を美味く感じるのじゃ。 これは嬉しい。 あ、婿殿。 これは美味しいのじゃよ」
「あ、うん。 ありがとう」
「! いやいや! 妻としてはこれくらいの事当然...... ごにょごにょ」

 ごにょごにょしているアリマを見ながらシロッコは考える。

「我らの魔力を循環させた時にアリマの味覚に変化が起きたと考えるのが妥当かの。 これは完全に予想外じゃったが、結果的には良かったとしておこう」

 だがその一方でニースが食事をしなくなった事にはまだ誰も気付いていなかった。

 しかしこれについては正和と幸依がすぐに解決する事になる。 ニースは『ある食べ物』を要求したくてそれ以外を口にしなかったからだ。


 正和は復帰後村中を動き回って今後の計画を立て直し、実行できる所は自ら実行した。

「わ、私は......」
「こ、ここは......?」

「同胞が復活したにゃ!」
「ありがとうございます正和様!」

 赤蟻にされていた亜人の復活。
遂に亜人の悲願も現実のものとなった。

 正和は他にも魚人や魔物などにも会い開拓村運営の計画を立てていく。
 シロッコから紹介された魚人は人魚にあたると訂正もした。 ......族長やマーリン達は種族の呼称にこだわりはないようだったが。

 魔蛸にはシロッコが『ダゴン』と名付け海の深い部分に巣をつくらせた。 ダゴンはここで産卵し、今後は人魚達と協力して生活していくようだ。

 正和は現段階で赤蟻全てを亜人に戻すのは厳しいと判断し、状況の方を変えてからそれを行うと説明した。
 戻した亜人から荷物の提供は受けていたが、やはり食料、特に肉類が不足すると判断したからである。

「食料を増やしつつ戻していかないと不足しそうだな。 ......その為には」

 安全となった亜人領に食料などの生産業務を主な活動とするグループを配置するのはどうだろうかと正和は考えた。

「海まで行ける道も用意できるといいけど。 階段なり坂道なりで。 けどそれは父さんに任せるのがベストだろうか」
「わ、妾にも出来ることは遠慮なく言ってくれると嬉しいのじゃ!」
「うん。 ありがとうアリマさん」

 正和も回復し、それにより赤蟻になっていた亜人達の復活も見込める。 
 力を貸してくれる人物や魔物達も増え、外敵もいない開拓村は今度こそ落ち着いて開発できそうな雰囲気に包まれていた。



「にゃーん」
「はいはい待ってね。 今開けてあげるからー」

 ドアを開ける。 外には一匹の猫がちょこんと座っていた。

「あなた毎日のように来るわねぇ。 そんなにここが気に入ったの?」

 その猫はその呼び掛けには反応せず、家の中へ遠慮なく入っていく。

「まぁ、鳥を襲う事もしないし私の邪魔もしないからいいんだけどね」

 やれやれと言った感じでその女性は言った。
猫はセイディン(三号)。  女性はショウラン(ペンティアム)だ。

 この一匹と一人。 出会った時は大変だった。 セイディンは脚に筒をつけた鳥達が頻繁に出入りする家を見つけ、ある時鳥の通る仕掛けから家の中へ侵入したのだ。

 慌てたのは鳥達とショウランである。

「ちょっ! なんで猫が入って来るのよ!」

 突然の服を着た乱入者に鳥達は羽を散らしながら巣の中を飛び回り、ショウランは追い出そうと扉を開けて入って来る。 だが、セイディンはそこを狙い鳥達には目もくれず扉から部屋の中へスルリと移動した。

「あ、あれ? 鳥を食べる為に入って来たんじゃないの?」

 その服を着たセイディンはテーブルの上に乗り部屋の中を眺めている。
 ちなみにこの服はミストに名前と共に贈られたもの。

 この家への潜入の計画をミストに話した時、お腹についている石が見えないようにとの配慮からだった。

「服を着た猫なんて初めて見たけど...... 野良猫って訳じゃなさそうね。 迷って入ってきたのかしら?」

 飼い猫であれば、いきなり酷い扱いはされないのではないかというミストなりの気遣いも服には含まれていた。
 ショウランはセイディンに近付き抱えあげる。 セイディンは逃げない。

「随分おとなしい子なのね。 でも鳥達が怯えてるから帰ってねー」

 確かに鳥達の中にはまだ巣の中を飛び回り鳴き喚いている鳥もいる。
 セイディンはその日はそのまま素直に家の外に出されたが、翌日から毎日家の屋根の鳥の出入口近くに居たり、堂々と家の入口前に居て扉を叩いて中へ入れろと催促するような行動をするように。
 ショウランの鳥達も賢いのでセイディンに敵意がないとわかると必要以上に警戒する事もなくなった。 
 そしてそれはショウランにも同じように作用し、セイディンは遂に顔パスでショウランの家に出入りできるようになったのである。


「さてと今日はどんな情報が来てるかしらね」

 ショウランが手紙を集めてイスに座るとセイディンは素早く彼女の肩にかけあがった。 テーブルの上や肩。 セイディンは手紙が見える場所に位置取っていたのだが、ショウランはなつかれているから位にしか思わない。

「あなたには何が書いてあるかわからないでしょうに、妙に手紙が好きなのね。 ......まさか文字が読めてたりして?」

 笑いながら言うショウラン。 識字率が高いとは言えず、ばらつきも顕著な世界ではあるが、猫が文字を読めるとはショウランも流石に考えない。

(もちろん読めるさ。 だからこうして情報収集させてもらっているんだからな)

 セイディンはにゃーんと一声鳴いて、ミストに伝えるべき情報があるかショウランと一緒に手紙を覗き込むのだった。
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